ライセンス藤原“いじめ体験”を小中学生に赤裸々告白「乗り越えられていない部分は正直、あります」

お笑いコンビ・ライセンスの藤原一裕が、1月21日(土)に都内で開かれた文部科学省主催の『全国いじめ問題子供サミット』に出席しました。このサミットは、全国の小中学生が集まって、いじめをテーマに話し合ったり、いじめをなくすための取り組みを紹介したりするもので、今年で9回目。今回は、自身もいじめを受けた過去があり、いじめ防止に向けて積極的に発信している藤原がゲストとして登壇し、体験談を話しました。

出典: 文部科学省
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中学1年で受けた“いじめ”

藤原がいじめにあったのは、中学1年生のときのこと。家庭はいわゆる転勤族で、小中学時代は兵庫県、奈良県、神奈川県、新潟県など全国各地を転々としていたといいます。

現在は181センチの高身長で、高校時代には空手で全国16位になったほどの実力の持ち主ですが、当時は身長148センチで目立つグループでもなかったとのこと。自分がなぜ標的にされたのか、理由はいまでも不明だといいますが、違うクラスの男の子から、腹を殴られたり、お尻を蹴られたりと暴力を受けるように……。

先生に言えば報復されるし、親にも辛い思いをさせてしまうと思って言えなかったという彼が、いじめの日々を脱却できたのは中学2年生のときでした。父親の仕事の都合で、のちに相方となる井本貴史と出会い、お笑いの世界に入るきっかけとなる出身地の奈良県に戻ることができたからです。

出典: FANY マガジン
出典: 文部科学省

そんな彼は、自身のいじめ体験の話をするとき、「ちょっと胸にグッとくるというか、乗り越えられていない部分は正直、あります」と語ります。

「中学2年で転校できていなかったらと思うと、いまでもゾッとします。たぶん今日、みなさんに会えていない。違う人生だったと100%言い切れます」

藤原は2020年2月、こうした自らの経験をもとにした絵本『ゲロはいちゃったよ』をクラウドファンディングで自費出版しました。

出典: 文部科学省
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いじめを受けたらどうすればいいのか?

いじめにあったとき重要なことはなにか――藤原は、自身の経験からこう語ります。

「いじめにあったら逃げてほしいと思っています。学校に行かなくていいと思います。いまの時代、勉強できる方法はほかにあると思います。逃げてください。まず避難してください」

ただし、と藤原は付け加えます。

「逃げた先で何もしない、勉強もしない、ほかの世界を見ようとしない。これは、いじめに屈したことになります。僕の書いた絵本『ゲロはいちゃったよ』の帯にもありますが、『逃げてもいいけど、負けたらアカン』。逃げてもいいけど、そこで自分の人生を新しいものにしてほしい。学校だけがすべてじゃないということを知ってほしい」

出典: 文部科学省
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子どもたちにとって、学校に通っている期間はものすごく長く感じてしまうものですが、藤原は「学生時代を振り返ると、本当に短いです。そしてすごく小さな世界です。大学に行かないとすれば、高校を含めてたった12年の小さな世界で、いじめにあったからといってすべてを失わないでほしい。世の中にはいろんな世界があります」と語りかけました。

そして、もしもいじめにあったら……自分はできなかったけれど、抵抗があるかもしれないけれど、それでも親を頼ってほしいと言います。

「みなさんが思っているより、両親はみなさんを助ける力があると思います」

最後に藤原は「いじめられてしまった人間がどうあるべきか、これからどう生きるのか、どのように心を持つべきなのかを考えてほしい」という思いで制作したという絵本『ゲロはいちゃったよ』の読み聞かせをしたあと、「世界は広いです。学校だけじゃありません。もし、いじめに出くわしたらほかの世界へ逃げてください……今回は暗い話になってしまいましたが、次は漫才を観に来てください」とユーモアでまとめ、講演は終了しました。

子どもたちの創意工夫の発表に感動

イベントでは、全国から集まった約120人の小中学生たちが20グループに分かれて、いじめについて話し合う時間も設けられました。

子どもたちが、時には真剣に、時には和やかに協議するなか、藤原も各グループをまわってディスカッションに耳を傾けます。子どもたちから質問があった際には、いじめを受けた当事者として「僕の場合は……」とひとつの解決策を提示する場面もありました。

出典: 文部科学省
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グループ協議では、事例を挙げながら、自分が登場人物の1人だったらどう行動するのか、どんな思いになるのか、さらには「“一生忘れられないほど”つらい思いをさせないために、どんなことが大切か」「いじめられている子を見かけたときに見て見ぬふりをせず、仲間のために何ができるのか」といったことを話し合って発表しました。

藤原は今回、参加した子どもたちと交流するなかで、ある“思い出”がよみがえったと言います。それは、いじめられていたときに話しかけてくれたり、挨拶をしてくれたりしたクラスメイトの存在でした。

「それがすごく嬉しかったし、その日一日は、いつもより“良かった日”になったのを思い出しました。もし、みなさんもそんな場面に出くわしたら、傍観者になるのではなくて、しゃべりかけるだけで、被害を受けている子は、その日がぜんぜん違った色になっていくと思ってください。少しの勇気だと思います。それで助かることも多々あると思います。45歳にして年下のみなさんに、こんなに勉強させていただけるとは思っていませんでした。本当にありがとうございました」

今回、サミットに参加した60校には、藤原から絵本『ゲロはいちゃったよ』120冊が寄贈されました。

出典: 文部科学省
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