板尾創路と三船美佳が語る“若手版”関西演劇祭の魅力「初心者でも演劇に触れるチャ~ンス!」

今回で5年目を迎える関西演劇祭のスピンアウト企画として、関西で活動する20代のメンバーを中心とした劇団による公演『関西演劇祭 ネクストジェネレーション』が8月26日(土)~27日(日)の2日間、大阪・道頓堀ZAZA HOUSEで開催されます。今回は、このイベントのアンバサダーを務めるタレントの三船美佳さんと、第1回「関西演劇祭」からフェスティバル・ディレクターを務める板尾創路(130R)がスペシャル対談! この新しい取り組みの魅力や見どころを語ってもらいました。

出典: FANY マガジン
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関西演劇祭は、今年も11月11日(土)~19日(日)に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKAで開催。全国から集まった選りすぐりの劇団による公演が行われます。

その5年目の節目を迎える前に、もっと若手演劇界を盛り上げようと開催されるのが、今回の『関西演劇祭 ネクストジェネレーション』です。本家の関西演劇祭と同様、各劇団の上演時間は約45分で、劇団・クリエイター・観客のコミュニケーションの場として、関西演劇祭で恒例となった「ティーチイン」(上演後に劇団員、観客、審査員が意見交換する仕組み)も踏襲されます。

いまの時代に演劇をやる若者がいることが嬉しい

――まずは三船さん、アンバサダーに就任した感想を教えてください。

三船 大学1年生になるウチの上の子どもと、舞台に立たれる方たちが同世代なんですよ。自分の子と同じ年代の子たちが、情熱を持って作品をつくり上げていると考えたときに、感動というか……親目線以上の想いがこみ上げてくるんです。
自分もそのようなお仕事に携わっているぶん、尊敬の念もあるし、みなさんの熱意もスゴイんだろうなって思います。若い子ならではの爆発力、怖いもの知らずなところ、まだ手探りなところも含め、無限に広がる可能性を体感できるのがすごく楽しみです。

出典: FANY マガジン
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――演劇界を盛り上げようという『関西演劇祭』の取り組みについてはどう感じていますか?

三船 私自身、これまでに数回、舞台に立ったことがあり、演劇も何度か鑑賞させていただいたことはあるんですけど、詳しいわけではないんですよ。でも、自分がステージ上で演じるたびに、または観劇をするたびに、“ナマモノ”の難しさや、お客さんと毎回つくり上げていく面白さを感じるんです。
演劇に関してはまだまだ初心者ですが、だからこそ、こうしたチャンスで、私みたいに「ふだん演劇を観に行かないよ」という方も、興味を持ってもらえたら嬉しいですし、そういう取り組みがあるのは素晴らしいなと思います。

――今回の『関西演劇祭 ネクストジェネレーション』には、関西の若手4劇団が出演します。板尾さんが期待していることは?

板尾 僕、大学生をはじめ、若い劇団のお芝居をちゃんと見たことないんちゃうかな、と思うんですよ。そういう意味ではすごく楽しみです。役者で活躍されている方って、やっぱり学生時代から劇団で活動している人も多いですし、「いまの子が、どういうふうに舞台に立っているんだろう」とか、「どういう表現をするんだろう」とか、「どんな才能を持ってる人がいるんだろう」とか思うし……。そんな人たちと出会えるのが楽しみです。

――いろいろなエンタメがあふれるいまの時代に、演劇と向き合う若者にすごく興味があります。

板尾 そうですね。いまはテクノロジーがすごく発達していますけど、そこで「舞台をやりたい」という人がいることが嬉しかったりもするし、ここから関西演劇祭にもつながっていけば、もっといいのかなと思います。そうすることで、今回(のイベントを)やることの意義が生まれますからね。いまから楽しみです。

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自分の枠を外してくれる演劇祭

――全国から注目の劇団が集まる関西演劇祭は、音楽フェスのように、知らなかった劇団にも出会えるのが大きな魅力です。

三船 劇団によって、タイプや取り上げる題材って違うじゃないですか。重めな題材を扱った劇団の次に、ワー!と盛り上がる劇団が出てくることもあるでしょうし……。いままで“自分はこっち派だな”と思って観に行ったとしても、いまおっしゃったように、音楽フェス的に「この劇団、カッコいいんだけど! こっちも見てみよう!」と、自分の枠を外してくれるんじゃないかなって思うんですよね。新しい刺激にもなりそうです。

ーー自分の趣味の傾向とは違う、思わぬ出会いがあるかもしれません。

三船 服もそうじゃないですか。自分が「これ!」と思っていても、意外と定めていなかったところに、自分の心に刺さるものがあるかもしれないな、と期待してしまいます。『関西演劇祭 ネクストジェネレーション』は、その出会いの可能性を、存分に秘めているんだろうなって思うんですよね。

板尾 確かに、たとえるなら音楽フェスに近いような気はします。(1公演で)2劇団を見比べるのが、対バンのようなかたちにもなっていて、毎回、新鮮なんですよ。三船さんがおっしゃったように、劇団の色とか表現の仕方がぜんぜん違うので、そういったものを一緒に見られるのがいいし、お互い相乗効果もあるし、化学反応も起きやすいなと思うんですよ。

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刺激がぜんぜん違う!

