『M-1グランプリ2023』の決勝戦が12月24日(日)に開催されます。今年は同日開かれる敗者復活戦から7時間ぶっ通しで、ABC・テレビ朝日系で生放送! しかも今回の敗者復活戦は約20年ぶりの“屋内ステージ”に! さらに前日の23日(土)には、歴代王者が集結するライブ『M-1グランプリ2023 前夜祭~CHAMPION LIVE~』も開催決定! ということで、今回は特別企画として2015年優勝のトレンディエンジェル・斎藤司、2020年優勝のマヂカルラブリー・野田クリスタルの2人にご登場いただき、敗者復活戦の思い出やM-1への思い、今年の注目芸人などについて語ってもらいました。
新宿から六本木…移動が間に合うか気になる
――今年は、敗者復活戦の会場が東京・新宿住友ビルの三角広場に決定しました。2004年の有明以来の“屋内ステージ”となります。
斎藤 勝ち抜いた1組は、新宿から六本木まで移動するんですよね? 順番はどうなるんだろう? 本番に間に合うのかが、いちばん気になるところですね。
野田 今年は7時間ぶっ通しでやるし、そこは心配だよね。救急車のサイレンとか、(突発的な)外部要素はなくなるから戦い方も変わってくるんだろうけど、マジでどうなるんだろう? 準決勝(12月7日開催)からストレートに勝ち上がるに越したことはないけど、ここ数年、誰が決勝に行けるかはまったく読めないしね。
斎藤 漫才のクオリティも上がってますし、どうなるか楽しみですね。
――トレンディエンジェルは、2015年に敗者復活戦から勝ち上がって優勝しましたね。
斎藤 僕、自信がなかったんで、(発表されるときは)最初、隅っこのほうにいたんですよ。認められると一気に自信がつくタイプなんで、僕らが決勝に行けるってわかった瞬間、ゾーンに入ったというか。そこからは緊張するヒマもなく、本番を迎えましたね。
野田 この年から視聴者投票が始まったんだよね。オレらが敗者復活戦から決勝へ行ける道筋がなくなったと思ってたから、(ストレートで行くために)本戦を頑張ろうと、より思うようになったかな。
大井競馬場はやりにくかった
――マヂカルラブリーは2016年、2018年、2019年に六本木ヒルズ アリーナでの敗者復活戦を経験。また、大井競馬場での敗者復活戦を2008年と2010年に、斎藤さんも2009年に経験していますよね。
斎藤 2005年の敗者復活戦って神宮球場でしたよね? 僕、芸歴1年目で設営スタッフとして行ったのを覚えてます。オリラジ(オリエンタルラジオ)とかハリセンボンさんが準決勝まで進んでて。オリラジは同期なんで、“すげぇな、こんなとこで漫才やんのか”って他人事のように思っていましたね。
野田 大井競馬場でやってたころは、準決勝でノルマ達成してる感がありました。だから、敗者復活戦はお祭り的というか、もしかしたらワンチャンあるかもっていう宝くじくらいのノリで挑んでましたね。
斎藤 大井競馬場……寒かったなぁ。横に広いからやりづらくて。
野田 大阪と東京がバチバチじゃないけど、まだバチッくらいはしてたから、いくつか置かれてるモニターに大阪芸人は大阪芸人で、東京芸人は東京芸人で集まって観てて。当時は、大阪と東京でそれぞれ準決勝もやってたから、一堂に介するのが敗者復活戦くらいだったんだよね。だから大阪芸人たちが東京芸人の漫才を観てどう思うんだろう? どこで笑うんだろう? とか思いながら、ちらちら観てたのを覚えてる。
斎藤 僕も“なんだよ、学天即(現ガクテンソク)って”とか思ってましたもん。
――斎藤さん……同期ですよね?
斎藤 そうなんですけど、いまみたいにあんまり接点がなかったし、みんなトガってましたからね。2009年は一緒に出てるのが、とんでもない芸人さんばっかり。どっかのライブくらいの感覚で出てたし、覚悟もなかったら、決勝なんて行けるわけがなかったですね。
野田 オレは……2010年だったかな? どうせ決勝には行けないだろうくらいのお祭り感覚で臨んでたんだけど、ラスト2組が囲碁将棋、パンクブーブーさん。囲碁将棋が鬼クソウケて、裏でみんなが決勝行くかもしれないってめっちゃ盛り上がってたのよ。オレらはお祭り気分で来てるのに囲碁将棋は戦いに来てるじゃんと思ったら、悔しくて悔しくて!
