結成2年、しかしキャリアは十分! しゅんすけがマンゲキメンバー昇格「NSC大阪33期はまだまだいますから!」

大阪・よしもと漫才劇場(マンゲキ)で2月に行われたグランドバトルで総合8位となり、3月から極メンバーに昇格したしゅんすけ(さかもと、ほりお)。コンビ結成2年の2人ですが、さかもとは芸歴15年目、ほりおは14年目と経験は十分。それだけに、極メンバー入りを手放しでは喜べない面も!? そんな2人に、いまの心境や結成秘話を聞きました。

出典: FANY マガジン
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「うまくいかんかったことのほうが多い。だから普段から期待しない」

「グランドバトル」は、マンゲキ所属・芸歴9年目以上の極メンバー全組で2カ月に1回行われるネタバトル。審査員と観客の投票で順位が決定します。極メンバー以外にも、マンゲキ昇格を狙う若手芸人らのオーディションライブ「UP TO YOU!」から勝ち上がった選抜メンバーが総合10位以内に入った場合、極メンバーとしてマンゲキのレギュラーに昇格します。しゅんすけは2月8日(土)に開かれたグランドバトルで、第3部の第3位と健闘。総合で8位にランクインして見事、マンゲキ入りを決めました。

──グランドバトル6回目の挑戦にして昇格を決めました。今回のグランドバトルは、過去の5回と比べて何かが違いましたか?

ほりお 手応えがあったというか、「どうでしょうかね……!?」という感じではありました。かといって、「絶対行けた!」というのは正直、なかったです。

さかもと 僕は入って4位くらいかな、と。でも総合10位以内に入らないとダメやから、4位だと総合で11位や12位になってしまう可能性もあるから「どうかな?」と。

ほりお リアルやなぁ……!

さかもと でも、今回はつかみの段階から「いつもとちゃうな」というのはあって。僕ら、つかみがめちゃヘタで、過去5回出ててつかみを全部ミスってるんです。

ほりお そうでしたねぇ。

さかもと 前回のグランドバトルで超速バギーのハマムラさんが袖で見てくれてたんですけど、「もうお前らはつかみ、すな!」という指令まで出てました(笑)。「わかりました」とは言ってたんですけど、不安やったからつかみを入れてみたら、お客さんがいつもより笑ってくれていたので「温かいな~」みたいな空気はありました。

──つかみは成功、ということですね。

さかもと 大成功ですよ!

ほりお 安心感はありました。

出典: FANY マガジン
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──総合順位が発表されるまで、袖で「いけるかも?」みたいな話はしたんですか?

ほりお しゃべってないですよね?

さかもと 隣にはおったけど、しゃべってないなぁ(笑)。なんかね、僕ら、芸歴14年目(ほりお)と15年目(さかもと)でそこそこ長いから、期待したらロクなことがない、という考えがありまして。うまくいかんかったことのほうが多いから、今回も期待したら怖いっていうのがあったと思うんです。

ほりお 勝手にね(笑)。別にそれをお互い言葉に出して「そうしていこう」とは言ってないんですけど。

さかもと 「いけるかも」とか言ったら、あかんかったときに“フリ”になっちゃうじゃないですか。それが嫌やから、たぶん無意識にしゃべらんようにしてたと思いますよ(笑)。

ほりお もし(極メンバーに)入られへんくても、傷つかないように。スンとした顔で「まぁ、まぁ。次ね」と言えるように。ただ傷つきたくない、弱い人間なんです。

さかもと こうなったきっかけは「これちゃうか?」という思い出があるんです。僕ら、正式にコンビを組んで初めて出た『M-1グランプリ』の1回戦で、敗退したんですよ。調子乗って「落ちるわけがない!」と思ってて。そのあと、再エントリーで通過できましたけど、あのときの悲しみとか不甲斐なさ、情けなさを経験してから、2人で「勝負の前に変なこと言うの、やめよ」ってなったんです。

ほりお 1回戦敗退になったあとに野外でYouTube用の動画も撮ってたんですけど、雨まで降ってきて。天にまで「調子に乗んな」と言われている気がして。だから、地に足つけてやっていかなあかん、というのはあります。

出典: FANY マガジン
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──とはいえ、極メンバー入りが決まった瞬間はうれしかったのでは?

ほりお MCの(スーパーマラドーナ・)武智さんに呼び込んでいただいて舞台に出ていくとき、両手を広げて「わー!」ってやったんですけど、気持ちは正直ついていってなかったです。うれしい気持ちは8割あるけど、「(極メンバーに)入ってからが、また大変やな」ということもチラついて、複雑な気持ちでした。

2人とも、前のコンビで劇場に入らせてもらっていて(※ほりおは「おたまじゃくし」、さかもとは「キャタピラーズ」)、入ったあとの大変さも知っているからかも知れないです。

さかもと 僕はボケなんで、舞台で言うボケとか一応考えてたんですよ。で、相方にツッコんでもらおうといろいろ用意してたんですけど、武智さんに「どう?」と聞かれたときに、普段はそんなにしゃべらんほりおがしゃべり出して、急に「さかもとさんが……」って変なパスまで出してきたから考えてたコメントが全部飛んでしまった。

なにを言ったか覚えてないですけど、「おもしろみも、盛り上がりもない」とだけ思った記憶はあります。

ほりお いやいや、いやいや!

──まわりの反応はどうでしたか?

