絵本作家ひろたあきらが“うんこ”の絵本『ぷり』で伝えたかったこと「ある日、めちゃくちゃ血便が出て…」

初めまして、芸人ライターのホープマンズ・森川やるしかねぇです。今回、2児の父である僕にとって、とても興味があるイベントがありました。それは、絵本作家・ひろたあきらさんの6作目の作品で、“うんこ”をテーマにした、その名も『ぷり』(303BOOKS)の刊行記念トークライブです! 僕自身も絵本を読む機会がとても多いので、ぜひ作者の想いを直接、聞いてみたくて参加してきました!

出典: FANY マガジン
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11月26日(日)に東京・下北沢の本屋B&Bで開かれたこのイベントは、ひろたあきらさんがリスペクトする絵本作家・高畠那生さんと、「絵本ナビ」編集長の磯崎園子さんをゲストにお招きして、「うんこと笑い」があふれ出す、エンターテインメント性たっぷりの『ぷり』をフックに語り合うというもの。ひろたさんはもともと芸人で、2019年のデ ビュー作『むれ』(KADOKAWA)が「MOE絵本屋さん⼤賞2019」新⼈賞第1位など多くの絵本賞を受賞した異色の絵本作家です。

贅沢すぎる! 作者本人の絵本の読み聞かせ

ひろたさんは、絵本の読み聞かせイベントなどでは必ず高畠さんの絵本を読むほどの大ファンとのこと。イベントがスタートしてすぐに、ひろたさんが「2回ほど(一緒に)飲ませていただいたことがあるんですが、覚えていますか?」と問いかけますが、高畠さんは「1回は覚えてますけど……2回も会ってます?」とまさかの答え。さっそく会場は笑いに包まれていました。

イベントでは、ひろたさんが『ぷり』を、高畠さんが、自身が絵を担当した『うらがえしサンタ』(佼成出版社)を実際に読み聞かせしてくださいました。 今回の主役である『ぷり』は、さまざまな生き物がいろいろなうんこをしていくなかで、最後に登場するうんこの神様のうんこは……!? というお話。

出典: FANY マガジン
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この絵本を思いついた経緯について、ひろたさんがこう話しました。

「ある日、めちゃくちゃ血便が出て、あわてて病院へ行ったけれど、しばらく血便が続いたんです。それでずっと怖くて、なかなかうんこができなかったんですが、数日後、ガマンできずにビビリながらうんこをしてみたら、普通のうんこが出てきたんです! それがとても嬉しくて。普通のうんこができることがこんなに幸せなのかと思い、それを作品にしました」

この話に僕自身は「なるほど!」と思ったのですが、会場はそこよりも血便に対する心配が勝る雰囲気になっていました(笑)。

出典: FANY マガジン
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次に高畠さんが『うらがえしサンタ』を読んでくださいましたが、この作品は作者が苅田澄子さんで、絵を担当されたのが高畠さん。物語を読んだときの印象について、高畠さんは「ずいぶんなサンタが来たな、というのが最初の感想でした。それでも、できるだけサンタさんの面白みを出せるように絵を描きました」と話してくれました。

登場するのは、口が悪くてテキトーなサンタさんなのですが、なぜか憎めないというところがこの絵本の特徴です。今回、お話を聞いて、それが高畠さんの絵の技術によってできているんだな、と感動しました。 読み聞かせを聞いたひろたさんも、「生で絵本作家さんに読んでもらったのは初めて」と大喜び、大ファンぶりがあふれ出ていました。

出典: FANY マガジン
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そのひろたさんが、『ぷり』を通して子どもたちに届けたい思いを語りました。

「自分自身は幼少期、学校でうんこするのが恥ずかしいという気持ちがありました。 だから、幼いころから、絵本を通してうんこは恥ずかしくないもの、楽しいもの、という感覚を自然に身につけてほしいという気持ちで描きました」

僕自身もそうですが、この気持ちがわかる方は多いと思います。作者本人からお話を聞けて、ぜひ自分の子どもに読ませたいなという気持ちが強くなりました。

絵本作たちの「お笑いの原点」!?

さらに今回のテーマは「笑いと絵本」ということなので、話題は「3人の笑いの原点」に。お三方は、このように話してくれました

ひろたさん「お笑い好きになったきっかけは、小学生のころに初めてテレビでチュートリアルさんの漫才を見て、衝撃を受けたこと。それからネタを見まくって、気づけばお笑いオタクになっていました(笑)」

高畠さん「 お笑いはめちゃくちゃ好きですね。気づいたら好きだったという感じです。僕が絵本作家になる、ならないくらいのとき、文章を書く参考にショートショートをたくさん読むようになったんです。最後にどんでん返しで、ころっとオトすのがおもしろくて。その影響は大きいと思います」

出典: FANY マガジン
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 磯崎さん「中学生のとき、カッコつけて生きているつもりだったけれど、ある日、みんなの前で転んで笑われてしまったんです。そのときにカッコつけて生きていく人生より、私は人に笑われて生きていこうと決めました」

笑いの原点は、お三方それぞれ違う場所や瞬間なのに、同じように絵本を通して人を笑わせたいという考えに行き着くところが、やっぱりお笑いは広くて深くて素敵だなと思いました。

 絵本の世界の奥深さを知った

最後はワークショップ。来場者がみんなでオリジナルうんこを書いて、ひろた賞、磯崎賞、高畠賞を狙います。大勢の大人が真剣にうんこを書いて盛り上がるという不思議な時間が流れていました(笑)。なかでもいちばん盛り上がった、ひろた賞を獲得したうんこがこちら。

出典: FANY マガジン
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「なかったことにしたいうんこ」。 前の晩に飲みすぎて二日酔いになったけれど、そのまま全部うんことして出してしまい、飲みすぎたことをなかったことにしたいといううんこ。 「これは素晴らしい!」と、大人が本気で考えたうんこで大盛り上がりでした!

今回、イベントに参加してみて、絵本作家さん本人から、その絵本を作った経緯や絵本を通して子どもたちに伝えたい思いを聞けて、とても勉強になったし、楽しかったです!

これまで絵本は、単純に子どもが楽しく読む本だと思っていましたが、そうではなく、絵の細かい部分やすべての文字に、作者の強い思いが込められているのだということがわかりました。そこで僕も、これからは子どもにただ読み聞かせるだけではなく、作者がどのような気持ちや思いでその絵本を描いたのかを感じながら、子どもたちに読んであげたいと思いました。

子どものころは、ただ読んでいて楽しかった絵本ですが、大人になってからもこうして新しい楽しみ方を教えてくれます。そんな、どこまでも広くて深い絵本の魅力に感動しました。今回、このイベントに参加して本当によかったです!

そして最後にひとつ、ひろたあきらさん、血便だけには気をつけてください !(笑)

書籍概要

『ぷり』
出版社:‎303BOOKS
発売日:2023年10月31日
大型本:32ページ
定価:1540円(税込み)

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