“ピン芸日本一”を決める『R-1グランプリ2022』の決勝が、3月6日(日)にカンテレ・フジテレビ系全国ネットで生放送されます。記念すべき20回目の節目を迎える今回の大会では、新たな試みとしてR-1決勝の常連だったヒューマン中村(6回進出)とルシファー吉岡(5大会連続進出)が準決勝の審査員として参加。出場者から審査員に……どんな思いで審査に臨んだのか、2人に話を聞きました。
決勝では、お見送り芸人しんいち、金の国・渡部おにぎり、kento fukaya、ZAZY、サツマカワRPG、寺田寛明、吉住の7人に、3月5日(土)に行われる復活ステージで勝ち上がる1人を加えた計8人が頂点を目指して激突します。
2人が審査員のオファーを受けた理由とは
――準決勝審査員のオファーがあったときの心境を教えてください。
ヒューマン中村 正直、恐れ多いなという気持ちはめちゃくちゃありました。準決勝が始まるまでは、出場者と同じくらい緊張していたと思います。でも、ルシファーさんもいらっしゃるんで、ホッとはしました。
ルシファー吉岡 “審査をする”ということに対してプレッシャーは感じていました。ただ、ヒューマンさんもいるし、僕1人が背負うものでもないし、真剣にはやるんですけど、そこまで自分を追い詰める必要はないのかなって。冷静にジャッジができるように、そのあたりの気持ちは整理してから臨みました。
――審査員のオファーを受けるか迷いましたか?
吉岡 最初は、“僕なんかが審査していいのか”っていうことと、審査する側に回ることへの抵抗心があって……。でも、審査側でネタを見ることなんてめったにないし、絶対に自分のネタのプラスになるだろうなと思って引き受けさせていただきました。
中村 確かに審査員に回ることで現役感がなくなるなとは思いました。でも、ルシファーさんがおっしゃるように勉強になるやろうし、大会を盛り上げる意味でも、少しでも力添えできるんやったらって。
吉岡 出ている芸人たちの気持ちもわかるので、“自分ならしっかり審査ができるだろう”という自信もあったんですけど、「1人でやれ」って言われたら絶対に断っていましたね(笑)。
――おふたりが審査員を務めることが発表された際、ネット上でも盛り上がっていました。
吉岡 当日に会場で名前を紹介されて、温かい拍手が起こったときはジーンときました。「ただいま帰ってまいりました!」っていう気持ちになれましたね。
中村 (笑)。僕もめちゃくちゃ嬉しかったですね。僕が先に呼ばれたんですけど、“こんなに拍手もらえるんや”と思って、しばらく立っていました。
――ピン芸というのはフリップやコントなどじつはネタの幅が広いです。実際に審査をしてみて、どうでしたか?
中村 めちゃくちゃ難しかったです。おっしゃるように、いろんなネタがあって、どういう比べかたをしたらいいんやろって。なので、審査しながら「やっぱりこれちゃうな」って変えることもありましたね。あと、大阪で一緒にやっている後輩が出てくるんですけど、頑張ってほしい気持ちはありながらも、甘くするわけにはいかないので、“ごめん”と思いつつ冷静に審査しました。
吉岡 シンプルに漫才やコントの大会ではなく、たくさんのジャンルのネタが出るので難しかったですね。ただ、自分たちがいたときよりは洗練されたというか。内容的にガチャガチャしたネタが減ったような気がします。
中村 確かに。思っていたより、むちゃくちゃではなかったですよね。
吉岡 裸が少なかったですもんね(笑)。シュッとしたネタが多くて、そういう意味では比べやすく、審査のしやすさは感じたかもしれないです。
――昨年の大会から出場資格が芸歴10年以内になるなど、レギュレーションが大きく変わったことで、大会の雰囲気やネタに変化があったのでしょうか。
中村 年齢も若いから“味”で勝負するタイプもいない。本当にネタや台本がめっちゃいい人たちばかりでした。
吉岡 もちろんそれは“なくて残念だった”という話じゃなくて、10年以内の大会だからそりゃそうだよなって感じです。センスも見せたいだろうし、自虐をできるほどの芸歴でもないでしょうし。
中村 あと、お客さんも若返った可能性がありますよね。これまでのR-1のお客さんって“ふだん、どこにおんの?”っていうおじさんが多い気がして。
吉岡 (笑)。(審査員として)客席にいたからかもしれないですけど、殺伐とした雰囲気というよりは、和気あいあいとした楽しい客席の雰囲気でしたね。それはすごくよかったなって思います。
中村 いいライブでしたよね。
審査員になってみてわかったこと
――審査員をやってみて印象的だったことや発見したことはありますか?
中村 (自分が)大会に出ているときは、準々決勝と準決勝でネタを変えたほうがいいんかなとか、ネタ2本以上あることを見せたほうがいいな……とか思っていたんですけど、いざ審査したら、ほんまにその日の出来を見るので、ほかにネタがあろうが関係なかったですね。
吉岡 僕もそれは思いましたね~。
中村 ルシファーさんは予選でネタを変えていたんですか?
