チャンネル登録者数14万人弱。おかずクラブ・オカリナのYouTubeチャンネル『ときどきオカリナ』は、多くの人から支持を集めている人気チャンネルです。でも、その内容を見れば、誰もが驚くはず。というのも、そこにはオカリナがただゴハンを食べている動画が並んでいるだけなのです。そんな動画のなにがそこまで人を惹きつけるのか――今回は謎の多いそのチャンネルについて、本人にいろいろ聞いてみました!
オカリナがゴハンを食べ、たまに話す。それ以外は、なにも起こらない……そんな『ときどきオカリナ』が開設されたのは2020年3月。オカリナが口を開けて食べる姿のサムネイルがズラリと並ぶトップページは、ある意味で異様なパワーを放ち、ひとたび動画を見ると、もっとよくわからない“魔力”に引っ張られ、つい次の動画を見てしまうという中毒性の高さです。コメント欄には「いつも美味しそう」「癒される」などと賞賛の声があふれています。
きっかけは森三中・黒沢のひと言
――まず、『ときどきオカリナ』を始めたきっかけから教えてください。
私、森三中の黒沢(かずこ)さんにすごくお世話になってるんですけど、コロナ禍になるちょっと前に、黒沢さんとお食事をする機会がありまして。そのときに、黒沢さんから「YouTubeやったらいいんじゃない」と言われたのがきっかけで。
「私、なんにもできないですよ」と話したら、「ゴハン食べてるだけでいいんじゃない?」と言われたんです。「そのぐらいでいいんじゃない、オカちゃんは」という感じで。作り込んだりするタイプの芸人ではないし、それぐらい(気を抜いたもので)いいんじゃないって。
で、同じころにマネージャーさんからも「YouTube始めてみませんか?」と言われて。黒沢さんとマネージャーさんから、同じ時期に同じことを言われたので、「これは始めるタイミングなのかも」と思い、「私がやることに何も口を出さないんだったらやります」と言って始めたんです。
――『ときどきオカリナ』というタイトルの由来は?
ときどき私のことを思い出してくれたらいいなという意味で、このタイトルです。毎日見るほどのものでもないので。
――始めてすぐ人気になったんですか?
いや、そんなことなかったです。Twitterで始めますと言ったとき、「いいね」がたくさん付いたのに、その割にYouTubeの再生数はそんなに上がらなかった。だから「あ、やっぱり難しいんだな」って思いましたね。
再生数が上がっていったのは、“それゆけちゃん”さんという方が自身のTwitterに私のYouTubeのサムネイルを載せてつぶやいた(2020年8月25日)ものがバズって。私はそれを知らなかったので、いきなり再生数が増えていて驚いて。それから見るたびに登録者数や再生回数が増えていったという感じで。
――注目されるようになってから何か変わりましたか?
ハリセンボンの(近藤)春菜さんから「見てるよ」っていうLINEをもらったとき、「え、どうなってるの?」と思いましたね。あとは、番組の収録でご一緒させていただいた南海キャンディーズの山里(亮太)さんにも「見てるよ」と言われて。「ごはん食べて話してるだけなのに、なんで、こんなおふたりが見てるんだろう」とめちゃくちゃ不思議でした。
食べたいものが浮かんだときが撮影のタイミング
――いつもどんな流れで撮影しているんですか?
いまは1~3週間ごとに1本ぐらいのペースで上げてて。あまりこだわりはないんですけど、「カレー食べたいなぁ、ならYouTube上げるか」って、何かが食べたくなると撮るという流れが多いかもしれません。で、夜はあまり食べないので、昼か朝にしようかと。
冷凍庫とかに何かしら入ってるので、買い出しも特にそのためにっていうことはあまりありません。で、撮影を始める前に、前回のコメントをババっと見て、「これ言おう」となんとなく頭に入れて。でも、いざ始まると忘れちゃうこともあるんですけどね。
――食べているものも、おうちの素朴なごはんといった感じでおいしそうですよね!
