ピン芸人・ピストジャムの黒板アートに駅長“大感激”! 「24年住むシモキタの楽しさを描きました」

自身のバイト経験をまとめたエッセイ『こんなにバイトして芸⼈つづけなあかんか』(新潮社)が話題のピン芸⼈・ピストジャムが、12⽉10⽇(⼟)に東京・世田谷の⼩⽥急線・下北沢駅のイベントスペースで⿊板アートの公開ライブパフォーマンスを行いました。下北沢に24年間住み続け、シモキタを愛してやまないピストジャムが、「文筆」以外のもうひとつの特技である「絵画」で、通りがかったシモキタの人たちを魅了しました。

出典: FANY マガジン
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「シモキタ」への愛を黒板に表現する

じつはピストジャムは、これまでキャンバスやかまぼこ板に絵を描いてきた“アート芸人”です。今年、吉本興業の創立110周年企画をきっかけに黒板アートを始めると、その後は市立狛江第一小学校の創立150周年記念イベントや、熱海のアートイベント「ATAMI ART GRANT 2022」などでも黒板アートを披露し、話題になりました。

今回の公開ライブパフォーマンスは、⼩⽥急電鉄と、シモキタを愛するピストジャムの思いが結びついて実現。横180センチ×縦90センチの⿊板に、シモキタの街を描くことになりました。

出典: FANY マガジン
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黙々と描き始めるピストジャムの横では、小田急線下北沢駅の長友賢太郎駅長と伊藤和幸副駅長が完成を見守ります。長友駅長は10月に発売したピストジャムの新刊も購入したそうで、「本も読ませていただいたんですけど、下北沢のことが多く描かれていて本当に面白い。今回もどのようにシモキタを描いていただけるのか楽しみです」と期待に胸を膨らませていました。

7時間をかけて完成した黒板アート

まずは白のチョークで下地を完成させていくピストジャム。少しずつ絵の輪郭が浮かび上がってくると、多くの通行人も足を止め、黒板に見入ります。カップルや学生からは、「ずっと見ていたい」「吸い込まれる感じがする」といった声も聞かれました。

出典: FANY マガジン
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また、通りがかった幼稚園児の男の子が、ピストジャムの絵に大興奮。「そこに人間を描いて!」とリクエストすると、ピストジャムは「オッケー! こんな感じでいい?」とすぐにそのアイデアを採用。ライブならではのコミュニケーションを楽しみながら、制作を進めていきました。

出典: FANY マガジン
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午前11時から休みなく手を動かし続けたピストジャムですが、終了予定時刻には間に合わず、絵の完成までパフォーマンスを続けることに。さらに描く手を加速させ、午後6時前についに最後の一筆を描き終えると、見守った人たちから大きな拍手が! ピストジャムも「お待たせしました!」と頭を下げながら、笑顔で達成感を味わっていました。

出典: FANY マガジン
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長友駅長「下北沢のシンボルがちゃんと描かれている」

ライブパフォーマンス終了後、ピストジャムと長友駅長に話を聞きました。

――この黒板アートで表現したことを教えてください。

ピストジャム 下北沢に24年間住んでいるんですけど、その間に見かけた思い出や、知ったことなど、下北沢にまつわるものをたくさん描きました。下北沢が大好きなんで、街の楽しさを思い切り伝えようと思いました。

――本当に休みなく手を動かしていましたが、構図は考えてきたんですか?

ピストジャム いや、まったく決めてなかったです。ただ、とにかく描きたいものはいっぱいあったので、それを描きました。

――今日の作品の出来は何点でしょう?

ピストジャム 100点と言わせてもらいます。一応、常にそのつもりでやっています(笑)。

出典: FANY マガジン
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――黒板アートの難しさはどんなところにありますか?

ピストジャム マジな話、本当に恥ずかしいんですけど、なにが難しいかも、よくわかっていないんですよ。今年から始めたばかりで、ただ楽しく描いていて、やれることをやっているだけなんです。

――それは、すごい才能ですね。

ピストジャム いやいやいや、違います。自分ではぜんぜん上手くないと思ってますから。僕は、ほかの黒板アートの方とやり方が違うんです。白で先に下地を描いて、後から色を付けていくんですけど、ふつうと違うやり方をしているみたいなんで、めちゃくちゃ恥ずかしいことをしていると思っています。

――『プレバト!!』(MBS毎日放送)などにも、黒板アートで出演してほしいですね。

ピストジャム 『プレバト!!』でほかの方の黒板アートを見たときも、「ちょっと待って。オレはヤバいことをやってるんや」と思いましたね。僕はあそこには出られへんタイプやと思います。(作風が)ふつうと違うので、たぶん出たら怒られます(笑)。

出典: FANY マガジン
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――長友駅長は、絵を見てどう思いましたか?

長友駅長 商店街のアーチ、天狗祭りやカレー、楽器を背負ったバンドマンなど、下北沢のシンボルになるものがちゃんと描かれていて、とても面白いです。「ああ、シモキタだ!」と思いました。こういう絵をその場でサッと描けるのは、本当にスゴいと思います。シモキタ愛があふれていて、大満足です。

ピストジャム ありがとうございます。下北沢を訪れた方がこの絵を見て、ちょっとでも楽しい気持ちになってもらえたらありがたいです。長友駅長のおかげで、打ち合わせのときからすごく楽しかったですし、下北沢をまた好きになりました。

長友駅長 いえいえ、私のほうがピストジャムさんを好きになりました。また駅でお会いする際は、ぜひ声をかけてください。というか、私が声をかけます(笑)。

ピストジャム いや、もうめちゃくちゃ嬉しいです。今回は、こういう機会をいただき本当にありがとうございました!

出典: FANY マガジン
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完成した⿊板アートは、⼩⽥急線・下北沢駅構内の中央改札⼝に2023年1⽉31⽇(⽕)まで展⽰されます!

【ピストジャムが絵の中で描いたもの】

・世田谷代田に足跡がある妖怪・ダイダラボッチ
・世田谷代田の鉄塔
・青猫(下北沢にゆかりのある萩原朔太郎の詩から)
・本多劇場
・南口商店街
・東通商店街
・カレー
・お笑いライブをする芸人
・古着
・思い出のジャズ喫茶にいたサル
・思い出のたこ焼き屋さんのたこ焼き
・思い出の立ち飲み屋
・ジャズバーのサックスとトランペット
・イヤホン聞いて歩いてる男の子
・古本屋
・世田谷代田の方から見える富士山
・小田急電鉄
・インベーダー(インベーダーというアーティストの作品が下北沢にあることから)
・リロードやテフラウンジにいるカップル
・名物おじさん
・すずなり横丁
・ギターケースを背負ったバンドマン
・カマボコ兵舎
・カフェ
などなど

書籍概要

『こんなにバイトして芸人つづけなあかんか』
著者:ピストジャム
発売日:2022年10月27日
単行本(ソフトカバー):208ページ
出版社:新潮社

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