5回目となる沖縄県北部の地域芸術祭『やんばるアートフェスティバル 2021-2022 君知るや、やんばる』(12月18日〜22 年1月16日)が今年も開催。その開幕前日となる12月17日(金)、関係者やマスコミ向けの内覧会が実施され、総合ディレクターでありアーティストとしても出展する仲程長治氏、クリエイティブディレクターの杉山恒太郎氏のほか、多くのアーティストが出席。会場はひと足早くにぎわいを見せました。
この日の内覧会に参加したアーティストは、「沖縄・記憶と記録」プロジェクトのプロデューサー立川直樹氏と杉山恒太郎氏、展示ディレクションの小山健一郎氏や、女優・創作あーちすととして活動するのん、アートモ、伊藤彩、金氏徹平×森千裕、「THE SNOWFLAKES」from TOBIU ART COMMUNITY、谷本研、Chim↑Pom、仲程長治、曳野真帆、ホテルアンテルーム那覇コレクションから堀口葵と松岡柚歩、髙橋相馬、湯浅要です。
複数の会場を巡るアートフェスティバル
お披露目されたのは、メイン会場となる大宜味村立旧塩屋小学校のほか、大宜味村役場旧庁舎、オクマ プライベートビーチ&リゾートの3会場。内覧のスタート場所となった大宜味村立旧塩屋小学校では、アーティストごとの展示会場となる教室を訪問。アートモ、伊藤彩、金氏徹平×森千裕、「THE SNOWFLAKES」from TOBIU ART COMMUNITY、谷本研、Chim↑Pom、仲程長治、曳野真帆、ホテルアンテルーム那覇コレクションから堀口葵と松岡柚歩が、それぞれの作品について沖縄ややんばる地域への思いを込めながら熱く説明しました。
また、海を臨むカフェスペースやショップが設けられている体育館では、辺土名商店街会場で出展する伊藤彩、髙橋相馬、湯浅要がモニターに展示会場の映像を映しながら、それぞれの作品を解説。体育館ステージ上には、谷本研による廃校になった8小学校の校歌の歌詞を風景絵画にした、大迫力の大型イラストレーション「やんばる旧小学校々歌八景」が壁一面に展示され、見るものを圧倒していました。さらに、「やんばるを嗜む」をテーマにしたYAF CRAFT MARKETでは、やんばるの森をイメージした教室内にたくさんの木々が装飾されるなか、ここまで集まるのは珍しいという多種多様なクラフト商品が展示販売され、さっそく購入する来場者も見受けられました。
沖縄の記録と記憶
そして、次の会場となる大宜味村役場旧庁舎では、「沖縄・記憶と記録」プロジェクトのプロデューサー立川直樹氏と杉山恒太郎氏、展示ディレクションの小山健一郎氏が来場者を迎えました。大正14年に竣工した歴史あるコンクリート造りの建物内には、月間写真誌『オキナワグラフ』の貴重な写真や誌面が所狭しと展示され、2022年の視点でクロニクル化されています。立川氏は「記録は人が作ったスペック。そこから物語を作って記憶になります。時間と空間をシャッフルした沖縄の記録と記憶を楽しんでください」とメッセージを送りました。
矛盾したものが混在して生まれるパワー
最後に訪れた会場はオクマ プライベートビーチ&リゾート。女優・創作あーちすととして活動するのんによる、ガジュマルをリボンで装飾したインスタレーション「ちょうちょとガジュマル」が展示されています。のんは「初めて参加させていただきとても嬉しいです。私は子供のころからリボンが好きで、ずっと大事なモチーフとして作品を制作してきました。自然とリボンをアート作品にするのはまだチャレンジしたことがなかったので、今回はガジュマルの木と合わせて制作しました。リボンはかわいいものですが、凝縮されると不気味な迫力がある。不気味さとかわいさという矛盾したものが混在して生まれるパワーが好きで、そういうものを表現しました」と作品を説明しました。
『やんばるアートフェスティバル』は、やんばる国立公園が平成28年9月15日に国内33箇所目の国立公園に指定されたことを受けて北部観光の機運が高まるなか、沖縄県内初となる複数の市町村(大宜味村を中心に国頭村、名護市、本部町、東村、今帰仁村など)で横断的に行うアートイベントとしてスタートしました。これまでにのべ20万人が訪れ、アートを通じてやんばるの魅力を県内外からアジア、そして世界へ発信。今年7月には、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界自然遺産委員会が「奄美大島、徳之島、沖縄県北部及び西表島」の世界自然遺産登録を決定し、ますます注目を集めています。
そんな本フェスの今年のテーマは「君知るや、やんばる」。気鋭アーティストによる現代アートが一堂に会す<エキシビション部門>と、伝統から現代まで県内のさまざまなクラフトを展示販売する<クラフト部門>を開催。国内外にて第一線で活躍するアーティストたちによる、やんばるでしか観ることができないアート展示や、やちむん(陶器)や琉球ガラス、紅型など沖縄のクラフトが展示販売される内容となっています。沖縄本島北部地域の自然を巡る魅力的な会場を通じて、やんばるの魅力が体感できます。
そこでは、アートに関心がある人もそうでない人も、誰もがやんばるを体感して、アートを感覚的に楽しむことができます。ウィズコロナ時代にどう生きるか、何を楽しむことが豊かなのか、新たな社会における生き方を改めて考えさせてくれる老若男女必見のアートイベントになっています。
『やんばるアートフェスティバル2021-2022 君知るや、やんばる』開催概要
【開催期間】2021年12月18日(土)~2022年1月16日(日)
【参加アーティスト】エキシビション部門:24組、クラフト部門:20組
【会場】大宜味村立旧塩屋小学校(メイン会場)、大宜味村役場旧庁舎、オクマプライベートビーチ&リゾート、辺土名商店街、オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパ、カヌチャリゾート、名護市民会館前アグー像
【料金】入場無料
やんばるアートフェスティバル公式HPはこちら