4月16日(土)、17日(日)の2日間にわたって開催された「島ぜんぶでお~きな祭 第14回沖縄国際映画祭」。17日(日)、那覇市の桜坂劇場ホールBで『あの夜、コザにいた。』の上映と舞台挨拶が行われました。
この作品は、アメリカ統治下の沖縄・コザにある建物の屋上で、2人の男性が過ごす「何でもない日常」を描いていて、時代が大きく動き出すなかで「何でもない日常」の中にある「歴史」がテーマになっています。
上映終了後、主演の金城裕一、しん、丹野雅仁監督が舞台挨拶に登壇しました。まず、丹野監督から「大きなスクリーンで日の目を見られて、非常に嬉しく思っております」と挨拶。兵庫県出身という丹野監督は、映画を製作したきっかけについて「資料を読んでいるうちに、コザ暴動という特殊な事件に興味を持ち、近くにいたけど関係のなかった人々は何をしていたのだろう。ということをやってみたかった」と語りました。
主演の金城が制作時のエピソードとして「丹野監督からラストシーンを知らされずに、ただただ2人の青年がしゃべっているように撮影してくれと指示を受けました」と話すと、会場が驚きに包まれました。それについて丹野監督は「若い世代の人が話の内容が“あるある”だと思って観てくれて、ふたを開けたら実はこういう時代でこういう話だったんだ…と肌で感じてもらえたら嬉しい」と話しました。
屋上のシーンを彩る美術について聞かれた丹野監督は「美術が一番大変で手間がかかりました」と言い、特にこだわったこととして「屋上の壁などの汚し方に手間をかけました」と、撮影時の苦労を語りました。
最後に丹野監督は「短編を一本観ていただきましたが、面白い題材だと思っているので、シリーズ化して同じ日の違う場所にいた人の話を制作していこうと思っています」と続編への意気込みを語って締めくくりました。
次回作も沖縄を描くと意気込み
舞台挨拶後、金城、しん、丹野監督がインタビューに応じ、今回の作品に対する思いを語りました。作品のきっかけとして丹野監督は「僕が内地の人間なので、『コザ暴動』という歴史的な出来事自体がほかの場所にはないことなのですごく興味を引かれた。コザ暴動は事件としてはデカいけど、起こった範囲や時間はすごく狭い。そうなると関わってない人たちは何をやっているんだろうという思いがあった」と改めて製作のきっかけを説明しました。
金城としんは過去に演劇関連で少しだけ接点があったそうで、金城が「相手が知っている人で良かった」と安心したのに対し、しんは「僕より身長が高いのに、コンプレックスだっていうから(俺はいろいろ)負けねえぞ」と対抗心を燃やしていたことを明かし、金城を驚かせていました。
丹野監督にとって沖縄国際映画祭は「何年も沖縄に出入りし、友達などがいっぱいいて、 “毎日ふらふらしている人”と思われているので、僕はこういう仕事をしていますよとみんなに見てもらう場です」と冗談を言いつつも、次回作も沖縄を描くことに意気込みをみせていました。
最後に丹野監督は「限られた予算で作ったので(当時の)空気を再現できていればと。見た人に当時はこうだったね、と言ってもらいたい。若い世代も観ることで当時の時代を感じてほしい」とコメント。金城が「自分と同じ世代はコザ暴動について知らないので、この作品を観て触れる機会があったらいいなと思います」と語ると、しんは「父親世代に雰囲気が伝わればいい。芸人としてテレビでほかの芸人に乳首を吸われたのが放映されて、“家の恥だ”とお叱りを受けたけど、映画も出ているよと挽回したい」と笑いで締めくくりました。
島ぜんぶでお~きな祭 第14回沖縄国際映画祭は2022年4月16日(土)、17日(日)の2日間、開催されました。
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