静岡県住みます芸人「ぬまんづ」まさかのSOUL’d OUTネタで大バズりの奇跡「そうこうしていたらトレンド入りして…」

どうも、芸人ライターの天狗の横山裕之です。皆さんは、静岡県住みます芸人として同県沼津市で活躍中のお笑いコンビ・ぬまんづ(うえたけ、原いい日)の2人をご存じでしょうか? いま、この「ぬまんづ」が大注目なんです! というのも、自身のYouTubeチャンネルで、伝説のヒップホップグループ「SOUL’d OUT」のパロディコントを公開したところ、約85万回再生の大バズりに。なんでそんなことになったのか、2人にインタビューをしてきました。

出典: FANY マガジン
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ことの発端は6月末、スターバックスの新商品が「ソールドアウト(売り切れ)」というところ、「SOUL’d OUT」と誤変換されてツイートされたこと。2014年に解散し、いまだ根強い人気を誇る伝説の3人組ヒップホップグループ「SOUL’d OUT」と、スタバという意外な組み合わせが大ウケし、瞬く間にTwitterのトレンド入り。「SOUL’d OUT」が再結成!? などとネタ半分に盛り上がっていたところに、もうひとつの偶然が重なります。

なんと、ぬまんづがその数日前、自身のYouTubeチャンネルで元SOUL’d OUTのMC、Diggy-MO’に憧れている英語教師「Diggy-MO吉」というキャラでコント動画を公開していて、「SOUL’d OUT」つながりで約85万回再生(7月31日現在)の大バズりとなったのです。

動画「【コント】Diggy-MO’先生の英語の授業【SOUL’d OUT】」はこちらから。

「SOUL’d OUTの人ですよね?」

――まずは、大バズりしている動画について聞かせてください。そもそもSOUL’d OUTのパロディコントをしたきっかけは、なんだったの?

 僕が中学くらいのときから、ずっとSOUL’d OUTの音楽を聞いていたんですが、最近になって、いろんな芸人さんがトークとか、大喜利の答えとかでちらほら「SOUL’d OUT」っていうワードを出していたんです。それで、もしかしたらSOUL’d OUTのパロディコントなんかをすれば、芸人界隈で「何やってんだよ!」って少しは話題になるかなぁと思って、TwitterとかYouTubeに動画を出してみました。

出典: FANY マガジン
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――SOUL’d OUTのネタ自体は、もともと持っていたの?

 単独ライブのときに作りました。賞レース用のネタとかと関係ない別枠というか、おまけみたいなネタのひとつで。

うえたけ 僕はSOUL’d OUTのコントが正直、お客さんに伝わるかどうかわからなかったんですが、自分たちの単独だし、やりたいことやっていいんじゃないってことでやりました。ただ、単独ライブでやるネタで、いちばん最初に決まったネタがそれでしたね(笑)。

――よっぽどやりたかったんだね(笑)。今回、どういう経緯で動画はバズったの?

 もともとは、最初にYouTubeにアップしてから、その2日後に動画を切り抜いてTwitterにもう一度、アップしていたんです。というのも、そのときハッシュタグで「流行らなかったけど自分が好きな動画」みたいなのが流行っていて。それでちょうどいいと思って、もう一度アップしたら、SOUL’d OUTをいまも好きな人たちの界隈で少し話題になったんです。

――それはありがたいね。

 SOUL’d OUTファンの方がリツイートしてくれたんで、動画が1万回再生くらいになって。そうこうしていたら、スタバの誤変換された「SOUL’d OUT」のワードがトレンド入りして。まさかの僕たちの動画も、その日の夜にトレンド入りするんですよ!

――もう奇跡だね。バズった反響はあった?

 芸人さんの反応はあまりなかったんですが、お世話になっているラジオ局で初めての社員さんに「SOUL’d OUTの人ですよね?」とか、営業先のおじさんから「SOUL’d OUTが好きで」とか、声をかけられることが増えましたね。

出典: FANY マガジン
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――SOUL’d OUTファンの方々からの反応は?

うえたけ SNS上でSOUL’d OUTファンの方々が「面白かったです」って言って下さって。

――ちゃんとリスペクトの思いが伝わっていてよかったね。

うえたけ しかも、そのファンの方々同士の集まりの会みたいなのがあるらしくて、「○月○日に参加してください」みたいなTwitterのリプも来てまして……。

――(笑)。それはどうするの?

うえたけ それには、いまだに返信は返せていないんですが……。

 いまはSOUL’d OUTの動画にぜんぶ振り切ってますんで、集まりに行けない代わりに動画をファンの方々に楽しんでもらえれば、と。

マヂラブ野田がM-1の舞台で…

――それにしても、本当にぬまんづは芸人に愛されるよね。

 そうですかね。

――だって2017年のM-1グランプリで、マヂカルラブリーの野田(クリスタル)さんが「M-1サイコー!」って叫んだのも、うえたけの「沼津サイコー!」っていうギャグのオマージュだよね。その時はリアルタイムで見てた?

