黒田たもつと、俳優の近藤芳正がW主演を務める舞台『VS.(ヴァーサス)』が、7月26日(土)〜28日(月)に大阪・ABCホールで上演されます。初日を目前に控えた7月16日(水)には、出演する黒田、近藤、川奈美弥生、和海と脚本・演出の村角太洋(THE ROB CARLTON)が吉本興業大阪本社で開かれた取材会に出席。この企画が立ち上がったきっかけや、見どころ、本番に向けた意気込みをたっぷりと語りました。

黒田と近藤の“怒涛のしゃべくり劇”
寄席にテレビにラジオに引っ張りだこの黒田は俳優としての評価も高く、自身が脚本・演出を手掛けたものも含め、これまで多くの舞台やドラマに出演しています。黒田にとって、『フードコートのランスちゃん』(2019年上演)以来6年ぶりの演劇舞台が『VS.』です。京都を拠点に活動するTHE ROB CARLTONの村角に脚本・演出を依頼し、“役者・黒田たもつ”として演技に全力投球します。
黒田とタッグを組む近藤とは、NHK連続テレビ小説『ブギウギ』で共演。その縁から黒田が直談判して、今回のW主演が実現しました。松竹新喜劇の川奈美や、元りんご娘で『ブギウギ』にも出演していた和海、そして村角自身(俳優名ボブ・マーサム)も俳優として登場し、脇を固めます。
ストーリーは、新人歌手(和海)のデビューに向け、黒田扮する弱小芸能事務所社長と川奈美演じるマネージャー、近藤扮するレコード会社のエグゼクティブ・ディレクターが、丁々発止のやりとりを繰り広げます。「レコード会社の会議室を舞台に、言い合いでどっちも折れず、ひたすら口論が続く90分」(村角)という“怒涛のしゃべくり劇”は、爆笑の連続となること間違いなしです。
十数年前から“汗をかく”ために年に1回は演劇公演を行ってきたという黒田ですが、コロナ禍でしばしの中断を余儀なくされるなか、旧知の仲である村角とともに「落ち着いたらやりたいね」と新作の話し合いを続けてきたとのこと。「今回やっと、満を持してやれるようになりました」と力を込めました。

また、近藤の出演が決まったことでさらに打ち合わせを重ねたという黒田は、「大人同士が言い争う闘いをコメディにできた。稽古でもうちょっと詰めたらかなりいい作品になるのでは」と自信をのぞかせます。
一方、「黒田さんに誘われた近藤です」と挨拶した近藤は、(黒田がレギュラー出演する)『大阪おっさんぽ』(テレビ大阪)にゲスト出演した際、黒田が楽屋に入ってきて直接、オファーされたときのことを振り返ります。
「ふだんはシャイな方なんですが、そのときは真正面に座られて、僕の目をとらえてから一瞬たりとも離さずに『ぜひやりたいんだ』と切々と言われて……正直、怖かったです」
「THE ROB CARLTONさんのウワサは聞いていたし、黒田さんからも『かなり面白い』とお聞きしていたので、黒田さんの目利きを信用した」という近藤は、「台本はかなり面白いです。僕と黒田さんが言い合ったりしているが、その2人の感じがすごくいい」と大きな手応えを感じている様子でした。

あまりの面白さに「ABCホールが割れる」!?
川奈美は、「(松竹)新喜劇の演出をボブさんにしていただいたご縁で、メンバーに入れていただきすごくうれしく思っている」とコメント。そして、「台本を読む段階から声を出して笑ってしまうぐらい面白かった。台本だけでなく演じる人も面白いから、稽古では笑いが止まらなくなる。初日の幕が開くのが楽しみ」とワクワクした表情を見せます。
和海はベテランたちに囲まれて緊張もあるようですが、「本番になれば、いまよりさらに面白いものが繰り広げられるのかと、出演者ですがお客さんのように楽しみな気持ち」と話しました。

脚本・演出を担当した村角は「とにかく、この4人の絡みがどうしたら面白くなるかを考え、好き放題書かせていただいたが、実際に稽古に立つととんでもなく面白い」と自信満々。「ABCホールが(笑いで)割れるかもしれないと思うので、ぜひ目撃しにきてください」と話しました。
なお、“歌手に芸能事務所”とくると、朝ドラ『ブギウギ』が想起されます。村角によると「(黒田と近藤は)前回(『ブギウギ』での役柄)は同じチーム(村山興業の東京支社長と社員)だったので、今回は敵対してもらいましょう、というところから設定が広がった」と明かします。
近藤にオファーした理由について黒田は、「朝ドラでご一緒して、僕がちょっとしたアドリブを入れたとき、近藤さんの反応に、生意気ですが役者を超えたコメディアンとしての要素を感じた」と語りました。
近藤は、数年前から京都に住まいを移しており、「関西でいろいろやっていきたいと考えていて、これが一つのきっかけになるといいなと思った」とオファーを受けた理由のひとつを明かします。ちなみに近藤によると、「(東京でも)みなさん、黒田さんを知っていて、三谷(幸喜)さんも(黒田との共演を)すごくうらやましがっていた」という話も飛び出しました。

「過去最高に覚えにくい」台本にクレーム!
今回の舞台の最大の見所は、ズバリ「おっさんたちの醜くも面白い言い争い」だとか。黒田がこう説明します。
「子ども時代の争い、青年期の争いは、お菓子の取り合いだったり、恋愛だったり、原因がはっきりしているものですが、大人の言い争いは意地なんですよね。特におっさんに多いのが意地の張り合い。それが醜くて面白い」
近藤は「そこにおばさん(川奈美)も加わって、結構かきまわしたりするんですよ」とニヤリ。そんな大人たちの濃すぎるバトルに、和海がどう絡んでいくのかも注目です。

取材会では、「こんなにキャリアのある大ベテランを、こんなにしゃべらせて動かすかというぐらい、好き勝手やらせてもらっている」という村角に、黒田から「台本が過去最高に覚えにくい。公演終わったらどついたろかなと思ってます(笑)」と“クレーム”も。
そんな黒田は今回の舞台について、55歳になった自身の年齢に触れながら、「サラリーマンならあと4年ちょっとで定年という年齢だと思い知った。60になるまでは刺激になることをやりたいし、生のお客さんの前でやってみたいというのもある。自分で責任をとらなあかんところもあるんで、そういう責任感も持ちたいと思ってやらせてもらった」と決意のほどを滲ませました。

公演概要
『VS.』
日時:2025年7月26日(土)~7月28日(月)
7月26日(土)18:00 開演
7月27日(日)12:00 開演/16:00 開演
7月28日(月)13:00 開演
※開場は開演の30分前
※上演時間は約90分を予定
会場:ABCホール
(大阪市福島区福島1丁目1-30)
出演:黒田たもつ、近藤芳正、川奈美弥生(松竹新喜劇)、和海、ボブ・マーサム(THE ROB CARLTON)
作・演出:村角太洋 (THE ROB CARLTON)
チケット:前売 5,000円/当日 5,500円(全席指定)
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