ジャルジャル福徳が書いた恋愛小説は実話!? 「知り合いに読まれると恥ずかしい」

『キングオブコント2020』で悲願の優勝を果たし、ますます注目を集めるお笑いコンビ・ジャルジャルの福徳秀介。そんな彼が、今度は小説家としてデビューしました。念願の処女作『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(小学館)は、4年間かけて書き上げた渾身の恋愛小説です。

ファニマガでは11月の発売前に、母校であり、小説の舞台にもなった関西大学を訪れた福徳に直撃インタビューしました!

©関西大学教育後援会
出典: FANY マガジン

すべてをさらけ出した本気の恋愛青春小説

物語の舞台は、福徳の母校でもある関西大学。大学2年生の主人公・小西徹は、入学前に憧れていた大学生活とはほど遠い、冴えない毎日を送っていました。いつも日傘をさして人目を避け、青春を謳歌する学生グループを疎ましく思う日々。友だちは、ちょっと変わり者の同級生・山根だけ。銭湯掃除のバイトと孤独な大学生活を往復するだけの毎日を淡々と送っています。

そんなある日、大教室で学生の輪を避けるように席を立つ、凛とした女子学生に出会い、次第に彼女に強く惹かれていくのでした。初デートにも成功し、これから始まる楽しい日々を思い描いていたのですが……。

青春時代ならではのみずみずしさと、福徳ならではの感性で描き出す登場人物の個性的なキャラクター、細やかに表現される心の機微。そして予想だにしない、狂おしいほどのやりきれなさと切なさ……。あらゆる要素が胸に迫ってくる、福徳が心のすべてをさらけ出した“本気”の恋愛青春小説となっています。

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出典: FANY マガジン

小説の舞台で母校の関西大学を訪問

デビュー小説発売に先立ち、10月26日(月)に実際に関西大学を訪れた福徳が、前田裕学長や現役大学生たちとキャンパス内の100周年記念会館で対談しました。

前田学長との対談では、まず、「すごくおもしろかったです。大学生のありがちな日常を、上手に切り取っておられて感心しました」と褒められ、福徳は満面の笑み。自身の大学時代をふり返り、「僕自身、あまり学生時代を満喫できていなかった」と明かす一幕も。さらに思い出深い場所について前田学長と懐かしそうに語り合います。

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出典: FANY マガジン

学長から学生へのメッセージを求められた福徳は、学生時代の時間の大切さについて語りました。

「大学4年間、『めっちゃ楽しい』と感じる人もいれば、『あまり楽しくないな、早く卒業したいな』と思っている人もいると思います。でも、いまになって人生をふり返ったとき、大学の4年間は、紛れもなく人生でいちばん時間があり、キラキラした4年間。真っただ中にいると、そうは見えないかもしれないけれど、あとから『あの時間は、すごい時間だったんだな』と感じる日が来ると思います」

続いて3年生の藤原託世さんと、お笑いが大好きだというドイツ人留学生、1年生のグランズナ・ルチアさんが作品について質問。

小説のテーマを「大学生活」にした理由について福徳は、「恋愛小説を書こうとしたとき、現時点で僕がいちばん書けるのは、大学のときの恋愛の感じかな、と思った」と説明します。

「そのときの気持ちを登場人物に落とし込んで、リアルに描きました。恥ずかしい話、泣きながら書いてしまって……。文章に気持ちが溢れましたね」

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初めて読んだ恋愛小説が圧倒的におもしろかった

母校でのひと時を過ごした福徳。改めて、当時の思い出や作品の背景などについて聞きました。

————久しぶりの母校はどうでしたか?

実は1年に1回くらい、こっそり来てるんです。阪急豊津駅(関西大学の最寄り駅のひとつ前の駅)で降りて、関大まで歩いて。NGK(なんばグランド花月)の出番の合間とか、待ち時間が長い時に「あ、関大行こう」ってちょこちょこ来てます。

————それは小説を書くことになってから?

いや、その前からずっとです。でも、小説を書き始めてからはよけいに意識して関大に来ていました。「変わったなあ」と思いながら。校内にコンビニとスタバ(スターバックスコーヒー)ができた時はびっくりしましたね。僕のときはナゾの売店しかなかったので……。でも実は今日、(対談場所の)100周年記念会館に来るまでに迷っちゃったんですよね(笑)。間違えて、食堂のほうに行っちゃって。学生のとき、高校時代(関西大学第一高等学校)も含めて中に入ったことがなかったので。

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————まさか母校で迷うとは、ですね(笑)。ところで今回、福徳さんが恋愛小説を書こうと思ったきっかけを教えて下さい。

中学2~3年生のときに、初めて恋愛小説を読んで、それがあまりにもおもしろくて。この小説を超える本はないものかと、いろんな恋愛小説を読み漁り始めました。それで、おもしろい本は山ほどあるけど、最初に受けた衝撃を超える小説はなかなかないなあと思ったんです。そんななか、偶然、「小説を書きませんか」というお話をいただいて、それなら自分で恋愛小説を書いてみよう、と書き始めました、

主人公の小西くんは僕よりちょっとハンサム

————「法文坂」など関西大学に実在する場所も登場しますが、それ以上にみずみずしい登場人物が印象的でした。とくに主人公の小西徹は、福徳さんのイメージです。

僕のイメージでは小西くんのほうがちょっとハンサムです(笑)。小西くんは僕が勝手に考えた人物で実在しないけど、学生時代にハンサムやのにあまりモテへん人がいました。あと、物語に登場するおばあちゃんも、さっちゃんも、桜田さんも僕が考えた人物で、実在する人ではありません。でも唯一、小西くんの友だちの山根だけはほんとにいました(笑)。名前も一緒です。

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————登場人物がリアルなので、それぞれモデルがいるのかと思いました。

あ、ラブラドール・レトリバーの「サクラ」は実在した犬です(小説ではパスタ屋「プーケ」の看板犬)。僕が学生のころ、本当にラブラドールが敷地内をウロウロしていたんです。いまから17年くらい前。僕と同世代の関大出身者は覚えていると思います。めちゃくちゃ人気者で、小説ではそこまで書いていないけど、本当はめちゃくちゃ太ってて(笑)。カフェの飼い犬やから、いろんな人からご飯をもらえるので太っちゃって。本当にかわいかったです。

————表紙の写真もラブラドール・レトリバーですね。

もしかしたら、ラブラドール・レトリバーがどんな犬かわからない人もいるかもと思って、表紙にあえて使いました。むかし僕も「ラブ」という名前のラブラドールを飼っていたので、ラブの写真を表紙にしました。

登場人物に気持ちを代弁してもらった

————福徳さんは、もともと恋愛小説が好きとのことですが、恋愛小説のおもしろさとは?

全員が違う恋愛をしているし、小学生、中学生、高校生、大学生、20代前半・後半、30代前半・後半と、世代によっていろんな恋愛のスタイルがあるし、それぞれ違うのがものすごくおもしろいなと思っています。

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————ご自身が恋愛小説を書くにあたって、もっとも大切にしたことを教えて下さい。

今回は、自分が人生で経験したもっともハードだった出来事を、登場人物に当て込んで、そのときの僕の気持ちを代弁してもらったところがあります。僕は、自分の気持ちをさらけ出すのが苦手なんですが、文章ではすべてさらけ出すことができました。だから、いろんな方に読んでもらいたいんですけど、実は知り合いには……あんまり読んでほしくないなぁと思いますね。恥ずかしいので……(笑)。

書籍概要

『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(小学館)

著者:福徳秀介
定価:本体 1,500円+税
発売:11月11日(水)

詳細はこちらから。


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