大阪・天満天神繁昌亭を中心に活躍した入門25年以下の上方落語協会の協会員(落語家)を顕彰する「繁昌亭大賞」。12月16日(金)に第17回「繁昌亭大賞」が発表され、桂二葉が大賞を、笑福亭鉄瓶が奨励賞を、そして桂三実が新設された入門15年以下の若手を対象とする新人賞を受賞しました。
新作落語を評価されて受賞
それぞれの選考理由について、繁昌亭大賞の審査員で演芸評論家の今村荘三氏がこう話します。
「桂二葉さんは、今年1月末から1週間あった『NHK新人落語大賞』受賞ウィークで、7日間で合計約1000人、オンライン配信で560人と、コロナ禍において素晴らしい集客を残し、人気、実力とも誰もが認める貢献度でした」
「笑福亭鉄瓶さんは、師匠の笑福亭鶴瓶さんにならい、自然体で親しみやすい語り口を身に付け、幅広い観客に向けた“鉄瓶トーク”も人気です。ノンフィクション落語という新ジャンルにも取り組み、話題になっており、ほかにない独自の道を歩んでいます」
「そして新人賞の桂三実さんは新作落語をコツコツと50本以上作られ、名古屋のご出身だから感じる大阪の違和感や、修行時代のネタなど、斬新な新作を演じられました」
大賞を受賞した二葉は、こう挨拶しました。
「入門したときには天満天神繁昌亭があって、それが当たり前やったけど、たくさんの人のおかげでできたということに感謝しています。大賞は嬉しいというより畏れ多いという感じですが、昼席、夜席に出演した際は、精一杯、面白い落語をしたいと思っています」
奨励賞の鉄瓶は、こう意気込みます。
「この賞をいただいて嬉しく思いますが、大阪以外の方にも上方落語の楽しさを、また、漫才以外にも落語という楽しい芸能があることを伝える役目の1人になりたいです」
そして新人賞の三実は、受賞の知らせを聞いた直後、なぜ自分が選ばれたのかわからなったと語ります。
「新作が評価されたようで、繁昌亭の出番も10月からは二つ目になり、昼席でも古典に加えて新作をかけさせてもらえる機会も増えました。先輩、師匠のおかげで獲れたと思います。師匠にも日ごろから新しいものを作るようにと言われているので、これからも続けられたら」
「期待を裏切らない舞台ができたら」
上方落語協会会長の笑福亭仁智は、桂二葉をこう評価しました。
「二葉さんは話題の噺家となり、お客さんをつかんで1年になります。12月12日から繁昌亭で始まった『女流ウィーク』でも、たくさんのお客さんにお越しいただいています。上方落語協会としてもそんな彼女の人気にしばらく乗っていくので、ぜひとも頑張っていただいて、やりやすいようにやってほしいです」
続けて、鉄瓶にも期待を寄せます。
「ユニットを組んだり、松竹では同世代の若手を集めて配信で大喜利をしたり、今年の繁昌亭16周年では、委員会に参加していろんなアイデアを出してくれました。とにかくいろんなことをやらないといけないということを自覚して、実践してくれています。取り組んでいるノンフィクション落語も、足を運んで取材していて、これは、噺家はなかなかしなかったことなので、新しいジャンルになり得るかもしれません」
そして、三実についても太鼓判を押しました。
「まだ20代ですが、才能豊かで、特に言葉を扱った落語を輩出しています。2021年の『若手噺家グランプリ』では準優勝と、実力ある方です」
吉本興業所属の落語家では若手の急先鋒として期待される三実。「15年目以下の新人賞が創設されて、その1発目の受賞を嬉しく思います。今後はお客さんの見る目も変わるように思うので、期待を裏切らない舞台ができたらと思います」と気を引き締めました。