ゲーム後に思わず「Oh!そうだったんだ!」と言ってしまうエド・はるみ考案のゲームとは?

芸人としてだけでなく、2018年には慶應義塾大学大学院の修士号を取得するなど、さまざまな活動に取り組んでいるエド・はるみ。そんな彼女が大学院の研究のなかで考案したゲームが、シンパサイズとして6月28日(火)に発売されました。なんでも、楽しく遊べてコミュニケーションがうまくなる“一石二鳥”なゲームということで、気になるその内容と、ゲームに込めた思いをご本人にたっぷり語ってもらいました。

出典: FANY マガジン
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今回のゲームの商品化は、エド・はるみが大学院で在籍していたシステムデザイン・マネジメント研究科(SDM研究科)での研究の過程で、コミュニケーションにまつわるゲーム『Oh!そうだったんだ!Game』を考案したことがきっかけ。このゲームは、2020年に開催された「第1回 全日本ゲーミフィケーションコンペティション」で特別賞&優秀賞を受賞し、これにアレンジが加えられて『シンパサイズ』という名で発売されることになりました。

「社会問題をゲームで解決する」という視点

――どういった経緯でゲームが発売されることになったんですか?

エド 「全日本ゲーミフィケーションコンペティション」というのがありまして。“ゲームの理論やノウハウを活用した社会問題解決”がテーマで、2020年11月末に開催された第1回のコンペで、私が考案した『Oh!そうだったんだ!Game』が特別賞をいただいたんです。

――ゲームの活用で社会問題を解決するとはユニークですね。

エド そうなんです。大学院にいたころ、ゲームの研究をされている先生がいらして、社会問題をゲームで解決する分野があるんだということを知り、「こんな新しい視点があるんだ!」とすごく感銘を受けたんです。
それで、ゲームの開発をしていらっしゃるほかの方にアドバイスをいただきながら、コンペに応募する2年近く前から、自分自身でゲームの開発を進めていました。
そのまま寝かせていたのですが、「やはり完成させないともったいない!」と思って。それで一度、先生に見ていただいたところ、「おもしろいですね! 年末にコンペがあるので出してみませんか?」と言っていただけて。そこから一気に形を整えて締め切りに間に合わせ、応募した結果、特別賞と優秀賞をいただきました。

――受賞からおよそ1年半、ついに商品化されるそうで。

エド はい。ゲーム会社のオルトプラスさんが製品化してくださり、名前も新たに『シンパサイズ』になりました。“シンパシー”=共感や思いやりという意味から来ています。賞をいただいたゲームそのものではなく、一般の方により馴染み良く、より楽しんでいただけるようにブラッシュアップしました。

出典: FANY マガジン
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コミュニケーションのちょっとした機微に気づく

――具体的にどんな内容のゲームなんですか?

エド 3人1組になり、1人はジャッジ(審判)、残る2人が対戦するゲームです。あるシナリオがあり、第一声以降はアドリブで2人が会話をしながら役に沿った関係を演じていきます。そのやり取りのなかで、審査員が「なるほど!」となれば、その都度ポイントが入る、というのが大まかな流れです。
また、それぞれに「今回、あなたはこんなことをしてね」というシナリオ(事情)があって、その目的を果たすように話を進めていく。制限時間が来て、どちらがポイントを取ったかが勝敗になりつつ、最初に配られたそれぞれのシナリオを交換する。そこで、対戦相手の事情を初めて知るわけです。それで「Oh!そうだったんだ!」と気づくわけです。

――短い会話だけでは、相手の事情まではわかりませんもんね。

エド 日常生活でもそうだと思うんです。タクシーに乗ったときや、上司とのやり取りなど、短いやり取りがなんか上手くいかず、モヤモヤすることってありますよね。でも、自分の思い込みで相手のことを決めつけたり、「なんでこうしないんだろう」と怒るのではなく、「お互いになんらかの事情があるんだな」と思えたら、コミュニケーションもストレスがなく、相手を責めたりもしなくなります。ゲームを通じてそういうところに気づいてもらえたらと思っています。

――なるほど。でも芸人さんならゲーム中、うまく切り返せそうですが、私たちでもそんなにうまく会話を進められるものでしょうか?

