宮川大助・花子が新著『なにわ介護男子』で明かす“前向き”な闘病生活「古希の全国ツアー、この勢いやったら出来る!」

宮川大助・花子が闘病生活をありのままにつづった書籍 『なにわ介護男子』 (主婦の友社)が6月28日(金)に発売されました。日本の夫婦漫才を引っ張ってきた2人らしく、厳しい病状や大変な介護・リハビリの体験もユーモアを交えて前向きに描いた1冊。発売前から早くも重版が決まるなど話題になっています。発売前日の会見では、大助・花子が本書に込めた思いや、いま病に苦しむ方へのメッセージなどを熱く語りました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

涙の大助「病気に立ち向かう気持ちで出来た本」

花子に血液のがんである多発性骨髄腫が発覚したのは2019年のこと。2022年1月に発売した前作『あわてず、さわがず、あきらめず』(主婦の友社)は、花子が余命半年と宣告を受けてからの闘病の日々と、センターマイクへの思いを綴っていました。

その続編となる本作は、2022年3月にいったんは寛解した多発性骨髄腫が再発してからの日々や、次から次へと起こる新たな症状との闘い、それを愛情深く支え続ける大助による“老老介護”の奮闘ぶりなどを、隠すことなく記しています。カバーイラストは箸や編み棒を持つことすら叶わなかった花子がリハビリとして時間をかけて描いたもので、帯のコメントは同じ病と闘う俳優の佐野史郎から寄せられました。

花子に2冊目の本を出版しようと思ったきっかけを尋ねると、こう話しました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

「前の本のときは自分の病気がどういうものか知らなかったのですが、そこから多発性骨髄腫について知って、同じ病気で苦しんでいる人がいることもSNSなどで知りました。世の中には多発性骨髄腫という病名を聞いても、どんなものかわからない人が今でも多いので、この病気のことを知ってもらいたいというのが第一。介護のしんどさもお伝えしたいし、夫への感謝も込めました。介護はなかなか出来ることではありません」

本が出来あがるまでの苦労を尋ねると、大助は「面白おかしく書いているので楽しいと思います」と話しながら、すぐに涙ぐみます。すかさずハンカチを渡す花子。大助は、こう声を張りました。

「がんと聞くだけで鳥肌が立つような、それも治らないと宣告を受けたうえでの介護・看病なので、常に恐怖心がつきまとっています。でも、そんな恐怖を吹き飛ばすくらいの勢いで病気に立ち向かおうという気持ちを持って、この本は出来あがりました」

それでも、花子のこと考えるとやっぱりつらいと再び涙をこぼす大助。「僕が背負ってやりたかった」とつぶやきました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

佐野史郎が帯に書いた「おもしろがれば乗り越えられる!!」

タイトルを『なにわ介護男子』とつけた理由について、花子は「漫才がきっかけだった」と説明します。

「『なにわ男子ちゃいますよ、介護男子ですよ』と言ったのがはじめで。それで本のタイトルにしました。かわいいですよね」

この日、大助が着用していたエプロンの胸元にも「なにわ介護男子」の文字が。知人が大助のために作ってくれたもので、たいそう気に入っているそうです。大助は日々このエプロンをつけて、「お母さんが赤ちゃんのお世話をする」ように花子の介護や家事をしているとのこと。大助はカバーイラストのように1人で買い物にも行っているそうです。

「前は、花子を車に乗せて2人で買い物に行っていましたが、花子の体がだんだん動かなくなってからは、1人で行くようになりました。庭作業も今は1人。なので、今の目標は2人で買い物に行くことです」(大助)

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

花子も、大助が大根の入った買い物かごを手にしているこの1枚が、自身が手掛けたカバーイラストの中でもっともお気に入りだそう。

「大助がお買い物に行っている絵ですが、切なくて、哀愁があってすごく好きなんです。このイラストが表紙になってうれしかったです」(花子)

俳優の佐野史郎が帯コメントを寄せたいきさつについては、花子が次のように説明しました。

「佐野さんと私は年齢も一緒で、同じ病気なんです。出身地も大助と同じ山陰地方で、共通点があります。ドキュメンタリー番組で佐野さんが(病気に対して)苦しかったとおっしゃっていたのを聞いて、それやったら私ももっと頑張って、皆さんにこの病気がどういうものか伝えたいと思ったんです」。

