つぼみ大革命の糸原沙也加が、初の著書『#アイドルあるある推しごと図鑑』(宝島社)を発売しました。現役アイドルであり、元ドルオタ(アイドルオタク)の糸原が、アイドルの視点とファンの視点でさまざまな“あるある”をまとめたこの本は、吉本興業のタレントたちが参加した「作家育成プロジェクト」から誕生した初めての書籍ということでも注目が集まっています。ということで今回は、ご本人に出版までの経緯や執筆の苦労、今後の野望まで、たっぷり語ってもらいました!
「作家育成プロジェクト」は、吉本所属タレントから、有名・無名を問わず「本気で本を出したい人」を募り、育成するプロジェクトです。今年2月に始まったこのプロジェクトの中心となるのは、日本とアメリカの両方で100万部超えの大ベストセラーとなった近藤麻理恵(こんまり)さんの著書『人生がときめく片づけの魔法』(サンマーク出版)をはじめ、数多くの大ヒット書籍を手がけてきた編集者の高橋朋宏さん。これまでに、書類選考や出版セミナー、出版プレゼン大会などが行われ、候補作が選ばれました。
そして、いよいよ10月22日(金)に発売となったこの本は、男女問わずアイドルファンを読者対象とした、アイドル&ファンの“あるある集”。糸原が自ら、メンバーやほかのアイドルたちの生態を赤裸々に語り、さらにファンの行動・生態も含めて楽しくイラスト付きで描く作品です。
「個人として突出できる何かがほしいと思った」
――初の著書ということで、おめでとうございます!
糸原 ありがとうございます! この本は、吉本興業の作家育成プロジェクトで初めて書籍になった本なんです。今年の2月にこのプロジェクトが発表されて。220人ぐらいの応募者の中からまず書類選考があって、30人程度に絞り込まれて。そこからセミナーが3回ほどありまして。そこで出版で大事なこととかいろいろなことを教えていただき、最後にいろんな出版社の方が集まる場での出版プレゼン大会がありました。
でも、プレゼン大会で私は声もかからなくて。「今回はダメだったかな……」と思っていたんですが、数日後に宝島社さんからお声がけをいただきまして、出版が決まったという感じです。
――最初の書類選考から考えると、すごい人数を勝ち抜いたことになりますね。
糸原 本当にありがたいです。最初はエッセイとかコラムとか、そういう方面で本が出せたらと思っていたんですけど、最終のプレゼン大会に向けて、ヨシモトブックスのスタッフさんと相談したとき、「今回は糸原さんのことを知らない人でも手に取ってもらえるように、ファンの“あるある”とか、アイドルの“あるある”はどうですか?」とアドバイスをいただいて。それでそっち方面の本にしようと思って、こういう形になったんです。
――本を作りたいと思ったきっかけは?
糸原 2年前(2019年)につぼみ大革命が『女芸人No.1決定戦 THE W』で決勝に行きました。これをきっかけにつぼみを知りましたという人も多かったですし、それで実感したのが「目に見えた結果があると、たくさんの人に知ってもらえたり、取材をしてもらえたり、そういう機会が増えるんだ」ということで。グループとしてだけでなく、個人としても何かわかりやすい結果を出したかったんです。
特に私は、9人の中の1人という感じが自分のなかでしていて。個人として突出できる何かがほしいと思い、何ができるのかを考えたとき、文章やブログを書くのが好きだったので、初めて「本を書いてみたい」と挑戦を決めました。
――作家育成プロジェクトを通じて学んだことも多かったですか?
糸原 教えてくださった講師の高橋朋宏さんが、「本を出すうえで知名度は関係ない。有名じゃない人が書いても内容が面白ければ売れるから、そこは気にする必要はない」とおっしゃっていて。いまの自分がどうとかではなく、文章や内容で勝負する世界なんだなと強く思いました。
「このなかで自分が1番という気持ちがないと本は出せませんよ」とも言われました。それを聞いて、一瞬でも弱気になったらダメになると思ったので、「絶対に、絶対にがんばるぞ!」と今回ばかりは気合い入れてがんばりました。
出版に対するメンバーの反応は…?
