フットボールアワーが“15年ぶり”単独ライブ開催! 岩尾「今回が定期的にやる1歩目になったらいいなあと思っています」

昨年、コンビ結成25周年を迎えたフットボールアワー(岩尾望、後藤輝基)が、15年ぶりの単独ライブを開催します。『フットボールアワー 25」と題するライブの舞台は、4月13日(日)が大阪・なんばグランド花月、4月19日(土)は東京・ルミネtheよしもとです。今回はフットボールアワーの2人を直撃し、15年ぶりのライブ開催を決めた理由やその見どころ、さらに今後の目標などをたっぷり語ってもらいました!

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

後藤「われわれは“何屋さん”かをもう一度考えた」

――今回、15年ぶりの単独ライブを開催することになった経緯を教えてください。

後藤 昨年がコンビを組んで25年というところで「なんかやれへんのかな?」とうっすら思っていたところに、会社からの声がかかって……。2人とも別々に言われて、「こんなん聞いたけど」「じゃあ、やってみるかあ」と。

――この15年間、単独ライブをやらなかった理由は?

後藤 いろんな仕事が忙しかったのもありますし、“使う筋肉”が違うのもありましたね。でも、僕らは舞台で育ってきていますから。コロナのときにテレビ収録もなくなり、「われわれは何屋さんか」をもう一度考えたときに「漫才師やな」と。そこから劇場の出番も増やしていった延長に、今回の単独もありました。

岩尾 別にこだわりがあって単独をやらないでいたワケでもないんです。ただ、きっかけがなかったし、僕から言い出すタイプでもないし。(後藤も)言ってこないから、「別にやらんでもいいかぁ」と思いながら、気づいたら15年間あいていたんですね。だから、今回の単独は「いよいよ、この間に溜め込んだものを……」というわけでもない。

後藤 それはないなあ(笑)。「15年溜まったものを放出する」みたいなことではない。でも、年齢による変化は絶対にありますから。ストックしたものを放出するわけではないですけど、年月を重ねたわれわれらしいものには自然となると思いますね。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

――どんなライブにしようと思っていますか?

岩尾 まだ、どんな人たちが来てくれるかも、つかめていないんですよ。昔からのファンが来るかもしれないし、最近テレビで観た人が来るかもしれない。だからこそ、込み入ったものではなく、間口の広いネタをやりたいとは思いますね。

後藤 堅苦しい感じにせず、「あれもやってみよう」「これもやってみよう」という考えでつくろうと思っています。

――“オール新ネタ”ですか?

後藤 もちろん新ネタはやりますけど、もし、やりたくなったら昔のやつもやるかもしれないです。

岩尾 うん。だから「フットボールアワー・新ネタライブ」とも、いまのところは銘打たないでいます。

――漫才とコントは?

後藤 そこもまだ決まっていないですね。

岩尾 いまのところは、どっちもやるつもりです。

後藤 もう、いろいろやりますよ。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

――おふたりは昨年末に、アキナ(山名文和、秋山賢太)とのライブ(『アキナがフットボールアワーさんを強引に誘ってコントをして貰うツーマンライブ』)で、14年ぶりにコントを披露しました。若いファンはフットボールアワーにコントのイメージが持てないかもしれません。

後藤 まったくないんじゃないですかね。昔は普通にやっていましたけど。でも、いまは年齢がいってるんで「学生服はちょっとな……」とかもあるんで(笑)。「高校生はきついよな」「幼稚園児やったら、まだ極端だからええわ」とか、そういうこともこれから考えたいと思います。

――忙しいなかで、ネタづくりはどのようにやるんですか?

後藤 基本的には2人で「ああでもない。こうでもない」とやりますね。どっちかがつくってきて「これ!」っていうほうが本当は早いんですけど、ネタをつくるのに極端に時間がかかるコンビではあります。

――ライブまで3カ月弱しかありません。

後藤 いや、ほんまに詰めないとマジでやばいですね。単独自体が久しぶりなんで、いろいろやることを思い出す作業になると思います(笑)。これが今年だけなのか来年もなのか、10年間やっていくのかわからないですけど。

――定期開催を視野に入れているんですか?