結果、パンクさんが勝ち上がったんだけど、囲碁将棋が(前年王者と)一騎討ちになってるのが羨ましかった。しかも、翌年に始まった『THE MANZAI』で囲碁将棋は決勝に行くんだよ。あぁ、差をつけられたなって思ったのを覚えてますね。
野田「優勝を素直には喜んでいない」
――いまM-1をどんなふうに観ていますか?
斎藤 マヂラブさんが優勝したのって2020年でしたっけ? 僕は2015年だったので、正直、いまとは別ものという感覚っていうか。
野田 わかる。3年前でもその感覚はある。優勝すると急激にぐんと距離が離れるよね。
斎藤 誰が仕上がってるとかっていうのは、もともと相方のたかしのほうが好きなんですよ。
野田 うちも、予選から観てるのは相方だね。まぁ、つくるのと観るのは別で、オレはつくるほうが好きだというだけ。人のネタをたくさん観られる人って――まぁ、うちの相方がそうだからってわけじゃないんですけど――(漫才を)やっていてツラくなかった人なんだろうなって感じがする。オレは『キングオブコント』もそうなんですけど、人のネタを観ると走ってるくらい疲れて、くたくたになっちゃうんです。
斎藤 じゃあ、どのタイミングで観るんですか?
野田 だいぶ過ぎ去ってから、ちらちらと観るかな。頑張った量もわかるし、これ大変なんだよなぁとか思ってしまうからね。
――となると、M-1で優勝した年はそれぞれどうだったんですか。
野田 ゾーンに入っていたような感覚がありましたね。トレンディなんてあの年、いろんなライブでいろんなネタを観ましたけど、スベってなかった。なんなら、トレンディしかウケてないライブがあったくらい。そのライブのあと、ネットで(ライブの感想を)見たら、「トレンディ以外売れない」って書かれてたのを覚えてる。どの状態でもパワーでねじ込んでたイメージがあったよね。
斎藤 大外刈りみたいなことですね。
野田 ただ、賞レースに潜り込んでくるタイプじゃないだろうと思ってたから、いくらでもウケてくださいって感じだった。敗者復活戦を勝ち抜いたときはその手があったか、と思ったよね。あそこまで行くと、誰にも止められなかった。
斎藤 たしかに、1本の細い道を見つけたなという感覚はありました。ただ、僕らが優勝した年だけ、(ダウンタウンの)松本(人志)さんが審査員にいなかったんです(M-1が5年ぶりに復活した2015年大会のみ、審査員は歴代王者9人が務めた)。
たかしは「歴代のM-1チャンピオンが審査してくれることなんか滅多にないんだから、それはそれで最高じゃん」って言ってて。もちろんそうなんですけど、いうても松本さんに審査してもらって……みたいなところもあるので、僕は多少のコンプレックスがあったんです。
けど、フジテレビのトイレで松本さんと一緒になったときに「あの年は松本さんがいなかったんで」って言ったら、松本さんが「いや、M-1はあの日いちばんおもろいヤツを決める大会やからな」みたいなことを言ってくれて、すごく救われました。まぁ、ついでに『IPPONグランプリ』ですごくスベったこともイジられたので、プラマイゼロでしたけど。
野田 トレンディが優勝した翌年、初詣にたかしと行ったのよ、そのとき、たかしが「僕ら(が優勝)でいいんですかね?」みたいなことを言ってて。たかしにもこんな一面があるんだと驚いたし、チャンピオンになるとこういう感じになるんだなと思った。だから、オレらは優勝した瞬間、実は2人とも素直に喜んでないんだよね。
斎藤 へぇ! そうなんですか?
