天津木村が岩手のスターになる可能性は…「あると思います!」 移住半年の“変化”を語る

4月から現地のテレビ番組の仕事のために盛岡市に移住したお笑いコンビ・天津の木村卓寛。8月には家族も合流し、本格的な生活が始まっています。そんな木村がこのたび、岩手県の「いわて暮らしアンバサダー」に就任しました。移住から半年、“エロ詩吟”で知られる彼が移住を決意したきっかけから、住んでみて気づいた岩手のよさ、さらには今後の夢など、本人にたっぷり語ってもらいました!

出典: FANY マガジン

「いわて暮らしアンバサダー」に就任!

木村が相方の向清太朗とお笑いコンビ・天津を結成したのは1999年。2008年には伝統芸能の「詩吟」をモチーフにしたネタでブレイクし、翌年には決めゼリフ「あると思います」が新語・流行語大賞の候補に選ばれるなど一世を風靡します。しかし、その後、徐々にテレビ出演などが減り、木村は最近では、タレントのヒロミの専属ドライバーを務めていました。

そんななかでオファーを受けたのが、岩手のローカル番組『Go!Go!いわて』(岩手朝日テレビ)のMCの仕事。そのために移住をするという覚悟と決断は、大きな話題となりました。

今回、木村が就任した「いわて暮らしアンバサダー」は、岩手在住の著名人がSNSなどを使って“いわて暮らし”の魅力を発信し、移住・定住者の増加につなげることを目的とするものです。9月29日(水)に岩手県知事から委嘱状を受け取った木村は、この大役を任された抱負をこう語りました。

「45歳で移住という大きな決断をしましたが、よかったと思っています。この年にして初めて知ることがたくさんある、というのは幸せなことです。新しい発見、驚きを1人でも多くの方に知っていただけるように、今後も情報発信を続けていきたいと思います」

この半年の現地での暮らしぶりを、本人に改めて聞きました――。

出典: FANY マガジン

ヒロミの一言で決意した岩手移住

――「いわて暮らしアンバサダー」就任、おめでとうございます! 

ありがとうございます。岩手のいいところを県内外の方々にお伝えしていく発信者としてがんばろうと思います。

――SNSを見ると、岩手のいろいろな情報をすでに発信していますよね。このアンバサダーという大役をしっかり果たしていく自信はありますか?

(力強く)あると思います!

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――決めゼリフ、ありがとうございます(笑)。移住する前は、岩手にどんなイメージを持っていましたか?

正直、僕にとって縁遠い場所でした。なんの情報も知識もなく、東北地方の1つの県というイメージで。

――そんな、岩手と関わりの薄い木村さんが、なぜ『Go!Go!いわて』のMCに抜擢されたのでしょうか?

じつは、岩手朝日テレビの方と縁がありまして、「天津で番組とかできたらいいね」なんてことも言っていただいていて。その場のノリかなと思っていたら、本当に決まって驚きました。岩手住みます芸人のアンダーエイジ(熊谷由輔、結城多聞)との掛け合いを見て、「これは一緒にやれそう」と思ったとおっしゃっていたので、ある意味アンダーエイジのおかげでもあります(笑)。

――MCの仕事が決まる前は、ヒロミさんのドライバーをやっていたんですよね。

そうなんです。昨年の12月からさせていただいていました。ちょうどそのタイミングでMCのお話をいただいて。最初は(番組が)毎週土曜日の朝だけだから、東京から通いでやるつもりでした。でも、ヒロミさんにその話をしたら、「お前にMCなんて、この先一生来ない。MCを任されるってそのぐらいすごいことなんだぞ。その覚悟を持ってお前にMCを任せたいと言ってくれた番組側に、お前なりの覚悟見せないとダメだろ」と言ってくださったんです。

出典: FANY マガジン

僕も、ずっと宙ぶらりんな状態やなと思っていたんです。「将来どうなるんやろうな。10年後、何してるんやろう」と思っていたところもあったので、それなら、やはり僕なりの覚悟、岩手に住むっていうことを決めなければと。ヒロミさんにも「がんばれ!」と言っていただいて。でも、向こうにその話をしたら、「いやいや、そこまで君の人生を背負えないかも」とやや尻込みされたんですけどね(笑)。

――相方の向さんには、どう伝えたんですか?

最初、向に「話がある」とファミレスに呼び出したんですが、向は絶対に解散話だろうなと覚悟して来ていたらしくて。なので、「岩手に住むことに決めたから」という話をしたら、「ぜんぜんええんちゃう?」とけっこうすんなり受け入れてくれました。解散と比べるとぜんぜんマシと思ったみたいです(笑)。「木村君がやるそういうの、ぜんぶ面白いことになっているから、応援するよ」と言ってくれました。

移住をきっかけに、月に1回、『天津定例報告会』というライブをしていまして。お客さんからきちんとおカネをいただいてやるライブなんですが、そこで今月は何を話そうと考えたりするのが楽しみやったりします。いまはリモートのトークライブという形ですが、コロナが落ち着いてきたら、向も岩手に呼んでライブをしたいなと思っています。リモートでネタ合わせして、当日ちゃんと漫才ができるのかとか、そういう実験的なライブをやってみたいですね。

出典: FANY マガジン

――最初は単身で岩手に移り、8月に家族も合流したそうですね、改めて、移住は正しかったと思いますか?

いまはめちゃくちゃ(正しかったと)思っています。移住前に想像していた以上にそう思えている。僕のイメージは“エロ詩吟”で、しかもちょうどコロナ禍でもあったので、タイミング的にどうなんだとかあったんですけど、岩手の方々がすごく温かく受け入れてくださったので、それが大きかった。

東北の方たちの気質なのか、入ってきたものをすごく包み込んでくれる感じがあって、本当にありがたかったです。東京からの通いでやっていたら、ここまで打ち解けられなかっただろうなっていうことがたくさんあります。

週1で食べた「岩手じゃじゃ麺」

――岩手のよさってどんなところですか?