――掲載されている“あるある”は、なんと267本。すごいボリュームですね。
糸原 私自身ずっとハロプロ(ハロー!プロジェクト)とかAKBグループとか、アイドルが好きでした。そのときのファン側の立場もわかるし、いまの、アイドルをやらせてもらっているアイドル側の立場もわかるので、両方の“あるある”が出やすかったというのはありますね。
“アイドルあるある”というのはこれまでにもあったと思うんですけど、今回、私ならではの違いをどう付けていこうかと考えたとき、コロナ禍ということでライブがなくなって、オンラインが増えました。それで、「オンラインあるある」という章を入れてあって。そこは、すごくいまの時代っぽいのかなと思っています。たとえば、「家の通信が悪くてイライラする」とか、「自分はイケてると思ってたらミュートになってて何も伝わってなかった」とか、“配信あるある”は共感してもらえるんじゃないかなと。
――本を作るうえで苦労したことはありましたか?
糸原 “あるある”に、基本的に解説が付いているんですけど、それが160字以内におさめなければいけなくて。多すぎてもダメだし、タイトルでほとんど言っちゃっているから意外と解説することないなぁっていうのもあって。そのあたりの調整が難しかったですね。
あとは、シンプルに、数字は半角でなくて全角にしなきゃいけないとか、「…」は「……」としなきゃいけないとか、そういう決まり事があることすら知らなくて。そっか、そういうのがあるんだって初めて知りましたね(笑)。
――本のイラストはグループメンバーの岡本りんさんが担当しているんですよね。
糸原 そうなんです。イラストレーターさんにお願いするという話もあったんですけど、せっかく同じグループにりんちゃんという絵のうまい子がいたので。実際、メンバーだと、私の「こう書いてほしい!」というニュアンスとかが、細かく伝えなくてもそのままわかってくれて。すごくわかってくれているなという安心感があって、スムーズでよかったです。
――本が出版されて、ほかのメンバーの反応はどうですか?
糸原 みんな「すごいね! おめでとう!」って一緒に喜んでくれて。メンバーに本を渡すこともできるんですけど、みんな「買うから!」とネットで発売前から予約して自腹で買ってくれたり。みんな本当に優しいです。
――「グループアイドル色分け」のページには、赤や青、黄など、各メンバーカラーの特徴も書かれていました。つぼみ大革命も9人それぞれイメージカラーがありますが、本に書かれている分析とリンクしていますか?
糸原 私も、自分のグループのメンバーカラーがすごく頭をよぎってしまったんですけど、そうするとつぼみ大革命の“あるある”になってしまうので、本に書いてあるカラー分析は、なるべく全体的なアイドルグループをイメージして書きました。
――糸原さんのカラーの薄ピンクを分析すると?
糸原 そうですね~、ピンクは好きなので気に入っていますし、「いとっちはやっぱり、どう見てもピンクやね」と言われることが多くて。つぼみの中だとバラエティよりはアイドルのほうを担当しているかな、と。自分で言うのもなんですけど(笑)。
同じメンバーのりんちゃんは真逆で、芸人になりたくてアイドルになったバラエティ寄りの子。そんなりんちゃんは白担当なんですけど、一般的な(メンバーカラーの)白のイメージとは違いますよね。白はもっと可憐なイメージなので(笑)。
あるある一つひとつに思い出が詰まっている
――完成した本を初めて見たときにはどんな気持ちでしたか?
糸原 どこのページを開いても、私が考えた“あるある”ばかりで(笑)。それがすごく不思議な感じでした。でも、ひとつずつ見ていくと、「このあるあるは、あの暑い日のライブのときに考えたなぁ」とか、一つひとつ思い出が出てきますね。
――本をどんな人に読んでもらいたいですか?
糸原 アイドルのファンの方はもちろん、芸人さん、タレントさんなど、自分が応援している人がいる人に読んでほしいと思っています。なにかしら“推し”がいるみなさんには、きっと刺さる部分があるんじゃないかなと思うので。
子どもが読んでも読みやすいように意識して作ったので、難しいことは書いていないです。文字に苦手意識がある方でも読みやすくなっていると思うので、ぜひ手に取ってみてほしいです。適当に開いたページをパッと読んでみて、ちょっとでも面白いかもと思ってもらえたら、買っていただけるとうれしいです。
――本を出すという夢を叶えたいま、次の夢は何ですか?
糸原 また本が出せたらなってすごく思います。まだまだそんなことを言える立場ではないんですけど、でも、これで終わらせないようにできたらいいなとは思います。もともと日常の何気ないことをエッセイのように書くのが好きで。いつかはそういうのを書きたいです。コラム連載のお仕事をいただいたり、noteにツラツラと書いていたり、少しずつチャンスが広がってきているので、がんばっていきたいですね!
糸原沙也加のnoteはこちらから。
書籍概要
『#アイドルあるある推しごと図鑑』
著者:糸原沙也加
イラスト:岡本りん
発売日:10月22日(金)
定価:1,100円
出版社:宝島社