COWCOWと年間140日以上会う「家族のような」作家――ギャグもできる浅川大祐の魅力とは【芸人と、作家と】

芸人と、作家と

ネタ作り、ライブ、テレビ、YouTube……さまざまなシーンで、芸人たちを支える“作家”。芸人たちは、どのように作家と仕事をしているのでしょうか。芸人×作家のスペシャル対談シリーズ

ネタ作り、ライブ、テレビ、YouTube……さまざまなシーンで、芸人たちを支える“作家”。芸人たちは、...

ネタ作り、ライブ、テレビ、YouTube……さまざまなシーンで、芸人たちを陰で支えている“作家”と呼ばれる職業の人たちがいます。第一線で活躍する芸人たちは、どのように作家と仕事をしているのでしょうか。芸人×作家のスペシャル対談シリーズ『芸人と、作家と』――今回は、“劇場番長”のCOWCOW(多田健二、善し)と彼らを支える作家の浅川大祐が登場。年間140日以上会うという3人のネタ作りの進め方について語ってもらいました。

出典: FANY マガジン
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COWCOWが気持ちいいいネタ作りを

――COWCOWのおふたりと浅川さんの出会いを教えてください。

多田 15年くらい前かな。

浅川 (元ハリガネロック)ユウキロックさんのバースデーイベントでした。リハーサル中にユウキロックさんの前でCOWCOWさん、タカアンドトシのトシさん、ニブンノゴ!の宮地(謙典)さん、ダイノジ・大地洋輔さんが「いい案が浮かんだんですけど」と言って自分が考えたギャグをやる楽屋ノリがあったんです。
僕ら作家が芸人さんと打ち合わせをするときは、その場の雰囲気を明るくするのも仕事だと思っているので、いちばん下っ端だった僕もギャグを作って披露していました。その打ち合わせが終わったあと、COWCOWさんに「いいギャグ持ってるやん」と声をかけていただいたのが出会いです。

善し “ギャグをやる作家”としてインプットされていたんで、(当時のことは)よく覚えていますよ。作家の仕事って、いろんな案を出してくれたり、コントの設定を考えてくれたりするのは普通だと思うんですけど、ギャグをやる作家っていないじゃないですか。

出典: FANY マガジン
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浅川 厳密に言うと“やらされた”作家なんですけどね(笑)。

善し やらされたとしても“できる人”“できない人”で分かれてしまう。だから“できる側”の人間やなと思っていましたね。

多田 もうひとつ印象深いのが、(浅川が)2丁拳銃(小堀裕之、川谷修士)の作家についていたんですけど、僕らが2人のイベントに出させてもらったとき、浅川とすごく話しやすかったんですよね。当時、作家は寡黙で仕事以外の話をしないイメージやったんですけど、浅川は社交性もあって喋りやすいし、芸人に寄り添った仕事ぶりだったんで、オレらにもついてほしいなと思っていました。その後、ユウキロックさんのライブに呼んでもらったときに浅川を見て“あの作家や!”と思いました。

――浅川さんと仕事をすることは、2人で話し合って決めたんですか?

多田 僕から「あの子いいよな」と言い出したと思います。浅川を入れたら打ち合わせの雰囲気も変わるんじゃないかと思ったんですよね。

――浅川さんが作家になったきっかけを教えてください。

浅川 構成作家は、小説を書いたり、ライターをしていたり、ほかの仕事も手広くやれる仕事だと思ったので大学卒業後、NSC(吉本総合芸能学院)の作家コースに入りました。お笑いは“ある程度好き”くらいだったんですけど、学校で学んでいるときに「芸人ってすごいな」「面白いことを一生懸命考えているんだな」と思うようになって……。芸人を支える仕事も楽しいだろうなと思ったのがきっかけです。

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――COWCOWのおふたりから見た浅川さんの魅力はどこですか?

多田 総合力がすごい。案を出してくれるし、喋りやすいし、打ち合わせの場におってほしい作家。だからこそ、これだけずっと長く仕事をさせてもらっているんじゃないかと思います。

善し もちろん、ほかの作家さんも案を出してくださるんですけど、(浅川の場合は)僕らに合っている、僕らができそうな案を考えて出してくれるんです。突拍子もない意見もありがたいんですけど、そうじゃなくて、オレらにぴったりな案とか、オレらが気づかない引き出しから出してくれるんですよ。

――浅川さんもそのあたりを意識しているんですか?

浅川 そうですね。自分のなかで面白いと思うことにプラスして、COWCOWさんがやったら面白そうなこともありますし、逆に2人がやらなさそうなことをあえて言うこともあります。いちばん重きを置いているのが、「これまで作ってきたネタの流れに沿わないボケをしない」ということです。誤解を恐れずに言えば、COWCOWさんの気持ちいい流れでネタ作りを進めようと考えています。
あと、COWCOWさんは2人とも「僕らこういうことやってるよ」「こういうネタ作ってるよ」と逐一教えてくださるので、会う機会が少なくても多くても、毎日会ってるような感覚にしてくださるんです。やりやすい雰囲気づくりをしてくださっているからこそ、さきほど褒めてくださったようなことができているんだと思います。

出典: FANY マガジン
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COWCOWは「いちばんの先生」

――浅川さんは、ふだんのネタづくりから参加しているんですか?