岩尾 それも、(今回)やってみてですね。本当にお客さんもどの程度来るかもわからないので。でも今回やらんと、次もないし。今回が、定期的にやる1歩目になったらいいなあとは思っています。

後藤「20歳の俺が聞いたら何て言うんやろうな」

――昨年、コンビ結成25年を迎えましたが、これまでを振り返るとどんな思いですか?

岩尾 お互いコンビを組む前に5年間、別々のコンビでやってますから芸歴で言うと30年なんですね。

後藤 ようやってきたもんですよ。ほんまに。

岩尾 「気づけば」っていう感じですかね。

――30年前に想像していた未来と、いまの自分は近いですか?

後藤 うわー! それなあ……。

岩尾 NSC(吉本総合芸能学院)に入った時はお互い別々のコンビで、しかもボソボソ喋るようなコントを両方ともやっていたんですよ。NGK(なんばグランド花月)で漫才をしている師匠たちを観て、「自分たちはそういうタイプじゃない」と思っていました。

それが、いまでは「NGKでウケるってすごいな」「気持ちいいな」と思っているのは、想像できなかったですね。本当にこのコンビを組んでから、いろんな賞やM-1を獲ったり、仕事をいただいたりして、「あ、こんなんもやるようになったんか」と変わってきた感じはあります。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

後藤 この世界に入るころは「でっかい家に住んで、とんでもない車に乗る生活をしてやるんだ!」と思っていましたから。それが現実になっていないところでは、20代の僕は落胆するかもしれないです。

でも最近、仕事をしていて思うんですよ。「これは20歳の俺が聞いたら、何て言うんやろうな」と。「もう、お笑いのことを考えてないやん」って(20歳の自分に)思われるのが、いちばんイヤなんですよね。

――お笑いを志したときの気持ちを忘れたくないと?

後藤 うん。「あかん、あかん」と自分を戒めている部分はずっとあります。たとえば子どもと遊んでいる時に、嫁さんから「今日の(子どもの)洋服、可愛いと思えへん?」と言われる。「ほんまやなあ、可愛い」と言いつつも、「ちょっと待てよ。俺、こんなことしてて大丈夫か?」って(思う)。

もちろん大丈夫なんですけど、あのころと変わってはいけない“芯”はあるじゃないですか。「面白いと思うことは、果たしていまのあなたにあるんですか?」と20歳の僕が常々言ってくるので、そこはなんとか変えないように日々頑張ってるつもりです。

――コンビの関係性は、この25年で変化しましたか?

岩尾 僕らは「コンビなんて仲が悪いのがカッコええ」という時代に組みましたから、それこそギスギスもしていましたし……。でも(後藤は)家庭を持ち、親になり、基本の人間が優しくなったから、最近はそれが僕にもちょっと波及してきている(笑)。

僕に対してむっちゃ優しいワケじゃないんですけど、全体が優しくなったから、ギスギスしてたときの厳しさがなくなって、昔に比べたら優しい空気が流れるようになったと思います。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

――ネタ合わせも、いまのほうが楽しいですか?

岩尾 楽しいまではなってないですけど……。うん。一時期はここ(2人の間)ではしゃべらない時もありましたから。

後藤 コンビで東京に来て、「頑張らあかん、ひな壇で目立って行かなあかん」という時の考えの違いがありましたよね。(岩尾に)「なんでお前、行かへんねん!」と。でも各々で活動するようになって、ストレスはなくなったし、年齢も加味してムカつかなくなってきたのはある。

もう、ワロてまうんですよ(笑)。50歳にもなって、(岩尾は)かたくなに他の人と合わせないとか、独身で何考えてるかわからないとか。前は「なんやねん!こいつ」と思ってましたけど、ちょっとワロてしまうようにはなりましたね。

――改めてこのタイミングで単独ライブをやろうという2人の関係性は素敵ですね。

後藤 まあ実際、状態の悪い時期もありましたからね。そういう意味で言うと、やっとできるようになったところもあるかもしれないですね。

「キラキラしているところが苦手な中年の受け皿に」!?