まず食べ物がなんでもおいしい。移住してきた奥さんも、「食材が安くておいしくて、料理が楽しい!」と言っています。あと、いま住んでいる盛岡の街のサイズ感がすごく好き! 車を10分走らせたらスーパー銭湯があったり、30分走らせたら山とか自然に触れられる。僕はキャンプも好きなので、その感じがすごくいいです。

あとは、“匂い”がいいんですよ! 朝の匂い、夕方の匂い……東京の都心にいたときには感じられなかった匂いが、ここにはあります。

出典: FANY マガジン

――逆に、盛岡のここは……というところは?

いまのところ本当にないんですけど、僕、3月から来たので、まだ冬を経験していないんです。それがどうなるかなと思ってはいます。でも、デメリットもメリットに変えられると思っています。というのも、“キャンプは不便を楽しむもの”なので。結局、楽しみ方だと思うんですよね。寒いとなったら、ならウィンタースポーツ始めてみよう、となればいいわけで。今年の冬はスキーを始めてみようと思っています!

――では、岩手でこれはオススメというモノも教えてください!

ずばり「瓶ウニ」です! 日本各地で売られているとは思うんですが、岩手のものは鮮度がすごくいいから、(添加物の)ミョウバンなしで瓶に詰めてある。しかもスーパーで気軽に買えるんです。これを熱々の白ごはんに乗せて食べたら、めっちゃうまい! マジでたまらない! 1瓶2,500円ぐらいするので、1年に1度できるかどうかの贅沢メシですけど。
あと、こっちに来て最初にハマったのが盛岡じゃじゃ麺。簡単にいうと、肉味噌がかかった麺なんですけど、最初は週1で食べていました。こっちにはじゃじゃ麺屋さんがたくさんあるんですけど、各店個性があって、食べ方も違ったりする。ある店では半分ぐらい食べたら卵を割ってスープを入れてもらって“ちいたんたん”を作るのが一連の流れなんですが、この前行った店は先に“ちいたんたん”を作る店で。じゃじゃ麺極めるのに何年かかるんだろう? とうれしい悲鳴ですね。

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――盛岡以外の都市や沿岸部などに行くこともありますか?

番組のロケで沿岸部のほうもよく行っていまして、すでに何度も漁に出ています。番組のスタッフさんたちが、どうやら困ったら漁に出るフシがあって(笑)。たぶんスタッフがオッサンばかりというのも関係していると思うんですけど。オッサンは、困ったら漁に出るという思考回路なんやなと気づきました。

――移住から半年経って、岩手の生活にもだいぶ馴染んできたようですね。

コロナ1年目とか、東京にいたときは、すごくしんどい閉塞感がありました。でも、こっちでそれを感じることは本当になくて。ただ、すでに東京に仕事行くとき、緊張する自分がいます(笑)。地下鉄の乗り換えでアワアワしたり、人混みでめっちゃぶつかりそうになったり。「あれ、オレ、下手になってる!」と思いました。それで新幹線で盛岡に帰ると、街が静かですごいホッとする自分がいて、「ただいま~」って気分が半端ないです。

“エロ詩吟”から“岩手詩吟”へ!?

――東京で仕事があっても通える距離なのもいいですね。

そうなんですよ! 品川―新大阪間と東京―盛岡間ってほとんど変わらないんです。東京の仕事もけっこうあって行くんですけど、午前中に集合の仕事でも間に合う。共演の芸人から、「あれ? 前乗りですか?」と聞かれるほどで。それぐらい東京からのアクセスが、すごくいいんです。あと、リモートもあるので、テレビ出演もそれでできたり、格段に仕事しやすくなりましたね。

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――岩手に移住して何か変わったことはありますか?

早寝早起きになりましたね。22時から23時ごろには寝て、毎日5時20分起床です。あと、エロいことを考える気持ちがほんまになくなりました。これね、不思議なことに東京行くとなぜかムラムラする。おそらく、東京という街にはいろんな欲望が渦巻いていて、それが体に伝播するんだろうなと。盛岡にはそういう邪念みたいなのがないのか、ほんまに清い心でいられるんです。

――“エロ詩吟”も当分、聞けないかもしれませんね(笑)。

岩手に来てやった詩吟は、「朝起きて~~ 岩手山見えたら~~~ すごいうれしい~~」。これ、岩手の人は“あると思います”。

――(笑)。今後の展望を聞かせてください。

先輩、後輩、同期、芸人さんたちに、たくさん岩手に来てもらいたいなと。それで「岩手、めちゃいいところやん。メシうまいし、なにこの酒めちゃうまいやん。最高!」とかなんでもいいんですけど、岩手の良さをたくさんの人に知ってもらって、持ち帰ってもらいたい。じつは何人かに「岩手に住んだらええやん」って言っているんです。とりあえずは、相方の向を岩手に住ませようと、いま一生懸命誘っています。

――岩手での最終的な目標は?

木村 岩手のスターになることです! ヒロミさんにそう約束して岩手に来たので。いまはまだ16%ぐらいしか達成できていないです。街で僕を見かけたら「あ、天津・木村や!」と気軽に声をかけてもらえて、「あ、どうもこんにちは」って気さくに返せるような、そんな存在になれるようにがんばりたいと思います!

出典: FANY マガジン

天津・木村がMCを務める『Go!Go!いわて』(岩手朝日テレビ)は毎週土曜7:30~8:00、9:30~10:45の2部構成で放送中です。

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