 見てました。いきなりあんな大舞台で、野田さんが「いきますよ~。M-1サイコー!」って言ってくれて。しかも、村上さんがその後に「それ静岡県住みます芸人ぬまんづのやつ! 誰も知らないだろ!」って名前を出してツッコんでくれて。

うえたけ 次の日に沼津の劇場(沼津ラクーンよしもと劇場)の寄席があって、ビラ配りしているといろんな人に声をかけてもらいました。「M-1、見たよ。スゴかったね!」って、出てもないのに言われて(笑)。

出典: FANY マガジン
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――そもそも「沼津サイコー!」は、どうやってできたの?

うえたけ 最初はギャグでもなんでもなくて。舞台で緊張して僕がヘンな感じにならないように、はじめに「沼津サイコー!」って叫んでいたのが始まりなんです。大きな声を出して緊張もほぐせるし、それをボケにしてネタに入っていたんです。

――もともと自分で考えたの?

うえたけ いちばん初めは同じ静岡県住みます芸人の先輩である富士彦さんが、「うえたけが『沼津サイコー!』って叫ぶのはどう?」ってアドバイスをくれたんです。それをずっとやっていくうちに、まずはお客さまが「沼津サイコー!」に合わせてガッツポーズをしてくれるようになりまして。それで「これはいいな」ってことになって、「皆さん、お待ちかねのアレいきましょう。いきますよ~」をつけて、「沼津サイコー!」って満を持してやるようになったんです。

――ちゃんと進化しているんだね。

うえたけ そこからトレンディエンジェルさんが「そのギャグいいね」とか、ペナルティのワッキーさんも「それギャグじゃなくて、ただ叫んでるだけじゃねーかよ!」ってイジって下さって。だから、いまもやり続けるようにしてます。

 最初は、沼津に来て「沼津最高だ!」っていう意味合いだったのが、皆さんによってギャグにしてもらったって感じですね。

出典: FANY マガジン
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NSCのらせん階段で上から全員にイジられる

――そもそも2人は、どうして芸人になろうと思ったの?

うえたけ 高校時代に進路を決める時期にやりたいことがなくて。テレビでお笑いの世界に憧れていた部分があったので、お笑いの道を目指そうかなぁと思ったんですけど、なかなか一歩を踏み出せずにいて……。そんなとき、高校の同級生で現「まんじろう」の大寺(惇平)っていう奴がいるんですけど、コンビを組んで一緒にNSC(吉本総合芸能学院)に入ったんですよ。ただ、頑張っていこうと思ってたんですけど、入学して3日くらいですぐに解散しまして……。

――早いね(笑)。

 僕は高校を卒業して東京の服飾の専門学校に入ったんです。なにも知らない人が服飾の道に進めば、スゴい奇跡的な服を生み出すんじゃないかと思って行ったんですけど、何も知らないまま3年間過ごしてしまいまして(笑)。だから就職先がなくて……それで、めちゃくちゃ好きなラーメン屋さんに社員募集の張り紙があったんで、まわりの友だちに「オレ、ラーメン屋になろうかな」って話したら、「大変な仕事だよ!」と言われて。そのとき、「大変じゃない仕事なんてないよな」と思ったんです。それで、どうせ大変なら、いままででいちばんやりたいと思った仕事をやろうと思ってNSCに入ったんです。

――それで2人は、NSCでコンビを組んだんだね。お互いの第一印象はどうだった?

うえたけ 芸人として一生懸命頑張ろうっていう熱量が見えていたので、クラスのなかで目立っている印象でした。

 NSCってらせん階段になっているんですよ。授業が始まるまで生徒が100人くらい、らせん階段に並んでいるんですけど、授業が終わったうえたけが上から、見事に全員にイジられながら降りておりてきたんですよ(笑)。

――全員に!?

 はい、それが第一印象ですね。

出典: FANY マガジン
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――すごい“愛され力”だね。そこから、どういう経緯で住みます芸人に?