浅川 そうですね。ネタ作りは僕1人だけが参加するのですが、もう1人の後輩の作家が周辺のことを固めてくれているので、自分はアイデアを一緒に構築しているような状況です。ほかの芸人さんによってはゼロから作る場合もありますが、基本的におふたりは、やりたいことが内から出てくるタイプ。1を用意してくださるので、自分は1を100にしていけるようにお手伝いしています。

――これまで一緒にいるなかで印象に残っている仕事や出来事を教えてください。

多田 調べたら、去年、浅川と年に142回会ってるんですよ(笑)。2008年くらいから東京で毎年、単独ライブをやっていこうと決めてから浅川がついてくれているんですけど、そのときは単独ライブ開催のだいたい2カ月くらい前からネタを作り始める方式でした。でも、“ライブがあるからネタを作る”という方法が違うような気がして、5年前くらいから正月休みが終わったら、年末のライブに向けて年中3人でネタ作りをする方式に変えました。
だから日々、当たり前のように会ってはいるんですけど、1日2時間って決めてキュッとやってサッと帰ることを心がけているので、そんな雑談もしないですし……。ほんま、家族のようにいてるので思い出がないのが思い出ですね(笑)。

出典: FANY マガジン
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善し 年間、何日も会っているので、ほかの番組に出るときにも相談しやすいし、ライブ以外の仕事も頼りにしています。 浅川が言ったことで印象に残っているのが、「(採用されるのが最終的なボケや設定の)1、2個前のアシストの部分でもいい」という言葉。彼のおかげで答えが導かれることもあるし、浅川がいなかったら辿り着いていないネタや設定も多いんですよ。

多田 過去のネタもぜんぶ知っているので、「あれを変えてみるのはどうですか?」といったような意見を言ってくれるのもありがたいですね。

善し あと、『エンタの神様』(日本テレビ系)に出させていただいたときに、多田がギャグをやってツッコミを入れる道場破りという設定のコントをやったんですよ。打ち合わせで『エンタ』側の作家さんもいらっしゃったんですけど、やっぱり浅川にも入ってほしかったんで呼びました。おそらく番組に(外部の)作家を入れてもらったのって僕らが初めてやったと思うんですよ。

浅川 COWCOWさんは芸人につく作家として、いちばん勉強になった先生です。おふたりの単独ライブが東京で始まったときには、チーフ作家もやったことないし、ツアーも経験していなかった駆け出しだった僕を最前線に飛び込ませてくれました。そのおかげでいろいろとタフになりましたし、本当に多くの迷惑をかけたなと思います。

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――COWCOWの2人と接するなかで、浅川さん自身のターニングポイントを教えてください。

浅川 自分のアプローチの仕方が変わったのは、のちに多田さんが優勝、善しさんがファイナリストになる『R-1ぐらんぷり』(現『R-1グランプリ』)準決勝で、おふたりを観たときです。そこで、COWCOWさんって面白いと思っているポイントは一緒なんだけど、違う部分も持っているんだと気づきました。それからは「COWCOWだったらこう考えるんだろうな」から「多田さんだったら、善しさんだったら……」と考えるようになりました。

善し「浅川は生粋の“作家バカ”」

――長年つき合ってきたなかで、浅川さんの意外だなと思うところはありますか?

多田 ……THE ALFEEの高見沢(俊彦)さんと知り合いなところ。ラジオの仕事で一緒になったらしく、高見沢さんとの話を時々してくれる(笑)。

善し 浅川は生粋の作家バカなんですよ。人間って少なからず欲があると思うんですけど、浅川からいっさい感じない(笑)。どちらかというと、“お笑いで何かをしたい”という欲が強いんだと思います。

――浅川さんもCOWCOWから学びたいという気持ちが強いんですか?

浅川 そうですね。作家業は生涯学習だと思っていて。COWCOWさんとの2時間の打ち合わせで常に勉強させてもらっているし、目の前の面白いものを一緒に作っていきたい欲が強いです。だから、ほかの欲望を見せる瞬間がないというか(笑)。一緒に食事をしているときも、“この時間を実のあるものにしないと、明日、自分が交通事故にあって先生たちに会うことができなくなったらどうするの?”と思うくらい覚悟して臨んでいます(笑)。

出典: FANY マガジン
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多田 ふつう、作家はみんなテレビにいきたいと思うんです。でも、浅川は時間をとってこちらにきてくれるし、僕らも浅川を必要としている。ライブの仕事にもちゃんときてくれるからありがたいですね。

――浅川さんが知るCOWCOWの意外な一面を教えてください。

浅川 COWCOWさんって劇場番長でスベらない印象があると思うんですけど、そんなおふたりのアイデアでも、ときどき「これネタにならないだろう」というものもあります(笑)。いいところを探そうとするけど、ぜんぜん味がしないみたいな……。そういうときは「いつか試したいですね!」と言うようにしていますね(笑)。

多田&善し (笑)。

――浅川さんとこれからどんな仕事をしていきたいですか?

善し いままで通りの関係ですよね。それが変わらなければいいのかなと思います。あと、ギャグは彼の魅力のひとつ。それができるって、作家として大事なことやと思うんですよ。意見を言うときって、芸人の前で言うと却下されることがほとんど。そんななかで堂々と発言してくれるってすごい大事やし、それが回り回っていいネタになることもあるんでね。浅川は毎回、言うてくれるんでありがたいんです。

多田 最終的なことをいうと浅川にカネ持ちになってほしい(笑)。僕らに携わる人には全員、カネ持ちになってほしいので、そのためにも僕らがもっと頑張らないといけないなって思います。いつか、いい車に乗って打ち合わせにきてほしいですね。

出典: FANY マガジン
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公演概要

『COWCOW 29th LIVE』

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名古屋公演:10月9日(日) 今池ガスホール 
※FANYチケットでチケット発売中

FANYチケットはこちらから。

福岡公演:11月5日(土) よしもと福岡 大和証券/CONNECT劇場
東京公演:11月25日(金) ルミネtheよしもと
大阪公演:12月23日(金) なんばグランド花月
※FANYチケットで9月3日(土)先行発売、9月10日(土)一般発売予定(3公演共通)

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