野田 いろんな人から、死ぬほど忙しくなるって聞きすぎてたから、2人とも“ここから寝られなくなるんだ”っていう考えがよぎっちゃったんだよね。
斎藤 マヂラブさんは若手のころからずっと安定していて、常に80~100を叩き出しているイメージでしたよ。一緒に戦うライバルではあるんだけど、マヂラブさんは(決勝に)行くんだろうなと思いながら観てました。けど、いまいちハマり切らなくて……。まぁ、優勝したときは、大先生との大立ち回りもありましたしね(笑)。
野田 うちらはそこを利用している部分はあった。本当はクールに、当日の出来のみで優勝するほうがいいんだろうけど、M-1ってすでにその規模の大会ではなくなってきてるというか。極端な言い方をすると「人の生き死に」がかかってる大会だから、使えるものはなんでも使おうと思っていた。がむしゃらだったね。
斎藤 とはいえ、誰でもやろうと思ってできることじゃないですから。あれはすごかったです。
お笑いの“レベルアップ”を感じてほしい
――もし、いまM-1の出場資格があったとしたら出ますか?
斎藤 いい経験でしたけど、二度と出たくないですね(笑)。
野田 オレも出たくない。そう思えるってことは、優勝した年がどんだけ奇跡的だったのか。斎藤さんは肩書きがなくても頑張れるんだろうけど、オレはそうじゃないから。M-1優勝以外の売れるルートはないと思ってたから、疲弊しきって絶対に無理だと思いながら、やれることを全部やって優勝できたと思ってます。けど……M-1の予選で死ぬほどウケたときって、脳汁の出方がすごいよね?
斎藤 すごいですよね。
野田 唯一、もう1回味わいたいと思うのは予選の大ウケ。決勝の大ウケよりも気持ちいいよね。M-1っていうお笑いをずっと観てきたお客さんのなかで、しかも出演者全員、鉄板ネタを持ってきたなかでイチウケするって、あれ以上のものはなくない?
斎藤 たしかに。お客さんがいちばん臨戦体制で観るのが、M-1準決勝だと思うんですけど、すごいですよね。人生でいちばんウケたと思いますもん。
野田 それまで、自分のネタの不安要素を探して修正して、ウケるかどうか心臓ばくばくなんだけど、どんぴしゃでハマってバカウケしたときの気持ちよさって、賞レースじゃないと味わえないよね。国民全員に一度でいいから観てもらいたいくらい、バッキバキな大会ですよ。
――おふたりが、いま注目している準決勝進出コンビは?
斎藤 シシガシラ・脇田をずっとかわいがってるんですけど、シシガシラの漫才って超ちゃんとしてますよね。僕らがハゲのロックだとしたら、あいつらはハゲのジャズ。頑張ってほしいですね。令和ロマンもずっと面白いですよね。
野田 そうだね。オレはずっとフースーヤが大好き。今年の予選、フースーヤだけ1回観たんですけど、やってることはなんにも変わってなかった。ずっと観ちゃうんだよなぁ。
――M-1決勝前日には、敗者復活戦と同じ会場で歴代王者が集結するライブ『M-1グランプリ2023 前夜祭~CHAMPION LIVE~』の開催も決定しました。
斎藤 え、ライブ!? 漫才やるんですか?……怖っ! いつかこういう日が来るだろうとは思ってたんですけど……イヤだなぁ。ちょっと早めに調整しないと、ですね。
野田 僕らが来てくださいって言う必要がないくらい、すごいイベントであることは間違いないです。強いて言うなら、温かい目で観てください、かな。
斎藤 たしかに! マジで温かい目で見てください!
野田 で、次の日に決勝を観て、お笑いのレベルが上がっていくなと思ってください!
『M-1グランプリ2023』公式サイトはこちらから。
公演概要
『M-1グランプリ2023前夜祭~CHAMPION LIVE~』
開催日:12月23日(土) 18:00 開場/19:00 開演/22:00 終演(予定)
場所:新宿住友ビル三角広場
出演者:NON STYLE、パンクブーブー、笑い飯、トレンディエンジェル、銀シャリ、とろサーモン、ミルクボーイ、マヂカルラブリー、錦鯉、ウエストランド
主催:吉本興業株式会社/朝日放送テレビ
【チケット料金】
<座席チケット>
S席 6,800円(税込)
A席 6,300円(税込)
B席 6,000円(税込)
<オンラインチケット>
配信 2,800円(税込)
【チケット販売スケジュール】
●FANYチケット一般発売(FANYチケットのみ)
発売日時:12月2日(土)10:00~
●FANYオンラインチケット
発売日:12月2日(土)10:00~
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FANYオンラインチケット(配信)はこちらから。