「山梨県住みます芸人」になって、12年になるいしいそうたろう。もともと東京出身で山梨に移住した当初は「右も左もわからなかった」といいますが、山梨の人たちと交流が生まれ、自分の子どもを育てるなかで、いまでは「第2の故郷を盛り上げたい!」という気持ちになっているそうです。今回、そんないしいに、地元での活動や、山梨に住んでいるからこその思いなどを聞きました。いしいと言えば、俳優・佐藤浩市のモノマネでおなじみですが、山梨では果たして……!?
吉本興業グループでは、47都道府県の住みます芸人を中心に、全国の自治体、企業・団体など地域の人たちと力を合わせて、地域活性化や地域課題の解決に取り組んでいます。いしいも山梨県住みます芸人になって以来、野菜の移動販売や、ふるさと劇団の創設、JR甲府駅でのストリートピアノ設置など、地域を盛り上げるためのさまざまな活動に精力的に取り組み、地域の人たちから大きな信頼を集めてきました。
また、「BSよしもと」(2022年3月開局)では、地方創生をコンセプトに地域の活性化や課題解決、番組からの起業を目指すプログラムを発信していて、いしいのこうした活動も『チーキーズ a GoGo!』番組内のコーナー「住みます!やります!がんばります!」のなかで随時、報告しています。
ラジオでの冗談がきっかけで「信玄公祭り」に
――いしいさんが山梨県の住みます芸人になって、12年が経ちます。現在のレギュラーの仕事はどんなものがあるんですか?
レギュラーでは、山梨放送さんのラジオを2本持っています。ひとつは「キックス」というお昼のワイド番組の月曜パーソナリティー。もうひとつは、火曜日の19:00から21:00までの「いしいそうたろうのチューチューレディオ」という番組です。
――レギュラー以外では最近、甲府市で行われている「信玄公祭り」に出演していましたね。
信玄公の右腕である山本勘助の隊の侍大将をやらせていただきました。出演の経緯は、じつは今年の信玄公役がジャルジャルの後藤(淳平)くんだったので、そのことを僕のラジオ番組で取り上げて「吉本興業の先輩・いしいは空いてますよ、実行委員会さん!」とアピールしたんです(笑)。冗談のつもりだったんですけど、たまたま実行委員会の方がそのラジオを聞いてくださっていて、本当に出ることになりました。
――いしいさんのTwitterでお祭りの様子を見ましたが、そうとう目立っていました。
山本勘助隊の勝どきを上げさせてもらいました。「行くぞ、出陣じゃ、エイエイオー」みたいなのをやったんですけど、まわりを食ってやろうという気持ちで頑張りましたね。
――ゆくゆくは信玄公もやりたいですか?
やっぱり住みます芸人として、県のいちばん大きなお祭りで主役になるのは夢です。ただ、歴代信玄公を振り返っても、松平健さんなど大御所の方がお務めになっていて、かなりハードルが高い。なので、いちばんいいのは佐藤浩市さんが信玄公役をやって、その影武者を僕がやることですね。信玄公が敵に討ち取られたと思ったら、実は影武者で本物現る、みたいなのがいちばん美味しいと思ってます(笑)。
いしいの名前のバームクーヘンも登場
――10月には、山梨県内にある道の駅の「駅長」に就任したとも聞きました。ふつう、芸人が「駅長」といったら「1日駅長」ですが……。
無期限駅長です(笑)。僕が住んでいる富士川町にある「道の駅富士川」という駅なんですが、この駅をPRしたいという富士川町長のご要望と、富士川町を起点に山梨を盛り上げたいという僕の思いが重なって、協力させていただくことになりました。
――「駅長」ということは、いちばん偉い人……なんですか?
いえいえ、道の駅富士川をPRしていくのに何かしら肩書があったほうがいいだろうということで(笑)。「支配人」とか「社長」はいるんですけど、たまたま「駅長」はいなかったんですよね。傍から見るとトップに立ったように見えるので、「じゃあ駅長をください」とダメもとで言ってみたら「いいですよ」と、即答で返事をいただきました(笑)。
――具体的な活動内容は?
