“花の82年組”アーティストのKAORUKO作品がペルシャ絨毯に! 女性職人に共感「気持ちとしても素晴らしいコラボ」

現代アーティストのKAORUKOとペルシャ絨毯(じゅうたん)を専門とするLIONRUGS(ライオンラグス)がコラボレーションした作品が、DESIGNART TOKYO 2024開催期間の10月18日(金)~10月27日(日)、東京・ギャラリーショップ「ライオンラグス青山」で展示中です。初日にはKAORUKOとLIONRUGSのエスマイリ・ホセイン会長が囲み取材に出席。今回のコラボレーションに込めた熱い思いを語りました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

【KAORUKO】
1982年にシングル『虹いろの瞳』で“新井薫子”としてデビュー。松本伊代、小泉今日子、早見優らとともに“花の82年組”として活躍したあと、アーティストに転身。2007年からはニューヨークを拠点に活動しています。
明治・大正時代の着物の文様をコラージュすることで日本文化を反映させた表現をコンセプトとし、現代を生きる女性を投影した新しい形のポジティブなフェミニズムを描いた作品は、海外アート界でも独特の存在感を放っています。

【LIONRUGS(ライオンラグス)】
最新のペルシャ絨毯や世界各地から買付けしたヴィンテージラグなど、さまざまな商品がそろうペルシャ絨毯の専門ギャラリーショップ。中東ペルシャ絨毯の国イランに始まり、130 年続く絨毯商でありながら「ファッションのように」絨毯を普及させることを常に意識して、日本のライフスタイルにマッチする絨毯を提供しています。

「グラデーションも絵と同じ」こだわりのクオリティに驚き

現在、ギャラリーショップ「ライオンラグス青山」では、KAORUKOの作品をもとに制作されたペルシャ絨毯や、KAORUKOの新作絵画が初公開されています。KAORUKO作品が持つフェミニンなジャポニズムの世界観と、中東の国イランの伝統工芸品であるペルシャ絨毯との融合が楽しめます。

今回のプロジェクトは、約3年前にKAORUKOの作品に感動したホセイン会長が、コラボレーションを依頼したところから始まりました。絨毯は1年以上かけて制作され、このたび完成に至りました。

ホセイン会長は、自らが感銘を受けたKAORUKO作品を絨毯として完璧に表現するべく、こだわりぬいたと語ります。

「今回、展示されている絨毯は、すべて羊毛を手で紡いで染色しています。織る職人とデザインを考える職人など、役割もさまざま。1枚の絨毯に、約100人もの職人がかかわっているんです」

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

今回のコラボレーションを通して日本の伝統工芸とペルシャ絨毯の共通点の多さに感銘を受けたというKAORUKOは、自身の作品が忠実に再現されたことに感激したといい、次のように語りました。

「私の絵はさまざまな色を使っているため、濃淡などをうまく表現できるのか疑問だったんですが、出来上がったものを見て本当に感動しました。グラデーションも自分の絵と同じクオリティで、本当にびっくりしています」

コラボ作品には「“縁起もの”のイメージも含めてずっと飾っていただけたら」という思いから、「招き猫」や「鯉の滝登り」など“おめでたいモチーフ”が取り入れられたものも。

KAORUKOがイチ押しするのは、女性が描かれた1枚。すべてを受け入れてくれる「母」や「女神」のようなイメージで描かれたという女性の姿と、各月の誕生日花が1枚におさめられています。KAORUKOは「“守られているような気持ち”になっていただけるようなペルシャ絨毯を作ってみたい、と思いました」と、デザインのイメージを語りました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

「日本とペルシャの文化を結ぶ発信になれば」

今回のコラボレーションの感想を聞かれると、ホセイン会長は「誰もやっていないことをやると、不安と緊張感があるのですが、やっぱりテンションが上がります」と笑顔。改めて出来上がった作品をアピールしました。

「イランと日本は西と東で離れていて、ちょうど逆ですよね。自分はイランにいないけれど、作品を見ると自分の家族や仲間が『ここにいるんだな』って繋がりを感じるんです。今回、現地の工房の職人たちも含めて、喜んでKAORUKOさんの作品をつくらせてもらいました。足を運んでいただいた方は、皆さん必ず感動して心が豊かになっていただけると思います」

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

ペルシャ絨毯は親から子、子から孫へと代々受け継がれていく文化があります。時代を経て羊毛が劣化しても、「それがいい味になっていく」とホセイン会長。「絨毯は縦と横を結ぶ糸なので、日本とペルシャをひとつの文化として結ぶ発信にもなれば」と、末永く友好のシンボルとなっていくことへの期待を寄せました。

KAORUKOも今回のコラボについて、満足した様子でこう振り返りました。

「職人さんの中には女性もいらっしゃるとお聞きしました。私も女性で、ふだん作品を作っているので、そういったところに共鳴できる思いと、『違う国でひとつずつ作ってくださっているんだな』という感動もありましたね。そうした思いも込めた作品になっているので、“気持ち”としても素晴らしいコラボレーションになったなと思います」

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

ライオンラグス青山では、絨毯とともにKAORUKOの新作絵画も展示中。なかでも「Dragon」は、KAORUKOがホセイン会長の協力を得て、ペルシャ絨毯で伝統的に用いられる「ペルシアンブルー」色のアクリル絵の具を用意した一作です。KAORUKOは「水の神様であるドラゴンをイメージした絵で、ブルーで表現したくて描かせていただきました」と紹介していました。