YouTube「バズると思ったのに…」しゅんしゅんクリニックP編 「“お笑い”をしすぎるとあまり伸びないんですよね」

「YouTube実感再生回数 もっとバズると思ったのに…」

実感としては“バズる”と思って自信満々で公開したのに、なぜか再生回数が伸びなかった…そんな、本人の目論見と違ってしまったYouTube動画を芸人たちから聞きます。

実感としては“バズる”と思って自信満々で公開したのに、なぜか再生回数が伸びなかった…そんな、本人の目論見と違ってしまったYouTube動画を芸人たちから聞きます。

自らのYouTubeチャンネルで、日々試行錯誤する芸人たち。そこには“バズると思って”自信満々で公開したのに、なぜか再生回数が伸びなかった動画があるはずです。そんな「思ったほどバズらなかった」動画ベスト3を本人に選出してもらい、その原因を分析してもらうシリーズ。第3回は、現役の医師としても勤務している“医師芸人”、しゅんしゅんクリニックPの登場です!

出典: FANY マガジン
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凝れば凝るほど伸びない…

【第3位】:【薬剤師あるある】イェイイェイ薬剤師(再生回数:約35万回)

動画はこちらから。

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――「再生回数が伸びると思ったのにそこまで伸びなかった」という動画の第3位は?

しゅんP 「思ったよりも」ということで、再生数的にはものすごく悪いわけではないんですけど……。僕のチャンネルでいちばん再生されているのが「ヘイヘイドクター」(再生回数:約666万回)なんです。それが良かったので、次にナースあるあるで「ゴーゴーナース」(再生回数:約79万回)というのを出して、それもけっこう伸びて。で、第3弾として薬剤師あるあるで「イェイイェイ薬剤師」をやったら、なんかそれだけあんまり伸びなくて(笑)。医者・看護師に比べて、薬剤師という部分で、視聴者的な需要がちょっと落ちちゃったのか、はたまた3つめで「もういいよ」となってしまったのか。とにかく、思ってたより伸びなかったです。

――薬剤師を取り上げたドラマもあったりして、世の中的な関心がそれほど低いわけじゃないと思うんですが……まだまだ引きが弱いんですかね。

しゅんP そうですね。医療関係者のなかでも、医者と看護師は「薬剤師には興味ない」という感じで、もしかしたら本当に薬剤師さんしか見ていないのかもしれない(笑)。医者と看護師は一般の人も興味あるし、お互いに興味もあるけど、一般の人にとって薬剤師はちょっと遠い人なのかもですね。いまはライブとかでも、これはほぼお蔵入り状態で。自分の気持ち的にも「どうせ、みんなこれは求めてないんだろうな」と思ってしまっているので(笑)、やりづらい感じです。

出典: FANY マガジン
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――第1弾の医者、第2弾の看護師がバーンとハネただけに、どうしても気持ち的に比べてしまう部分があるんでしょうね。

しゅんP 確かに再生回数的には、ぜんぜん伸びてないというわけではないんですけど、もっといってほしかったなと。気合い入れていろんなところで撮影したのに、あんまり伸びなかったので、それがちょっと悲しいなという感じです。

――撮影の労力と再生数は、必ずしも比例しないですよね。

しゅんP そうなんですよ。凝れば凝るほど伸びないので、本当にバカらしくなる(笑)。セリフ噛んでしまってたり、背景も雑とか、そういうほうが伸びたりするから、よくわからない。傾向を探るのが難しいです。

「トラウマになってます」

【第2位】:【リモートコント】オンライン診療したら患者さんが恋の病だった ×レインボー池田【コラボ】(再生回数:約1.2万回)

動画はこちらから。

出典: FANY マガジン
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しゅんP これは1年前ぐらいに、リモートでレインボー・池田(直人)とコラボした企画。緊急事態宣言中で、レインボーがリモートコントでだいぶ伸びている時期で。それもあってお願いをしてコラボさせてもらったんです。オンライン診療で、池田に女装してもらって、まぁざっくり話すと、動悸がするということで問診していったら「恋の病」だったという流れのもの。これがびっくりするぐらい再生数が伸びなくて。レインボーが普通に30万回とかいっているのに、1万回ぐらいしかいってない(笑)。そのときのレインボーの勢いとかを考えたら、もっと再生回数が伸びてよかったはずなのに!

――自己分析による敗因は?

しゅんP やっぱり医療従事者が視聴者で見てくれているのもあり、本当のあるあるじゃないと伸びないんですよね。ほかの動画でも、ちょっとボケ要素が多くなったコント寄りのものは伸びない。あるあるのネタを誇張するのはいいけど、お笑い要素を増やしちゃうと「あるあるじゃないじゃん」とコメントされてしまったり……。コントのボケとか設定の面白さより、本当に医療従事者が共感できるあるあるでないとダメで。芸人要素は入れてもいいんだけど、お笑いをしすぎるとあまり伸びないんですよね。

出典: FANY マガジン
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――レインボー・池田さんとは、数字が伸びなかった話はしましたか?