花子は「おもしろがれば乗り越えられる!!」という佐野からの帯コメントを読み上げ、「そうや! 面白なかったらあかんねん、人生は!と勉強になりました」と続けます。「苦しいより、楽しいほうがいい。大助さんは何でもやろうとしてくれるけど、失敗する。でも介護だけはバッチリ。大助の介護の失敗も、面白くて楽しいですね」と前を向きました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

パラリンピックを見て「車いすで堂々とやろう!」

“老老介護”状態の日々でお互いにイライラしてしまうこともあると明かしますが、それでも大助は「女房の存在はとても大切。宝物です」と話し、花子も「ありがとうと感謝の気持ちがある」と大助をねぎらいます。

大助は、「お互いあちこちにガタが来ていますが、お互いが支え合って。この本には、そんな僕たちの漫才がそのまま載っているので、楽しいと思います」と自信ものぞかせました。

すでに第3弾の書籍化を考えているという花子。今後の活動について、こう力を込めます。

「この本を書いたあとに病院に運ばれて、大助をかわいそうな目に遭わせました。倒れて目が覚めたら病室というのは怖いこと。そういうことがあるから、副作用などの経験談を書きたいですね。闘わなあかんし、乗り越えなあかんのが自分の人生。漫才師という命もいただいたので、苦しんでも“こんだけいけまっせ”という姿を見せたいです。あと、私も古希(70歳)になるので、全国をまわりたいです」

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

花子から飛び出した“古希の全国ツアー”構想には大助もやる気満々で、こう応じます。

「全国の高齢者の仲間たちと、俺たちには夢も希望もあるということを分かち合って。次の世代に橋渡しすることも大事だと思うので、高齢者の大切さなどのテーマを女房と一緒に漫才で生かされへんかなと考えています。老人の美学を出せたらいいですね」

車いすでの漫才も最初は抵抗感があったといいますが、そんな気持ちを変えたのは2021年の東京パラリンピックだったと言います。

「東京パラリンピックを観て、車いすで出よう、堂々とやろう!と。いまは『ふたりとも腰痛なので、座って漫才やります。これがザ(座)・漫才です』と舞台で言ったりして、プラス思考に変えています。そういうところも、嫁さんの長所です」

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

「この歳で努力って、すごくええな」

とにかく明るく前向きな姿勢が2人の元気の源。花子は先に言及した“古希の全国ツアー構想”について、改めて自信をのぞかせました。

「この勢いやったら出来ると思うんです。『いま70歳なので、あとなんぼ生きても40年』というネタがあるのですが、ひょっとしたら皆さんよりも私は長生きするかもしれない。大助や主治医と一緒に闘いながら、薬を飲みながら、リハビリもしながら、訪問看護師さんと一緒に闘っていく毎日です」

そんな花子に「いや~、しかしあんた前向きやな~」としみじみとする大助。全国のファンに向けて、こうエールを送りました。

「がんにかぎらず、いろんな病気と闘っている方、生活苦の方、能登の被災地の方など、いろんな形で闘っておられる方がいらっしゃいますが、笑顔で頑張ってほしいです。笑顔が絶えないように、笑顔を忘れずに頑張りましょう!」

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

花子も、力を込めてこう語りました。

「よく『花子師匠は明るいですね、楽しそうですね』と言われますが、病気は楽しくない。でも、同じ闘うのなら明るくしたい。“生きているだけで丸儲け”というのは元気な人、健康な人のための言葉です。ほんまに生きるのはしんどい。けど、せっかく生きるんやったら、自分には漫才というものがあるので、これからも笑顔で笑いを届けられるよう努力します。この歳で努力って、すごくええな。頑張りますよ!」

書籍概要

『なにわの介護男子』
著者:宮川大助・花子
発売日:6月28日(金)
※電子書籍も同時発売
定価:1,650円(税込)
判型、ページ数:四六判、208ページ
出版社:主婦の友社

Amazonはこちら
楽天ブックスはこちら