外食っておいしいけど、ちょっと疲れる。あと、脂っこいものがあんまり得意じゃないっていうのがあって。だから私の料理は、“量の多い精進料理”と言われます。あとは、単純に料理のレパートリーもない。焼いたり、煮たりばっかりです。でも、動画を上げるペースが約2週間に1本ぐらいだから、まだ作る余裕がある(笑)。
最初は食べてるメニューも見せてなかったんですけど、「メニューが見たい」という声が多くて、食べる前に一応うつしてます。だけど、自分でカメラを動かすので、「ジェットコースターみたいで酔う」という意見もあります(笑)。
品数が多いとか、ごはんの量が多いとかよく言われますけど、ふつうだと思うんですけどね。もちろん野菜とかなしでラーメンだけ食べてる日もあって、動画でアップしてるような食事を毎回作ってるわけではないです。
――動画のなかで「ゴハンを作ってるところは見られたくない」と話していましたね。
料理してる姿を見られるの、イヤなんです。恥ずかしい。食べてるところは別にいいんですけど。手際とか作法とか、そういうの見られてる感じがイヤで。あと、料理がめっちゃできるわけじゃなく、食べるぶんだけ作ってるんで。だから、レシピ本とかの話が来ても、ぜったいに断ります(笑)。
――人気の理由を自身ではどう分析していますか?
YouTubeのおもしろいところは、何がいいのかわからないままに進んでいくってとこで。だって、私のこと芸人とは知らずに見始めた人もいて。そういうのはたぶん、誰かがごはんを食べてる姿を見るのが好きっていう人なんじゃないかと。
あとは、やってることに対してとか、サムネイルに対して、見てる人が勝手に意味を持たせてくれるんですよ。そこがテレビとは違う感じだなと思います。
――たしかに、テレビとYouTubeではバズるポイントが違いそうです。
そうなんです。唯一わかったのは、YouTubeでバズったからといって、テレビで同じことをしてもダメってこと。でも、番組とかでけっこう「YouTubeと同じことしてください」って求められることがあって、やめてほしいなとは思ってます(笑)。
だって、私が食べてるだけだから、スタジオのゲストの人だって、どう見てどう反応していいかわからないですからね。もともと食レポも苦手だし、スタジオもそれで盛り上がったことがないです。
コメント欄の大喜利合戦も要チェック!
――YouTubeには食べている動画はたくさんありますが、オカリナさんの動画には、なんとも不思議な魅力を感じます。
そうですか? よくコメントで「苦しそうに食べてる」とか「人質に取られてて、食べなきゃ大事な人が殺されると思って食べてるんじゃないか」とか、軽い大喜利合戦が繰り広げられてたりします。
だから、見てる人がすごいんですよ。そこにいろんな意味を、大喜利的に見出してくれてて。ふつうにうれしかったコメントは「よく眠れるようになった」とかですけど、「オカリナさんの動画を犬がじっと見てます」とかもありました。そんなこと言われても……っていう感じではあるんですけど(笑)。
――食べているときの咀嚼音(ASMR)も人気の秘密なのではと思いました。
私、(相方の)ゆいPに「咀嚼音がうるさい」ってずっと言われてて、よっぽどうるさいんだと思います。動画を撮るときも、あえて咀嚼音を意識したりはしてないんですけど、特別なマイクとかなしで自然に音が拾われてる(笑)。でも、その咀嚼音がいいって言ってくれる人もいるので、人それぞれだなって思います。
――やっていてよかったと思った瞬間は?
やっぱり、さっきも言った「よく眠れるようになった」というのはうれしかったです。あと、「お母さんに似てる」とか「お母さんを思い出す」っていうコメントが異常に多いので、ぜひお母さんに会いに行ってほしいなとは毎回思います。
――YouTubeに関して、今後の目標はありますか?
特にないです。強いて言えば、よく眠れるって言ってくれる人がいるので、そういう人が増えたらいいなとは思いますけど。
もともと「笑かしてやるぜ」って始めたわけじゃなく、目的意識をハッキリ持ってるわけでもないから、バズった理由がいまだによくわからない。でも、やめる理由もないし、この先もとりあえずこの感じでやっていくと思うので、“ときどき”見てくれたらうれしいです!
YouTubeチャンネル『ときどきオカリナ』はこちらから。
公演概要
おかずクラブ単独ライブ『五黄の寅・ゆい』
日時:2月27日(日) 開場18:10 開演18:30
場所:ヨシモト∞ホール
チケット:前売り1,800円
FANYチケットはこちらから。