ーー観劇後は、「ティーチイン」のコーナーもあります。

板尾 お芝居が終わったあと、俳優さんたち、スタッフさんたち、僕たち、お客さんたちも含めてコミュニケーションを取るので、(いろいろな意見が出て)公演や芝居の価値もどんどん上がっていくんですよね。「お芝居を見る」というだけではなく、みんなで観劇したものを考える・検証する時間があるのは、ふつうの公演にはない。こうしたお芝居の見せ方は、すごく新鮮やし、「ほかでももっとやったらええのになあ〜」と思いますけどね。
やっぱり、この魅力は体感してみないとわからないんですよ。僕も最初、(本家の関西演劇祭で)「1日6劇団(2劇団×3公演)の芝居を観られるのかな?」とちょっと心配していたんですけど、いざ始まったら、そんな心配はいらなかった。45分なんで見やすいですし、集中力も保てるし、「これはアリやな」と思いました。力がある人がたくさん集まっていて、お祭りのようなところもあるので、参加していて楽しいですね。刺激がぜんぜん違います。

三船 終わってからみんなでディスカッションできるのはいいですね。映画デートの後に喫茶店に入って「あそこは〇〇だと思った」「これはこうじゃない?」と話し合いますもんね。それを客席のみんなでできるのが嬉しいです。

出典: FANY マガジン
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板尾 そうですよね。みんなで議論する時間が楽しい。『関西演劇祭 ネクストジェネレーション』は、お芝居のことだけで盛り上がれるお祭りなんですよ。だからこそ、体感していただきたい。口ではなかなか説明できない魅力があるんです。

三船 出演者の方やスタッフの方も磨きに磨いて、練習して、その場に立っているんでしょうけど、たとえば板尾さんの感想を直で聞けるというのは、宝になりますよね。

板尾 観に来ていただくお客さんも、たぶん新鮮やと思いますよ。アフタートークはあっても、ふだんこういう機会ってなかなかない。演者と客席が直接やりとりできるのは新鮮だし、それも含めて面白いです。

演劇初心者にも優しい“お試し”の場

――ティーチインでは、たとえば演劇初心者のちょっとした質問でも答えてもらえるんですか?

板尾 「面白かった」でもいいし、「こういうふうに感じたんですけど、本当はどういうふうに伝えたかったんですか?」とか、「これはこういう解釈で合っていますか?」とか、どんなコメントでもいいんです。実際に「初めてお芝居を見たけど面白かった」という方がけっこう手を挙げてくださっていて、嬉しくなりますね。

三船 やっぱり生の舞台で衝撃を受けるんでしょうね。

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板尾 そうですね。そのまま「お芝居を好きになってくれたらいいな」と思いますよね。なかには「この劇団を目当てに来たけど、同時にやった劇団にも興味を持った」という人もいて。そのあと、新しく知った劇団の本公演を観に行くとか、どんどんつながっていく感じがすごく面白いです。

三船 役者さんのファンになる人もいそうですよね。「好きになっちゃったんですけど」みたいな。

――作品だけでなく、実力ある役者と出会えるのも醍醐味ですね。

板尾 全然いいと思いますよ。メインの出演者、演出、脚本家だけじゃなくて、チラッと出てきた人とか、興味を持った人に質問していただいていいと思います。「今回はこういう役でしたけど、ふだんはどんな役をされているんですか?」って聞くとかね。

――今回、初めて参加する三船さんも、演劇を観ること、ティーチインに参加することに、そこまでのハードルを感じずにいられるのではないでしょうか。

三船 そうなんですよね。なぜこれまで演劇を観に行かなかったのか――の理由のひとつに、やっぱり演劇には根強いファンの方もいるから「素人が来ちゃっていいのかな?」とか、「予備知識がないと行っちゃいけないのかな」と、敷居が高いイメージがあったんですよ。でも今回は、45分間という“おためし感”というか(笑)。演劇に触れるチャンスをもらえた気がして、すごく嬉しいです。若い子たちが観劇したら、「自分も、いまからやってみようかな」と思うこともあるでしょうし。私たちも、みなさんからエネルギーをもらえそうな気がします。

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――最後に読者に向けてメッセージをお願いします!

板尾 関西演劇祭だけは、体感していただかないと良さをなかなか説明しきれないんですが、あまり演劇に興味がない人、ちょっと行ってみたいなと思っていた人、たくさん劇団があって、どれを観たらいいのかわからずに困っていた人など、みなさんに来ていただきたいですね。「演劇のことを知らないと楽しめないのかな?」と思っちゃうかもしれないですけど、観に来てくれたら「演劇ってすごくいいな」と感じると思うんですよ。お芝居好きな人はもちろんですが、観劇経験のない人におすすめしたいですね。

三船 まったく同じです。もし演劇を1回も観たことがない人は、いまがチャ〜ンス!

――(笑)

三船 もう、いましかない。次を待っていたら、ぜったい観なくなっちゃう。今回観たら、きっとハマると思います。

板尾 本当にそうですね。演劇のかたちを知らない人こそ、観に来ていただくのがいいんじゃないかな、と思いますね。さきほども言いましたけど、初めて来た方が「演劇って面白いんだ!」という感想をおっしゃるし、演劇にはそういう力があると思います。


『関西演劇祭』公式サイトはこちらから。

公演概要

『関西演劇祭 ネクストジェネレーション』
会場:道頓堀ZAZA HOUSE
日程:2023年8月26日(土)~27日(日)
チケット:前売3,000円 当日3,500円(全席自由)

●8月26日(土)
13:00公演/劇団カチコミ、劇団竜人世界
17:00公演/黄色団、虹色りきゅーる

●8月27日(日)
13:00公演/虹色りきゅーる、劇団カチコミ
17:00公演/劇団竜人世界、黄色団

【出演劇団】
■劇団カチコミ 「賽」
作・演出:劇団カチコミ

■劇団竜人世界 「ヨワい文、そよ風よりも」
作・演出: 栗山拓

■黄色団 「パープル・タウン」
作・演出:近藤輝一

■虹色りきゅーる 「純情♥HAPPY ENCOUNT!」
作・演出:広瀬ヒロ

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