レギュラーラジオ番組を持つ芸人は、番組の本番前後でどう過ごしているのか。決まってやっていること、ルーティンはあるのか――そんな素朴な疑問を本人、番組スタッフにぶつけて、番組や芸人の魅力に迫る連載企画『わたしのラジオルーティン』。今回は、11月13日(日)に20周年単独ライブ「20年経ってもがんばっていきまっしょい」を開催するLLR(福田恵悟、伊藤智博)が登場。お笑い芸人に特化したラジオアプリ「GERA」で配信中の『LLRのダブルバインド』(毎週月曜20:00~)の収録現場にお邪魔しました。
“吉本の闇”まで切り込む!
昨年7月にスタートした『LLRのダブルバインド』(以下、ダブバイ)は、数多くの人気芸人がパーソナリティを務めるGERAアプリのなかでも、人気の高い番組。吉本芸人のマル秘情報や、“吉本の闇”まで切り込むトークが話題となっています。
収録日の9月某日、GERAの運営会社・ファンコミュニケーションズにLLRが到着。2人はすぐに会議室に入って番組プロデューサーの横田早紀さん、ディレクター兼ADの井草諒哉さん、作家のこまさんと打ちあわせ。用意された台本を読みながら2本分(#63、64)の収録の流れを確認したのち、同社の会議室で収録です。LLRのほか、横田さん、井草さん、こまさんも参加した収録では、ふつおた(普通のお便り)やコーナーメールはもちろん、福田の吉本トークではまさかのウラ話も!
そして収録終了後、LLRと横田さん、こまさんの4人に話を聞くと、どうもLLR の2人にはルーティンがないようで……。
「芸人が聴いてくれている」
――『ダブバイ』は、すでに60回を超える人気番組です。周囲の反応はどうですか?
福田 けっこう芸人さんが聴いてくれていて、声をかけてくれることが多いです。ありがたいですね。
伊藤 意外と後輩からも「聴いてます」という声が多いです。
――ラジオの空間でトークできるのは、コンビとしてもいいものですか?
福田 まったく2人じゃないからいいですね。作家さんもいてスタッフさんもいて……こうなってくると、みんなと話している感じ。楽しくできますよね。
伊藤 (収録は)会議室で、ブースで分かれているわけではないので、みんなで話せる。楽しいですね。
――放送開始から1年がたちましたが、5人の関係性はどうですか?
福田 かなり深くなってきたと思います。
伊藤 気づけば、1年以上たったんだなと思いますね。2週間に1回の収録なんですけど、ここまで同じペースで会うのはなかなかない。居心地もいいので、井草さん含め、この皆さんでよかったです。
福田 (テレビなどの)スタッフさんは現場によって違うじゃないですか。そういう意味では絆が深くなっています。コロナも収まってきたら、今年こそ忘年会をしたいですね。
ルーティンは来る前の坂道!?
――番組の準備は基本的に、メール選びなども含めてスタッフさんにお任せするスタイルですか?
福田 そうですね。基本的に僕ら、(台本が)ペライチの現場しか行かないんで助かります(笑)。
――こまさんは本番前に、台本制作、話題収集、メール選びなど準備することも多いのでは?
こま 作家としては当たり前なんですけど、たくさんのメールをいただいているので、選ぶ作業に関しては慎重に、かつ話が膨らみそうなものを選んでいます。LLRさんを長年応援しているファンの方は昔の裏話を聴けるのも嬉しいでしょうし、いまのLLRさんをもっと知りたいというファンの方もいるので、そのあたりも重きを置いて準備しています。
――横田さんは環境づくりになるのでしょうか?
横田 私は運営側ではあるので、台本チェックをしたり、大枠の方向性をすり合わせたりしています。LLRさんがどんなことでも膨らませてくれるので、こちらから細かく演出をつけることはないです。
――スタッフさんからタネをもらって、LLRの2人が膨らませていく形なんですね。ということは、基本的にLLRさんが準備するものやルーティンはないんですか?
福田 ないですね。
伊藤 ここ来る前に、坂道を登ってくるんですけど、そんなに急がず来るようにしているくらいです。最初は、(ペースがわからず)めちゃくちゃ息が上がって、汗もかいちゃったんで急いじゃダメだって(笑)。
――エンジンは本番で一気にかけると……。
福田 もしかしたら、(本番でも)エンジンがかかっていないのかもしれないです。
伊藤 確かに(笑)。そんなに回転数を上げないまま、やることがあるかも。
横田 本番前、伊藤さんとはアイドルのこと、福田さんとはお好きなドラマについてアイドリングトークしている印象があります。スタッフと共通の話題で盛り上がっているので、そこで空気感ができているような気がしますね。
“2人の会話の盗み聞き”が理想
――やはりメインは、吉本の最新ニュースに福田さんがご意見番としてコメントする「吉本トレンドニュース」のコーナーですか?