まず、道の駅の中にあるバームクーヘンのお店「BAUM ARURA」(バウムアルラ)のPRですね。「いしいさんちのクーニャン・クーワン」という商品名でバームクーヘンのパッケージをプロデュースして販売しました。あとは山梨県の武田牛乳の瓶とバームクーヘンをセットで売る「いしい駅長セット」も販売しています。
――いしいさんの名前が前面に出ているんですね。
道の駅さんもアルラさんも協力的で、本当にありがたいです。むしろ「いしいさんの名前をつけなくていいんですか?」みたいに、あちらから言ってくれたりするので、嬉しいですね。
かじりついてでも山梨で頑張りたい
――いま東京と山梨の仕事の比率はどうなってますか?
山梨が98%ぐらいです。
――本当に山梨が「第2の故郷」のようですね。
そうですね。僕は家族がいるんですけど、娘2人は僕が住みます芸人として山梨に来てから、生まれたんです。彼女たちにとってはここが故郷なので、僕も同じ感覚です。少なくとも下の9歳の娘が高校を卒業するまでは、かじりついてでも山梨で頑張りたいと思っています。
――東京よりも、山梨に来てからのほうが充実していますか?
東京にいたときは、芸人としての仕事がほぼゼロに近い状態だったんです。でも山梨に来てからは、アルバイトはしていないので、そういう意味では生き生きとしていると思います。
――東京出身のいしいさんが、山梨県を盛り上げたい理由はどこにあるのでしょう?
最初に山梨に来たときは、実家があるわけでもないし、友人や親戚もいないので、本当に右も左もわからない状態でした。芸人として有名になりたくて、売れたくて、いろんな道を探っていくなかで、住みます芸人という企画がタイミングよくあって、単純にその企画に乗りたかっただけなんです。でも、山梨に来ていろんな人と繋がっていくと、山梨を好きになって恩返ししたくなったんですね。
――山梨に住むうちに、恩返しをしたくなったということですね。
助けてくれる人たちがいるから、いろんなことができていると思うんですよ。少し前に、富士川町の人たちを集めて「富士川町よしもとふるさと劇団」をやったんです。町民の皆さんと事務局を立ち上げて、みんなで膝を突き合わせて、ああでもないこうでもないとやりながら、新喜劇を一緒につくり上げました。この企画は、特にスポンサーがいるわけでもなかったんですけど、みんなで力を合わせて成功させることができました。そういう町の人たちとの交流があると、山梨がどんどん好きになってくるんです。
モモ、ブドウだけじゃない山梨の魅力を伝えたい
――今後はどんなことをやっていきたいですか?
コロナ禍の影響もあるのですが、富士川町では昔からあったお祭りがなくなったりしているんです。なので、そういうものを復活させて、富士川町の人たちがもっと自分の街を自慢に思ってもらえる仕掛けをしたいです。いま考えているのは、道の駅を使って「いしいフェス」みたいなことをやりたいなと。
――面白そうですね。フェスではどんなことをやるんですか?
笑いあり、音楽あり、踊りありです。僕がDJをやって、お子さんが踊ったりとか、楽しいものをやりたいですね。このフェスも、スポンサーがいるわけではないので、皆さんを巻き込みながらつくっていけたらいいなと思っています。
――山梨県のために、いしいさんだからこそできることは、まだまだたくさんありそうですね。
最近思うのは、山梨には、ほかの人を支えたい、力を貸したいと思う人が多いということです。だから、「一緒にやりましょうよ」と言うと協力してくださる方がたくさんいるんです。いつもは謙遜して「山梨なんて何もないでしょ」と言う人が多いんですけど、いざとなると助けてくれるので、「なんだ、ちゃんと山梨を好きなんじゃん」みたいなね(笑)。僕は少し大きな声で「やってみませんか」と言っているだけ、という感覚があります。
――最後に、改めて山梨県のアピールをお願いします。
山梨は東京に隣接しているので、県民の方が東京に遊びに行くことが多いんですけど、そうではなくて他県から「楽しそうだから遊びに行こう」って言ってもらえるように、頑張りたいですね。山梨にはその可能性があると思います。山梨はモモ、ブドウだけじゃないんです。僕も山梨のために、できる限り長く活動していけたらいいなと思っています。
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