 2年間、東京で活動していたんですが、月に2回だけのライブと、たまに同期の知り合いのバーでやるプチ闇ライブみたいなものだけでして(笑)。あとはずっとバイト。僕のなかで、プロとしておカネを稼がないといけないという意識がスゴくあったので、1年目から「何かやらないといけないんじゃないか?」と、ずっと焦っていました。。
それで2年目になったときに、ちょうど(吉本で)YouTube芸人募集というのがあったので応募したんです。

――じゃあ、ライブとYouTubeが仕事になったんだ。

 そのあたりからYouTubeのスタッフさんが、吉本の配信の仕事なんかにも呼んでくれたりして。そこで社員さんのなかで僕たちのことを知ってくれている人が増えて、沼津の住みます芸人のオーディションの連絡をいただいたんです。

――ここでも“人との縁”で仕事を勝ち取るんだね。

 僕の実家が沼津の劇場から歩いて5分くらいのところだったので、こういう芸人がいたら応援されるだろう、というのもあって選んでいただけたのかなと思います。

沼津の劇場のガラパゴス的進化

――東京で頑張ろうって思っていたのが、地元に戻って活動しようと決意したのはどうして?

 やっぱり仕事量ですかね。当時、YouTubeをやっても僕たちはおカネを稼げなかったので。それだったら毎日、劇場に出られる沼津を選びました。

――うえたけも同じ意見?

うえたけ そうですね。もう原にコンビの舵取りは任せていたので。「いいよ~」っていう感じでした。

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――軽いね(笑)。でも、うえたけは千葉県浦安市出身。沼津出身でもないのに、そんな軽さで大丈夫だったの?

うえたけ 正直、オーディションに落ちまくっていたので、これもどうせ落ちるだろうくらいの感覚でいたんですけど、結局、受かっちゃって……。

――え、イヤだったの?(笑)

うえたけ そんなことないですよ!(笑) 僕も仕事がない焦りはあったので、それだったら沼津に行くことで何か変われるのかなぁと思いましたし。

 でも、何年後かに聞いたんですけど、(同期の)オズワルドの伊藤(俊介)は「もう戦うのを辞めたんだ」と思ったと言ってましたね(笑)。

――いまの活躍をみたら、まだ戦っているのは十分わかるよね。沼津の劇場はどんなところなの?

 独自の進化をしてますね。沼津の劇場は、ちょっとガラパゴス感があるんですよ。社員さんが支配人の1人だけで、あとは静岡県住みます芸人の富士彦さんと、ぬまんづと、さこリッチさんの4人が支配人と力を合わせてやっている劇場でして。作家さんもいないので、ライブも自分たちで考えたり、ライブの台本とか、香盤表(スケジュール表)とか、みんなでやってますね。

――手作り感のある劇場ってことかな?

 そうですね。ライブの企画を考えるのが僕らだけなので、独自の発想がいい意味でヘンな方向に伸びていってるというか。

――どんなライブがあるの?

 大成功でいうと、バカなふりして佐久間一行さんにお願いして、2組でライブをやらせて頂いたりとか。

――そのバカなふりはすごいね!

 逆に失敗でいうと、コロナ禍の影響もあるんですけど、「レイザーラモンさんのプロレスを目の前でみよう」みたいなライブをやって、すごく面白かったんですけど、お客さんはそんなにいなかったりとかで……。

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――ほかの劇場とは違う面白さがあるってことだね。

うえたけ 静岡の県民性かわかんないですけど、初対面はシャイだったりするんですが、打ち解けると「仲良くしようよ!」みたいに言ってくれる温かい人が多いんです。だから、沼津に来るお客さんは、出囃子のときに手拍子してくれるんですよ。地域の人に支えられている劇場だと思います。

――劇場も8周年だけど、今後こうしていきたい、ということは?

 理想を言うと、僕らが賞レースで結果を出したり、全国区のテレビとかに出演したりして、沼津じゃないとぬまんづが見られない、くらいになりたいです。

うえたけ ぬまんづだけで大勢のお客さんが呼べるようになれたら、と思います。

――では最後に、ファニマガの読者にメッセージを。

うえたけ 沼津は自然も豊かですし、人も優しいですし、ゴハンも美味しいし、観光地として抜群な場所なんです。まずは、沼津の劇場よりも沼津を知っていただきたいです。静岡県住みます芸人として、沼津の魅力を全国に発信していきたいと思っています!

 1年目から、ずっと同じこと言ってますね。

――それはそれでスゴいね(笑)。

 コメントはずっと一緒なんですけど、うえたけは沼津に家を建てたんですよ。

―えぇ!! それはスゴいね!

うえたけ 沼津の方と結婚しまして、沼津にずっと住むつもりで覚悟を決めていますので。

 沼津は1時間ちょっとで東京にも出られるので、宿泊しなくても劇場でお笑いを観て、そのあと港で楽しむコースが日帰りで行けちゃう場所なんです。旅行のついでに劇場に来たり、お笑いを観るついでに旅行もできるっていうのが沼津なので、ぜひ皆さん、遊びに来てください!

うえたけ 沼津の空気を味わってほしい!

 そればっかりだな(笑)!

出典: FANY マガジン
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