福田 そうですね。僕らが番組をやらせてもらうことになったとき、(ほかの)GERAメンバーはまだ若手が多かったので、若手芸人がしない“吉本のウラ側”を話そうと。僕たちとしては当たり前のことをみなさんに知っていただくだけですし、言っていることは事実なんで怒られることもない(笑)。
――2人だけにしか出せない空気感が、番組のカラーになっているような気がします。
こま おふたりの楽屋での会話を“盗み聞きしている形”を理想にしているので、自然にお話をしていただいている部分があります。以前、相席スタート・山添(寛)さんがゲストでいらっしゃったとき、LLRさんに対して「おふたりが事前に準備されることって、ネタに関してもないですよね」とおっしゃっていたんですよ。そこが逆におふたりのルーティンになっているのかなと思います。私たちは(LLRが所属していたヨシモト∞ホールのライブ)『AGE AGE LIVE』世代で、憧れの存在だったんですけど、本当に自然体のおふたりだからこそ、私自身もフランクに、楽しみながらやらせていただいています。
――皆さんは『ダブバイ』のどんなところに魅力を感じていますか?
福田 結局、ウソ偽りのない話ばかりをしているところですね。特に僕たちはボケたりしない。ふつうの話をして、それをただただ聴いてもらう……。ほかのGERAさんの番組はボケるじゃないですか。だから、ボケのある面白いラジオはほかを聴いていただいて。
こま (笑)。エピソードトークも聴いてみたいですけどね。
伊藤 逆にエピソードトークがないところがいいのかな。最初の番組コンセプトは「アーバンでビターな大人のラジオ」だったんですけど、気づいたらカネの話ばっかしていて(笑)。それが自然でいいのかなと思います。
こま LLRさんだから話せる吉本のウラ事情。この一言に尽きると思います。特に吉本さんに所属する“内部事情を知りたい若手”の方に聴いていただきたいですね。いまがいかに恵まれているかを感じられる深いお話が聴けると思います。
横田 若手芸人さん必聴のラジオですよね。むかしから好きな方はもちろん、いまお笑いファンになった方でも、東京吉本さんのお笑いの歴史を勉強できると思います。よりディープな世界を知ることができるので、お笑いオタクの第一歩としても聴いていただくのに、いいコンテンツだと思います(笑)。
ライブのアフタートークは危険!?
――11月13日(日)には、ヨシモト∞ホールで単独ライブが行われますね。
福田 これまで単独ライブを20~30回やってきているんですけど、たとえば、オープニングがあって、ネタやって、VTRがあって……というのを繰り返すんですよ。最近、歳をとってきて、そんなストイックなことする必要なかったんだなと気づきました(笑)。まだ、何も決まってはいないんですけど、違う形のライブをやっても楽しいかなと思ってきたので、いろんなことを試したいなと思っています。
伊藤 これまでの単独ライブでは、僕ら1本のネタが長いんで、2時間半とかやっていたんですよ。今回はライブ後にアフタートークがあるので、きっちり90分で終わらせます。そのあたりは安心して来てほしいです(笑)。
――今回、単独ライブ「20年経ってもがんばっていきまっしょい」と、そのあとに続くアフタートークライブは、オンライン配信があります。
福田 アフタートークの配信は、メンツ的に(危険な話も飛び出しそうで)危ない感じがしますね(笑)。
お笑いラジオアプリGERA『LLRのダブルバインド』の詳細はこちらから。
公演概要
LLR20周年単独ライブ「20年経ってもがんばっていきまっしょい」
日時:11月13日(日) 開場12:40 開演13:00 終演14:30
会場:ヨシモト∞ホール
出演:LLR/てつみち/ですよ。/怪獣 たけうち/こりゃめでてーな こう大/セブンbyセブン 玉城/長崎亭キヨちゃんぽん/クレオパトラ(フリー)
チケット:前売り3,500円 配信1,500円
【アフタートーク】LLR20周年単独ライブ「20年経ってもがんばっていきまっしょい」
日時:11月13日(日) 開場15:10 開演15:30 終演16:30
出演:LLR/てつみち/ですよ。/怪獣 たけうち/こりゃめでてーな こう大/セブンbyセブン 玉城/長崎亭キヨちゃんぽん/クレオパトラ(フリー)
会場:ヨシモト∞ホール
チケット:前売り2,500円 配信1,200円
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