ノルウェーの民族楽器ハルダンゲルヴァイオンの奏者・山瀬理桜が1月31日(火)、東京都港区のノルウェー王国大使館でノルウェー王国功労勲章を授与されました。吉本興業に文化人として所属し、ノルウェーのハルダンゲル地方の親善大使として精力的に活動してきた山瀬。ノルウェーの民俗音楽と文化を日本に伝え、両国間の文化関係を発展させるための貢献が認められての受章となりました。
印象深い宮崎駿監督との仕事
受章を記念して開かれた取材会は、山瀬が演奏するハルダンゲルヴァイオリンの柔らかな音色とともにスタートしました。
受章の知らせは1月3日(火)にメールで届いたそうで、「まるでムンクの『叫び』のように、驚きのあまり叫んでしまいました!」とニッコリ。そのときはあまりなかった実感が、取材会前に行われた授章式でやっと湧いてきたそうで、「すごくニッチな分野なので、うれしいというよりは、これまで自分がやってきたことは間違っていなかったんだなという気持ちになりました」と明かしました。
過去の活動について聞かれると、「『水グモもんもん』(宮崎駿監督の短編アニメーション)の音楽を担当させていただいたことが印象に残っていますね」と振り返り、「宮崎駿監督は怖い方だと思っていたんですけど、すごくほめてくださって。笑うとトトロに似ているんですよね……って、そんなこと言っちゃいけないかな(笑)」とにこやかに話します。
さらに、山瀬が昨年上梓した初エッセイ『悪いのはお天気ではなく、着ている服だ。』(出版文化社)の話題に。幸福度ランキングが毎年上位のノルウェーを多角的に紹介したこの本には、サステナブルなノルウェーの生活を知り、若い世代がこれからの人生を豊かに生きるためのヒントが詰めこまれています。
「ノルウェーは考え方も進んでいて、幸せのその先を目指している国。ノルウェーを見ていると、日本ももっと幸せな国になれると思うし、そのためには社会のシステムを変えていくことが大事だと思う。そうじゃないと、努力しても報われないんですよね」
ノルウェーのサステナブルな文化を紹介
「いつも笑顔で、ポジティブシンキングでいられる秘訣は?」と問われると、「まずは健康。あとはよく寝ること」と山瀬。
「楽器を弾くことは私にとって水を飲むのと同じようなことなので、水を飲むかのように自然に自分のやりたいことができるよう、タイムマネージメントをしっかりしながらライフスタイルを作っていくことも意識しています」
そして、今後の活動について語ります。
「ノルウェー式の健康な体を作るためのサプリを紹介することを始めています。あとは子ども。子どもは国で育てていくものだと思うので、子ども食堂に安心・安全な食材を届けたいと思っていて、去年、大田区の子ども食堂に食品を送る活動をスタートさせました。ゆくゆくは、こういった活動がもっと広がるようなシステムを作りたいと思っています」
最後は、ノルウェーについてこうアピールして締めくくりました。
「みなさん、ノルウェーといえばサーモンのイメージが強いかもしれませんが(笑)、じつは素晴らしい文化がたくさんありますので、これからもサステナブルで、イノベーションが起きるようないい文化を紹介していきたいと思っています」