エド そんな時のために、お助けアイテムとして「台詞カード」「アクションカード」というものを用意しました。ジャッジが「対戦がちょっと行き詰っているな」と感じたら、お助けアイテムを使って突破口を作り、場を再活性させます。
ちょっとしたことで場の風向きが変わったりするんですよね。たとえば、「感謝を伝える」というアクションカードかあって。相手に「ありがとう! いつも優しくしてくださって」と、そんなふうに言われると「私のほうこそ……」となったり。そういうことは、日常のヒントにもなると思うんですよね。

出典: FANY マガジン
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――日常のヒントになる気づきがあるというのも、このゲームの特徴なんですね。

エド はい、人間関係の摩擦の根源って“我”なんですよね。我を張り合っていても平行線なんだけど、台詞カードやアクションカードで1回、その“我”を脇に置くきっかけを作る。そうして、相手に共感・共鳴(シンパシー)をしつつ思いやり、自分の意見も伝えていく。そうすれば、緩急がついてコミュニケーションがスムーズになります。
ゲームをワイワイと楽しんだあと、ちょっと時間が経ってから「なるほど、ああいうふうにすればいいんだ」とコミュニケーションのちょっとしたコツに気づき、「今度、こんなふうに言ってみようかな」とゲームが日常に活かされたらいいな、というのがこのゲームの真のテーマになっています。

FUJIWARAの2人がさすがすぎた!

――どんな人に、どのようなシチュエーションでゲームを遊んでもらいたいですか?

エド 今回のゲーム化に際しては、幅広く、たくさんの人に楽しんでほしいなというのが第一です。なので、たとえば10~20代のみなさんに気軽に「シンパサイズやる?」と言ってもらえたらうれしいですね。
一応、12歳以上(が対象年齢)となってはいますが、年齢は(上は)いくつまででもできるので、親子、兄弟のみなさんでワイワイやるのもおもしろいと思います。それに1回のゲーム時間は約10分なので、気軽に手軽にできますよ!
また、頭でじっくり考えてから「言う」のではなく、まずは言葉にしてしまう、というのもポイント。現代人の悩ましいところは、動く前に理屈であれこれ考えて、やらないという点です。私が大学院でしていた研究の根幹はそこで。「わかっているけど、できない」という<思考>と<行動>の乖離です。頭だけで考えて終わるのではなく、“まずはやってみる”ということを体感するゲームでもあるんです。

――では、芸人さんで「この人と対戦してみたい」または、「この人にやってみてほしい」という人はいますか?

エド じつは、FUJIWARAさんのYouTubeのチャンネル(『FUJIWARA超合キーン』)で、藤本(敏史)さんと原西(孝幸)さんに対戦していただいたんです。私がジャッジ役で説明しながら、おふたりにやっていただいたんですけど、とにかくエネルギッシュで、言葉がポンポン出て、おふたりともさすがだなぁと改めて実感しました! 
そして、おふたりとも物凄く真剣にやってくださって、本当にありがたかったです。芸人さんはやっぱりエネルギー量がとてつもなく、また、言葉には力があります。すごく白熱して、まわりのスタッフのみなさんにも大ウケでした。そのとき私はジャッジ役でしたけど、私もおふたりと対戦もしてみたかったなと思いました!

出典: FANY マガジン
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エド あとは、NON STYLEの井上(裕介)さんの『バズらせJAPAN』(TOKYO MXほか)という番組で、井上さんと対戦させていただいたんですが、井上さんもまたすごいんです。その場で初めて見たゲームなのに、理解力とその瞬発力に脱帽して。本当に「すごいな!」と思いました。
芸人さんにやっていただくと、もちろんスピード感もあって、すごいんですけど、それがこのゲームの肝ではなくて、また、上手にやることが目的ではないので、みなさんにご自分のスピード感やペースで楽しんでもらえたらいいなと思っています。

――最後に『シンパサイズ』をやってみたくなるような一言をお願いします!

エド いまカードゲームって若い方にすごく人気があるんですよね? デジタルのゲームももちろん楽しいですけど、実際に顔を見合わせながら、同じ時間を過ごすカードゲームの楽しさもあると思うんですよね。この『シンパサイズ』も、ぜひそんなカードゲームの仲間に入れてもらって、みなさんにワイワイ楽しんでもらえたら嬉しいですね!

ゲーム概要

『シンパサイズ』
発売日:6月28日(火)
定価:2,500円(税別)
製造・販売元:オルトプラス

『FUJIWARA超合キーン』の動画はこちらから。
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