東大教授が科学的分析でM-1優勝予測! オズワルド伊藤「おそろしく気分がいいです(笑)」

東京大学と吉本興業が立ち上げた「笑う東大、学ぶ吉本プロジェクト」の一環として昨年11月に始まった「M-1グランプリを科学する!」の成果報告イベントが、7月17日(日)に東京・本郷の東大安田講堂で開催されました。イベントには、M-1を学術的に分析した東大大学院教授らとともに、研究に協力したマヂカルラブリー(野田クリスタル、村上)、ゆにばーす(はら、川瀬名人)、オズワルド(伊藤俊介、畠中悠)の3組がパネリストとして参加。データで示された自分たちの芸に、改めて感心した様子でした。

出典: FANY マガジン
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この研究は、数々のスターを輩出してきた笑いの祭典『M-1グランプリ』を、東大大学院教授らが学術的に分析するという試みです。M-1出場芸人のネタに共通の特徴はあるのか? 笑いにおける「つかみ」の効果とは? SNSデータから読み解くM-1にまつわる意外な分析結果とは? などなど興味深い“研究テーマ”が並びました。

つまらなくても“つかみ”は必要

この日のMCを務めたのはしずる・村上純。ファシリテーターは、アクセンチュア ビジネスコンサルティング本部 インダストリーコンサルティング日本統括 マネジング・ディレクターの中村健太郎氏。そして研究成果を発表するのは、東大大学院の植田一博教授(総合文化研究科広域科学専攻広域システム科学系)、大澤幸生教授(工学系研究科システム創成学専攻)、浅谷公威特任講師(工学系研究科技術経営戦略学専攻「坂田・森・浅谷研究室」)の3人の研究者です。

気になる研究成果の発表は、まずは植田教授による「笑いにおける“つかみ”の効果」から。「本ネタ」のアイドリングともいうべき「つかみ」が「本ネタ」の面白さに与える影響を調べるというこの研究では、「面白いつかみがあったほうが、本ネタも面白く感じるのではないか」という仮説をもとに、トータルテンボスの漫才を「面白いつかみ」「面白くないつかみ」「つかみなし」の3つに分けて実験しました。面白さは「笑顔度」と「自律神経系(心電位)」の2つで計測し、漫才の動画を見る前の安静時からの変化を測ります。

出典: FANY マガジン
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その結果、「つかみあり」のほうが「つかみなし」よりも本ネタを面白いと感じることがわかったと明かす植田教授。ただ、「面白いつかみ」と「面白くないつかみ」の間には差がなかったとのことで、「『面白くないつかみ』はトータルテンボスの藤田さんに考えてもらったんですけど、やっぱりプロの方なので意外に面白かったんですよ。だからちょっとマズイなぁと思った」と苦笑します。

中村氏は「ビジネスシーンでも、つかみのことを“アイスブレイク”と言って、つまらなくてもやったほうがいいと言われているんですが、やっぱり効果があることがわかりました」と感心した様子。一方、オズワルド・畠中は「(“つかみ”だけに)つかみどころのない話でした」とダジャレでコメントしていました。

出典: FANY マガジン
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Twitter&劇場データで優勝決定!?

浅谷公威特任講師の研究発表のテーマは、「計算社会科学による分析で今年のM-1王者を予想する」というもの。Twitterのデータから導いた「芸人+有名人ネットワーク」や「お笑い芸人貢献度ランキング vs M-1結果」、さらに新宿・ルミネtheよしもとなどの劇場の入場者数やチケットの販売数、ルミネtheよしもと公式アカウントのLike数などから分析して、今年のM-1優勝者を予想するという浅谷講師に、オズワルド・伊藤は「マジで余計なことしないでもらっていいですか?」とクギを刺します。

もっとも、Twitter上でファン層が近い芸人同士を線で結んだり、フォロワー数の多さを「●」の大きさで表したり、お笑い以外のジャンル(タレント、スポーツ、時事など)に近い芸人が一目でわかる浅谷講師の「芸人+有名人ネットワーク」の図表が紹介されると、その面白さに芸人たちは大はしゃぎ!

出典: FANY マガジン
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分析の結果、浅谷講師は「去年の6月のルミネとM-1の予測精度がいちばん相関性が高かった」ことがわかったと明かし、「つまり、『2022年6月の劇場の入場者数によるM-1グランプリ予測』での1位のコンビが優勝します」と自信たっぷり。

そして、今年の6月のデータが発表されると……なんと1位は「オズワルド」! 会場から大きな拍手が起こり、オズワルドの2人は嬉しそうに「やったぁ!」とガッツポーズです。伊藤が満面の笑みで「おそろしく気分がいいです(笑)」とコメント。畠中からは「優勝するって言ってもらえたんで、もうやんなくていいんじゃないかな」と本末転倒な発言まで飛び出しました。

出典: FANY マガジン
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おやじギャグがウケない理由も判明!

最後の発表は、大澤教授の「M-1グランプリの芸を科学する」の成果報告です。この研究では、大澤教授が開発したソフトウェア「KeyGraph(キーグラフ)」を使って漫才の流れを可視化し、言葉の重要性やその役割、さらに観客が笑っているかどうかなどを分析。サンプルとしてマヂカルラブリーの「つり革」ネタをグラフ化したものを見ながら、大澤教授が「KeyGraphによる漫才ネタの可視化」について説明します。

出典: FANY マガジン
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そこから発展して、大澤教授のもとで学んでいる東大工学部の森原ソフィア遥さんによる「ゆにばーすテキストをKeyGraphで分析する〜なぜおやじギャグはウケないのか?〜」の研究成果発表へ。ゆにばーすの“賛成派と反対派に分かれてディベートする”という漫才ネタを題材にした分析で、「笑わせるには文脈を生み出すことが重要である」ことがわかったと話す森原さんに、川瀬は「登場するなり『イエーイ!』って言う異常者(はら)が出てきたことが文脈になって、笑いに繋がってるんですね」と納得していました。

出典: FANY マガジン
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さらに、「なぜおやじギャグはウケないのか?」という命題について、「おやじギャグには文脈がないから人を笑わせることができない」と結論づけた森原さん。「実は大澤教授もおやじギャグをよく言うほうなんですけど、プロの方のお力で教授のおやじギャグに文脈をつけて、笑えるものにしてもらえませんか?」と芸人たちにムチャぶりします。

おかげで大澤教授は、芸人の思い付きの文脈に合わせたおやじギャグを何度も言わされるハメに。途中で「恥ずかしいんで、やっぱりやめたほうがいいってことですね……」と肩を落とし、会場の笑いを誘っていました。

出典: FANY マガジン
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最後に、感想を聞かれたゆにばーす・はらが「めちゃめちゃ勉強になりました。要はお笑いって“下ネタ”なんだなって」とお約束のコメントで爆笑を生む一方で、今後も「笑いの研究」を続けたいとマジメに話す教授たち。いずれ「笑い」のメカニズムが完全解明される日がくるかも!?

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