ほりお 僕はNSC(吉本総合芸能学院)大阪33期なんですけど、同期は売れっ子ばかりでほとんど東京行ったんで、大阪にほぼ残っていないんです。だからそういうのはないかな、と思ってたら、kento fukayaが「よくやったね」ってLINEをくれました。NSCのときから一緒のクラスで、ずっと優しいんですよ、彼は。

さかもと 僕は、(飯めしあがれ)こにおさんが、メッセージなしで「飯めしあがれ」って2000円分のLINEギフトを贈ってくれました。

ほりお “福井県住みます芸人”の!? 先輩やん!

さかもと 結果を知ってかどうかはわからないですけど。

ほりお そら、そうでしょう!

出典: FANY マガジン
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グランドバトル突破の秘訣は“忘れないこと”

──2人はどういう経緯でコンビを組んだんですか?

さかもと 組む前はユニットで、「おもち」っていうコンビ名で『M-1』に出たり、出演できるライブには出たりして、そこで感触がよかったんですよね。そのタイミングで、ほりおが結婚することになり、「奥さんに負けたくないな!」と思ってコンビを正式に組むことにしました。

ほりお 奥さんへの対抗心で!?

さかもと ほりおが結婚しなければ、正式にコンビを組むことはなかったかも知れません。

──では、さかもとさんから声をかけたんですね。

ほりお そうです。前のコンビも解散したし、芸人を辞めるかどうしようか……くらいの感じやったときに、「ユニット組んで『M-1』に出よう」って誘っていただきました。でも「まだ、わかりません」って返事を保留にして、エントリー締め切りのギリギリに改めて「一緒に出てください」と連絡しました。それで「おもち」っていうユニットで出たっていうのが最初ですね。

──2カ月に1回、グランドバトルに挑み続けるためのモチベーションはどのようにキープしていましたか。

さかもと 2カ月に1回というのが、めっちゃミソなんです。グランドバトルに出て「こういう感じか」「お客さんはここで笑ってくれるんか」というのを覚えてられるのが、僕は1カ月間だけなんですよ。残りの1カ月で忘れていき、ほんで次のグランドバトルが来るころには全部忘れてる状態で……。

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ほりお アホやろ!(笑)

さかもと 「前も『この感覚や』って言ってたやん!」っていう失敗を4~5回繰り返しました。だから最後は、前の感覚を忘れへんようにして1本のネタをめちゃ叩き上げたり……という感じの過ごし方をしていましたかね。だから「絶対受かるぞ!」とか「勝ち上がるぞ!」というよりは、「忘れない」というのを大事にしてました(笑)。これが毎月ならこうはならないですけど、2カ月に1回だからこうなる。絶妙です。これは「脳科学」です。

ほりお ただただ「忘れてる」だけやん。

ほりおは「ザ・ノーマル。プレーン。スタンダード」

──お互いの人柄を教えてください。

ほりお (さかもとは)ピュアで、男らしくてまっすぐで、まっすぐであるがゆえに曲げられない不器用なところとか、ちょっと古くさいところもあるんです。でも、後輩思いですし……。

さかもと 何か意図があるのか。

ほりお こうして褒め言葉を素直に受け取れないのも彼の一面です。照れ屋さんです。

出典: FANY マガジン
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さかもと (ほりおは)“減点”だけを出さない男、ですかね。

ほりお なんやそれ? 「だけを」って良くない言葉が付いてましたよ。

さかもと 大きな加点はないけれど、減点は出さない。ザ・ノーマル。プレーン。スタンダード。優しさだけで結婚までこぎつけた男。

ほりお イヤな異名を付けるな! ええこと言うてくださいよ! みんな見はるんやから!

さかもと あ、「子どもをお風呂に入れたいから」って全然ネタ合わせが途中やのに帰ったりする。子煩悩。

ほりお なんでそんなちょっとチクッとする言い方を……!

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「大楽屋の真ん中でほりおと2人で野球がしたい」

──マンゲキメンバーになって、やってみたいことや目標はありますか?

ほりお まずマンゲキで単独ライブはやりたいですよね。いままでお世話になった劇場のメンバーと一緒にやれるとうれしいので、ゲストに呼んだり、ユニットライブもやりたいです。

黒帯のてらうちさんは、ずっと僕を気にかけてくれていて、グランドバトルがあかんかったときもメシに連れて行ってくれてたんで、黒帯さんとは一緒になにかやらせていただきたいですね。

さかもと 僕はずっと楽屋にいたいです。むかし大楽屋の真ん中で、見取り図の盛山(晋太郎)さんとか霜降り明星・せいやが野球したりしてたんですよ。

ほりお 和気あいあいとしてたなぁ。

さかもと 学校でいうところのクラスの中心メンバーみたいな感じがありました。だから、ほりおと2人で野球がしたいです。

ほりお 僕と!? しゅんすけが大楽屋の真ん中で野球をする? 嫌われるだけよ! 誰かほかの人も交えていかな!

さかもと やっぱりそういうことができるのって、中心メンバーだからだと思うんですよ。コンビで野球してたら「またやってはるわ」「さすがしゅんすけさんや」と言ってもらえるくらいのポジションになりたいですね。

出典: FANY マガジン
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ほりお あとは、「まだまだ33期はいるんやぞ!」というのを示していきたいですね。帝国チーズグラタン、ジャーマンズ、にんげんっていいな、長谷川大祐、そして33期の“秘密兵器”、のびのびハッピーズですよ!

さかもと ただの“秘密”やろ? 

ほりお 違うよ! このメンバーと何か一緒にやりたいです。世間の方々は「もう33期は売れ切ってる」と思ってるかもしれませんけど、まだまだいますから! 

出典: FANY マガジン
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