落語家の月亭方正が5月11日(木)、大阪市内で開かれた『竹でイエを建てちゃおう!プロジェクト 第2弾~竹集成材構造モデルプロジェクト~』の発表会見に出席しました。方正が応援隊長、セルライトスパ(肥後裕之、大須賀健剛)が応援隊員を務め、2016年から始まったこのプロジェクト。この日の会見では、ついに実現した竹の集成材の新たな活用法を探るなど、若手落語家たちを交えて大いに盛り上がりました。
竹は地域資源でありながら、適切に管理されずに放置竹林となり、森林荒廃や獣害につながる地域課題にもなっています。一方で成長が早く、繁殖力も高い竹は、SDGsにつながるエコ資源として有用。そこで日建ハウジングシステムと、日本有数の竹林面積を誇る鹿児島県薩摩川内市が共同で、竹を使った建材開発のプロジェクトを発足し、実用化に向けて研究・開発を進めてきました。
そして今回、竹を割って重ね合わせた集成材で強度を上げることに成功、家などを建てる建築構造材料として利用できるようになりました。
吉本初の“竹”担当
司会を務めるセルライトスパは登場するなり、持ちギャグ「ひーごー!」を繰り出し、「漫才とコントと“竹”をさせてもらってます。吉本初の竹担当です」と自己紹介。プロジェクトへの思い入れは隊長の方正にも負けないという2人は、「ついに竹で家を建てることができるようになった!」と大興奮で話します。
日建ハウジングシステムの宇佐見博之社長は、プロジェクト発足のきっかけやこれまでの活動、竹の可能性について詳しく紹介します。スギなどと比べて丈夫な竹を、集成材にしてさらに強度を増すことに成功した同社は、現在、その竹集成材を使って家を建てる実証実験をしているところだとのこと。
イネ科の植物である竹は、現在の建築基準法では構造材として使えず、宇佐見社長は、専門機関から性能保証を受けることで本格的な実用化を目指したいと語りました。
「竹は日本の心」と熱弁
薩摩川内市経済シティセールス部の有馬眞二郎部長の挨拶を経て、いよいよ隊長・方正が登場です。
方正は「竹は神秘的な植物で、“日本の心”みたいなところもある。扇子も竹ですし、落語にも竹が多く使われている」と言うと、さらにエジソンが電球のフィラメントに京都の竹を使ったというエピソードを披露するなど、熱弁が止まりません。いまやすっかり“竹博士”となった方正は、ズラリと並ぶ竹集成材にも感心しきりです。
「竹で家を建てたい」と言う方正ですが、じつは課題はそのコスト。宇佐見社長が「伐採した竹を現地で加工して、流通させる仕組みを作らないとコストは下がらない。とはいえ、出口がないと広がらないのでチャレンジしていきたい」と説明すると、方正は「最初はコストがかかるのはしょうがない。ここからですよね!」と大きくうなずいていました。
着物、電球、筋トレ器具…アイデア続々!
竹集成材のさらなる“活用法”を考えるコーナーでは、方正が「若手落語家が『いっぱいアイデアがある』と言うので連れてきた」と、桂三語と笑福亭大智を呼び込みます。
三語は「竹を割いて割いて割いて、着物とかどうですか」とさっそく提案。方正の黄色い着物を指差して、「ちょうど、こういう色になるんちゃいます?」とイメージを膨らませますが、司会の大須賀から「(竹そのものではなく)集成材をどう使うかやから」と鋭い指摘が入ります。
一方の大智は、見本として置かれた竹集成材を前に、「エジソンが竹で電球を作ったなら、これやったらめっちゃデカい電球作れるんちゃいますかね」と新たなアイデアを披露します。
さらに、三語が「いまは健康ブームなので、これで筋トレ器具をこしらえたら、香りがよくリラクゼーション効果もあるのでは」とアイデアを出すと、ほかにも方正らが「竹で舞台や座布団を作って落語を……」と夢をふくらませるなど、一同大盛り上がり。ちなみにヨーロッパでは竹が車の内装に使われていたこともあるそうで、これには「へぇ〜」と驚きの声が上がっていました。
その後の質疑応答では、竹で家を建てるなら「3階建てで、1階が寄席小屋、2階、3階が住居。それが夢ですね」と答えた方正。さらに成長の早い竹にちなんで、落語家としての成長スピードについて聞かれると、「いま60席覚えてる。15年で60席。ペースは落ちてきたが100席を目標にしてるので、60歳までにはがんばって。ということは、これからも伸びるということ。破竹の勢いです!」と答えて、しっかり締めくくりました。