――最後に、今後ついて教えてください。結成25周年を経て、次の10年のプランはありますか?

後藤 年齢に応じて言うことややることは変わってきましたし、立ち位置や環境の変化もあります。でも50歳になって、これから老人になっていくことを考えたら、勘定すると「ちゃんと動けるのは、あと10年ちゃうんか?」「あれ? ちょっとしかないやん」みたいなね。だから、「いろいろやっとかな」という感じです。

――その中の1つが今回の単独ライブなんですね。

後藤 それはあると思いますね。

岩尾 年齢を考えると、たとえば65歳の時に「15年ぶりの新ネタライブ」ってでけへんと思うんですよ。だけど、いまならまだ間に合うというか……。いまたくさんやっておくと、その時になっても自分たちのペースでできて、お客さんもついて来てくれたりすると思う。このライブを皮切りに、自分たちから積極的に何かをしていく10年になればいいと思いますね。

後藤 別に60歳になって「ハーレーダビッドソンに乗りたいわ」って言ってもいいんですけど、そこまでの助走がいるじゃないですか。ある程度の体力をつけておかないといけない。それと同じで、単独ライブだって2時間もあったら「途中でトイレに行かなきゃ無理や」とかなってくるんですよ(笑)。

岩尾 (笑)

後藤 だからこそ、「この10年でいろんなものを身につけないと、その先はないな」と思いますね。「大阪に帰って漫才やっときゃ万々歳やろ」と言う人もいるかもしれないけど、「いやいや、それはちょっと待ってくれ」という思いが僕にはありますから。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

――すると、次の10年でさまざまなことに挑戦するフットボールアワーが見られそうですね。

後藤 思いつくことをやれたらいいと思いますね。いままでブワーっと走ってここまで来ましたけど、やらずに散らしていったものもいっぱいあると思うんで。この10年を頑張らないと、次は5年刻みやと思いますから。

――最後に、読者に向けて単独ライブのアピールをお願いします。

後藤 われわれのファンだった人も年を取って、「もう年やし、いまのお笑いライブに行くのは恥ずかしい」っていう人も結構いると思うんですね。「あの感じ、ほんまは好きやけど、なんか行きにくいわ」と、足が遠のいている人もいると思う。そういう人にも来てほしいんですよね。

この間、藤井(隆)さんがプロデュースしてくれたライブに出たら、僕らが若手の時によく来てくれてた子がいたんですよ。当時は高校生やったんですけど、いまは家庭を持って子どももいて、「最近こういうのに来ていなかったけど、久しぶりに来ました」って言われて。「うわー! 覚えてる、覚えてる!」ってなった。

そういうのもあったら嬉しいですね。もちろん、テレビで僕らを知った子たちは、コントなんか見たことないでしょうから、いろんな人に来てほしいです。

――岩尾さんはどうですか?

岩尾 僕も同じような気持ちですね。キラキラしているところが苦手な中年の受け皿になれたらと思います。

後藤 いや、そんなつもりはないねんけど(笑)。

岩尾 (笑)

後藤 とにかく誰がどういうかたちで来てくれてもいいんで、肩ひじ張らずに楽しんでもらえるライブにしたいですね。新旧いろんなスタイルのネタを、お見せしたいと思ってます。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

公演概要

「フットボールアワー 25」
【大阪公演】
会場:なんばグランド花月
日程:4月13日(日) 19:00開場 19:30開演
※飲食不可(但し、ソフトドリンクのお飲み物は可、アルコールは不可。)
※未就学児入場不可
※本公演は記録用カメラが入ります。後日、一部配信を行う可能性もございます。

【東京公演】
会場:ルミネtheよしもと
日程:4月19日(土) 19:00開場 19:30開演
※飲食不可(但し、ソフトドリンクのお飲み物は可、アルコールは不可。)
※未就学児入場不可

関連記事

関連ライブ