世界が注目するコンテンツビジネスの展覧会『第19回 コンテンツ東京』が6月17日(水)から19日(金)にかけて東京・有明の東京ビッグサイトで開催され、株式会社FANYとそのグループ会社でVtuberプラットフォーム「SPWN(スポーン)」を運営するバルス株式会社が出展しました。最終日には、野性爆弾・くっきー!とゆりやんレトリィバァがトークイベントに登壇。AIを中心に進化するデジタル技術とエンターテインメントの融合、そしてその先にある未来について、芸人の立場から語り合いました。

AI なら“動かない野田クリ”から動画を作れる
まずはバルスのテクニカルプロデューサー、江口真彦氏のセッション「AI時代の動画広告戦略:顔・ネタ・型― FANY AI STUDIOが考える『見られるショート動画』のつくり方 ―」にゆりやんが登壇。江口氏は、AIを活用した動画制作サービス『FANY AI STUDIO』を通して、“見られるショート動画”制作のポイントや、AI技術によって広がる可能性などについて解説しました。
講演では、実際に『FANY AI STUDIO』で制作された『スーパー野田ゲーPARTY&WORLD』の発売記念プロモーションビデオ(PV)を紹介。PVでは、ゲーム制作者であるマヂカルラブリー・野田クリスタルが凛々しいキャラクターに扮し、馬を走らせるなど、壮大な世界観を描いています。

しかし、なんと野田は衣装に袖を通すことすらなく、キービジュアルをもとにすべてAIで制作されているとのこと! その事実が明かされると、客席は驚いた様子で説明に聞き入りました。
AIよりディレクションが難しいのはゆりやん!?
PVを観たゆりやんは「これ、いかがですか! 最新の技術ですよ!!」と語気を強め、まるで自分が制作したかのようにAI技術をアピール。さらに「私の父は73歳で、テープレコーダーを見たときに『これ以上、技術は進化しない』って言ってたんですけど……」と続けて笑わせました。
江口氏は、“見られる動画”のポイントを3つに絞って解説。芸人やインフルエンサー、キャラクターなど、届ける力がある“顔”、言いたいことを見たくなる形にする“ネタ”、誰が作ってもブレず伝えるための“型”の大切さをわかりやすくプレゼンしました。

ところが、ゆりやんは相変わらずのマイペース。「型と言えば、空手の型で金メダルを獲りたくて……」と言い出したかと思うと、突然、雄叫びをあげながら空手の型を披露するなど、終始ボケまくります。
そんなゆりやんに対して、「AIはディレクションが大切ということを伝えたかったんですけど、ゆりやんさんのディレクションが難しい」と江口氏が手を焼く様子に、会場から何度も笑いが起きました。

くっきー!「どんなことも知識がないままやる!」
ゆりやんとくっきー!による特別対談「“引っかかる”は、どう作られるのか?~量産時代に、“違和感”が武器になる理由~」は、多くの聴講者でホールが埋め尽くされました。
少し厳粛な雰囲気のなか、MCのタケトに紹介されたくっきー!は「ごくろうさん」といつも通りの挨拶。ゆりやんは「ハーバード大学医学部からやってまいりました」とさっそくボケて場を和ませました。
くっきー!はアーティスト活動や音楽活動で、ゆりやんは映画監督として、それぞれお笑い以外の分野でも高い評価を受けています。
作品のインスピレーションはどんなところから受けているかと聞かれたくっきー!は、「調べるとかは、せんようにしていますね。中心だけ決めて(絵を描き始める)」といいながら、「何色と何色を混ぜたらどうなるとか、知識がないまま。どんなことも、最初は知識がない人が始めているのだから、自分たちもやり続けることで自然と身につくはず」と持論を語りました。

