軽妙洒脱なトークを交えて手品を披露する「コメディマジック」で知られる奇術師・松旭斎小天正の芸歴45周年を記念した公演が、3月5日(火)に大阪・天満天神繁昌亭で開催されました。『第10回 天福の会~小天正の45周年を祝う~』と題された公演は、小天正と笑福亭仁福が不定期に開催している人気公演。今回は笑福亭智之介、そして小天正の一番弟子である松旭斎天蝶も登場するなか、小天正がマジックだけでなく落語も披露して自身の節目を祝いました。
笑福亭仁福と「お祝いトーク」
智之介のマジックに続いて、小天正が高座へ上ると会場からは「待ってました!」のかけ声が飛び交い、和やかな雰囲気に。
むかしから落語が好きだという小天正は、子どものころから小噺を作っていたそうで、これまでの「天福の会」でも落語を披露してきました。この日は「時うどん」を一席。ギャグも頻繁に織り交ぜながら、表情も豊かに口演しました。
師匠の晴れやかな舞台に花を添えたのは「和妻」を継承している天蝶。「和妻」とは日本の伝統的な手品のことで、なにも入っていない木枠の中から、色とりどりの布や紙風船を出して会場を驚かせました。
中入り後は小天正と仁福の「お祝いトーク」に。小天正は仁福について「芸能生活の中で、いちばん飲みに行った仲」と紹介します。公私の思い出話に花が咲き、2人のやり取りはまるで上方落語に出てくる「喜六・清八」コンビのようで、笑いが絶えません。
途中から智之介も高座に招いて大喜利コーナーがスタート。観客から「生ビール」や「マジシャン」といったお題をもらい、司会を務めた小天正も参加して盛り上げました。
「ライブはやっぱり楽しいですね」
続いて小天正が、“本業”である「コメディマジック」を披露して「やっと自分らしい持ち場に」と笑顔を見せます。笑いの多い軽妙なトークと、荘厳なBGMとのギャップで客席を魅了。
ハンカチやロープを使ったマジックのほか、ボールが宙に浮くマジック「スーパーゾンビボール」を披露し、会場を不思議な世界へ。「ちょっとしたいたずらが大好き」という小天正は、あっと驚くオチを用意して会場の笑いを誘いました。
最後は仁福の落語「鰻の幇間」で締めた小天正の45周年を祝う会は、温かい拍手に包まれて幕を閉じました。
45周年は「天正襲名に向かってのひとつの通過点」と語る小天正。今後はテーブルマジックに特化した動画なども制作し、手品の世界を広く伝えたいと意気込みます。そして、この日の公演を振り返って、「ライブはやっぱり楽しいですね。笑い声が戻ってきたことがとてもうれしい」と話しました。