しゅんP 池田から「ぜんぜん伸びてないじゃないですか」と言われました(笑)。「なんなんすか、あれ。……ちょっと申し訳ないです」と言われたので、「いやいや、逆にこっちが申し訳ない」と言ったぐらいなんですけど。なので、これ以降、こういうリモートコントでっていうようなコラボは一切やめました。トラウマになってます(笑)。

【第1位】:【病院あるある】BKBさんとお互いの書籍について話しまヒィア!🛵【バイク川崎バイク】(再生回数:0.4万回)

動画はこちらから。

出典: FANY マガジン
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しゅんP さっきの池田のに関しては、いまの段階で1.2万回ぐらいなんですけど、このBKB(バイク川崎バイク)さんのに関しては、1年たってもいまだ4,000回ぐらいしかいっていない(笑)。僕の動画のなかでは断トツで低いんです。もしかしたらワースト1位なのかもしれない。BKBさんのこの本(『電話をしてるふり』)はだいぶヒットしてて、ネットでも話題になっていたり。そこに胸をお借りしてのこの企画だったんですが……。

――敗因はなんだと思いますか?

しゅんP 視聴者層をわかっていなかったということですね。僕とBKBさんが本を紹介する動画をみんな求めていなかった。いま振り返ると、みんなはあるあるとかちょっと面白いこととか求めているわけで、僕とBKBさんが語り合うという対談は誰も聞きたくなかったんだろうなと(笑)。反省しています。

――対談というスタイルがダメなんですかね?

しゅんP それはあるかもしれない。ひょっこりはんとの対談企画もあまり伸びていないので。でも、対談でも医療関係者とかそういう系の方だったりしたら伸びるような気はします。たとえば、天才ピアニスト(メンバーのますみが看護師)と「看護師から医師に言いたいこと」「医師から看護師に言いたいこと」をぶつけた対談(【緊急対談】ドクターvs看護師!医者からナースへ不満をぶつけてみた!【赤裸々】=再生回数:約25万回)は伸びているので。医療が関係ない対談だったというのが敗因ですね。

出典: FANY マガジン
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――では反省をいかして、BKBさんともう一度コラボするとしたら、どういう形がいいと思いますか?

しゅんP 僕の医者のあるあるはそのままで、患者さん役をBKBさんとかにやってもらうとか、そういうのだったらいいと思います。その本筋があったうえで、最後に1要素として「膀胱炎、爆発、BKB、ひぃや!」とかがいいかもしれない。

芸人要素と医療要素を絶妙に混ぜる

【意外に伸びた動画】:【医者あるある】身内の迎えの時に医者隠すけどついつい専門用語出ちゃう(再生回数:約388万回)

動画はこちらから。

出典: FANY マガジン
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しゅんP 意外と伸びたのは「ついつい専門用語出ちゃう」シリーズです。これも医者あるあるなんですが、医者が受診したときについつい専門用語が出ちゃうみたいな内容のコント。そんなに凝った感じで作った動画でもなく、めちゃくちゃサラッと撮ったものだったので、マジでラッキーです(笑)。伸びると思っていなかったので、これはめっちゃ意外でした。1発目が「医者が受診するとき専門用語出ちゃう」というので、それが1年ぐらい前。第2弾が「医者が受診するときレントゲン検査バージョン」、第3弾が「身内の迎えに行くとき」と、ほぼタイトル一緒で状況だけ変えたんですけど、どれも僕の中の再生回数上位のBEST10の中に入っている(2位、5位、7位)。どれもめっちゃ伸びたので、あ、やっぱりこのシリーズが人気なんだなと思いました。

――その内容に共感するということは、やはり視聴者は医療関係者が多いんですかね。

しゅんP そうですね、実際、医療関係者の方が見てくれているのが多いんですけど、医療関係者以外でも、「なんとなく自分の職業に当てはめてわかる」みたいなコメントも多くて。あとは、動画として面白がってくれる方もいて、ちょっとボケっぽく捉えてくれていたり。そういう層も巻き込めているのが、思ったよりも再生回数が伸びた理由なんだろうなと思います。ただ解説する系よりも、「コントでわかるすい臓がん」みたな動画のほうが再生されやすい。芸人要素と医療要素が絶妙に混ざっているのが人気になりやすいんでしょうね。

再生回数で「報酬系ホルモン」が刺激される

――最後に、今後のYouTubeにおける戦略と展望をお願いします!

しゅんP 「ヘイヘイドクター」がぶっちぎりの1位なんですけど、これは芸人がいまほどYouTubeを始める前に「とりあえず上げておこう」とアップして置いたら、そのあとにバズってラッキーだったなという感じなんですが、これを超える何かが生み出せたらっていうのはあります。あとは、やはり「コントでわかるすい臓がん」みたいなノリで、医者と芸人を混ぜたようなものはまだまだ伸びしろがありそうだなと感じていて。とりあえずシリーズで全部のがんはやっていきたいなと思ってます。
それと、7月に子どもが生まれるんです。育児チャンネルを立ち上げようか、自分のチャンネルでアップするかは迷っているんですけど、もしかしたら、「お医者さんが教える赤ちゃんの異変」とか「暴れる子どもの上手な鼻水の吸い方」など、うまく育児的な部分とあるあるの医療面を組み合わせたらいいのかなと考えたりはしています。それで視聴者の間口をもっと広げられたらいいですよね。

出典: FANY マガジン
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――自分にとって、YouTubeってどんな場所になっていますか?

しゅんP 露出や知名度において、すごく役に立っていますし、普通にコミュニケーションの場にもなるので、本当にこれがあってよかった。YouTube見ましたと患者さんに言われたり、単純に「動画の編集うまくなりましたね」とコメントされたりするのもめっちゃうれしいです。編集もほとんど自分でやっているので。僕、承認欲求が強いので、いいねとか再生回数が伸びたりするのが、自分の報酬系ホルモン、いわゆるドーパミンとかアドレナリンの出る部分を刺激してくれているので心地よいんですよね。だからこそ、睡眠時間を削ってもかまわないというところはあります。