それに対して、「突然、アイデアが降りてくるんです」というゆりやんは、「紙とペンを前にアイデアを出そうとしても思いつかない」と語ります。最近、そんなふうに“降りてきた”ネタの例として、「Could you 九十九里浜?」というギャグを披露すると、くっきー!は「それ、アメリカでやっても伝わらんやろう」とツッコみ、豪快に笑いました。
ゆりやん、ガンバレルーヤへの嫉妬で水着に!?
また、互いに気になる作品として、くっきー!はゆりやんがアメリカの人気オーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』で披露した、角刈りにアメリカ国旗の際どい水着を合わせたネタをセレクト。「あの動きはどういう意味なん?」と尋ねると、ゆりやんは「あれは偶然の産物で……」と話し始めます。
「ガンバレルーヤ(よしこ、まひる)ちゃんと同期で仲が良くて大好きなんですけど、芸人になりたてのころは周囲をライバル視していたので、ガンバレルーヤの活躍を聞いたときの悔しいリアクションから生まれました」
ちなみに当初、オーディションでは別のネタを披露する予定だったのが、急遽、“保険”で用意していた角刈りと水着のネタで挑もうと思いついたのだそう。「目の前のアメリカ人ではなく、日本の方々に届けようとしたんです」というゆりやんに、くっきー!は驚きの声を上げました。

一方、くっきー!は実は隠れた努力家。その一面を、タケトが明かしました。
「インスタは毎日、更新して、必ず一つはボケを入れる。それを積み重ねることで、(明石家)さんまさんと絡んだときなんかにも、アドリブで面白いひと言が出てくるようになる。日々の積み重ねって大切なんだよなって、車の運転中に車窓に向かって言っているフリをして僕に教えてくれたんです」
意外なくっきー!の行動に、会場からは感心と笑い声が漏れるなか、当の本人は「フフフ……」と顔を赤くして照れ笑いをするばかりでした。
そのくっきー!は、ネタなどを作ったり、披露したりするときに、「3人、熱狂的に喜んでくれる人がいればいい」という心持ちでいるとのこと。
「野性爆弾なんて、完璧にそうやで。劇場に来ている何人かだけが好いてくれていて、その人数が増えていった」と言うと、タケトは「(AI時代の)コンテンツ作りにおいても、広いパイを狙うのではなく、3人でも食いついてくれるものを目指すというのがいいのかもしれない」と気づきを得た様子でした。

千鳥・ノブのひと言で「好きにやり続けることにしたんです」
「やらないほうがいいと言われたのに続けたことは?」という質問が出ると、ゆりやんは千鳥ノブとのあるエピソードを明かしました。
「何かを聞かれたときに普通に答えるのではなく、何かボケて返したいと思っちゃうんですよね。だけど、ボケのクオリティが低すぎるから、“ウソつき”とか言われるようになってしまって……」
そんなとき、そのことを千鳥・ノブに相談したら、「ゆりやんはそのまま、好きにやり続けたらいいよ」と言われたそう。
「それから周囲の人やネットで何を言われても、好きにやり続けるようにしたんです。そうしたら、あるとき台本の私のパートに『いつものようにご自由に』って書かれていて……。みんなに“いつものように”って思ってもらえるようになったことが、めっちゃ嬉しかったです!」

さらに話題は、急速な成長を続けるAIについても。AIにはない人間の強みは?と問われて、しばし考え込む2人。そして、くっきー!が「死ねるということじゃない?」と言うと、ゆりやんも「そうか、終わりがあるから楽しいんですね!」とうなずきます。
このやりとりに、くっきー!は「いま、めっちゃカッコいいこと言ったんじゃない?」と自賛しつつ、「AIには楽しいことがないだろう? 無感情のまま続けられるって、悲しいよね」と、人間との決定的な違いについて“結論”を導き出しました。
AIをゆりやんと同じ環境で育てたら…!?
来場者から「互いの魅力は?」という質問が寄せられると、くっきー!も、ゆりやんも「唯一無二の存在である」と回答。
さらに、くっきー!が「ゆりやんと同じ環境で育てていったら、AIもゆりやんレトリィバァと同じに育つのか」という疑問を口にすると、ゆりやんも「『たまごっち』みたいに育ててみたい!」とこれに乗って、2人でAIを使った新たなアイテム『AIごっち』を考案して盛り上がりました。
最後は、くっきー!のお馴染みの掛け声にあわせ「きゃない! きゃない! AI取り入れるっきゃない!」と腕を突き上げて、トークセッションは終了。
多すぎるボケで観客を翻弄しながらも、トークテーマであった「“引っかかる”は、どう作られるのか?」「量産時代に“違和感が武器になる理由”」をいつの間にか体現して見せた2人に、会場から大きな拍手が送られました。