吉岡 僕は2回戦、3回戦、準々決勝、準決勝と、基本的には4本持ってきていたので、それが虚しくなったというか(笑)。(ヒューマン中村と)まったく同じことを思いましたね。“1本強いので全然いいんじゃん”って。
中村 あとは、やっぱり“ウケの量”って大事なんやなって思いましたね。
吉岡 並びもありますよね。ここ最近はディスプレイを使ったネタってすごく増えたじゃないですか。それは本当に見やすくていいんですけど、その次にフリップが出てくると、普通に見るより、見えづらく感じて……。そのあたりのテクノロジーが入ったことで、変わってきた部分が見えた大会だと思いました。
中村 それは出場資格が芸歴10年以内になったからかもしれないですね。
――準決勝から勝ち上がった7人の勝因はなんだったと感じますか?
中村 共通していたのは、会場が一体になるような笑いを取っていたことですね。終わった瞬間に“決勝いったな”っていう空気がありました。
吉岡 あと、全員ではないのかもしれないですけど、こんな見せ方、こんな発想があるんだ……って目新しさがありましたね。
中村 ファイナリストを見て“いい7人やな”という感じはしました。“なんでこの人が?”というのは、まったくいないです。
吉岡 ただ決勝の空気って準決勝とは違う独特のものがあって、正直なところ、僕も5回(決勝に)出て、1回もウケたことがない(笑)。
決勝審査員にも注目!!
――決勝の審査員は、バカリズムさん、陣内智則さんが務めることが発表されました。
中村 「ありがとうございます」という感じです。ルシファーさんってバカリズムさんと仲いいですよね?
吉岡 お世話になっています。審査員とかあまり興味がないのかなって勝手に思っていたんですけど、今回されるということで本当に嬉しいです……僕も2人に見ていただきたかったなって思います(笑)。
中村 僕は逆ですね。見てもらったあと、低い点つけられたら立ち直れなくなりそう(笑)。
――バカリズムさんは「恩返しになれば」と話していました。
吉岡 ずっとR-1に出てきた身としては、嬉しい気持ちになりましたし、自分も準決勝の審査員を受けてよかったなって思いました。
中村 わかります。レベルは違うかもしれないですけど、我々も同じような気持ちで(審査員の話を)受けましたよね。『R-1』が変わろうとしているのが、すごく嬉しくて楽しみですし、そこに応えてくださったおふたりには、R-1卒業生として感謝の気持ちでいっぱいです。
――決勝審査員はほかにも、小籔千豊さん(5年連続セミファイナリスト)、ハリウッドザコシショウさん(2016年王者)、マヂカルラブリー・野田クリスタルさん(2020年王者)が務めることが発表されました。
吉岡 歴代チャンピオンが入っているのはすごくいいことだと思います。いろんな角度からネタを見られる方が揃っているので、やる側としてはテンション上がるし、でも怖いしっていう(笑)。
中村 ネタをするピン芸人だけの審査だと偏るかもしれないので、新喜劇の台本を書かれていて、目の前のお客さんを笑わせている小籔さんが入られるのは、人選としてめっちゃいいなって思います。それぞれネタで大事にしているものがちょっとずつ違うと思うので、楽しみです。
――決勝初進出の芸人も多くいます。決勝までの数日間をどう挑むべきなのでしょうか。おふたりは、どう過ごしていましたか?
中村 このご時世なので、まずは誰ともごはんに行かないことですね。それが、いちばんじゃないですか。ネタに関してはめちゃくちゃ磨いてました。どちらかというと、準決勝でやった1本目のネタは“もう無理!”の状態まで持っていくので、1本目をやりつつも、特に2本目を磨いていました。
吉岡 僕も2本目を中心にやっていましたね。1本目はすでに仕上がっているというのもありますし、あまりやりすぎると飽きちゃうほうなので、基本的に寝かせていました。
中村 あと、もし優勝した場合、したことないタイプの仕事が入ってくることを想像してビビる……っていう時間はめちゃくちゃありました。
――タレントや文化人と絡まなきゃいけないとか!?
中村 ほんまにそれです。“ハーフタレントと2人旅に行くことになったらどうしよう”みたいな。嬉しい妄想なんですけどね。
吉岡 僕は優勝する瞬間のことを考えていましたね。優勝が決まると、紙吹雪がパーンと舞うじゃないですか。あれをどう浴びて、どう下唇を噛んで、どのカメラ見て、何を言おう……みたいな。
中村 この2人、何回も決勝に行かせてもらっていますけど、優勝してないですからね(笑)。悲しい話しています。
――最後にご自身の経験を踏まえつつ、決勝進出メンバーに向けてエールをお願いします。
中村 いちばん自分がやりやすい劇場だと思ってやるといいと思います。地下ライブの20人くらいしか入らないところがいいなら、そのライブハウスだと思ってやる。僕はそういうふうにやっていました。
吉岡 まずは大きな声を出すことですかね。スタジオでネタをやる機会が圧倒的に少ないから、スタジオでの声の響かせ方ってまったくわからないんですよ。決勝5回出てみて、“マイクをつけているから、無意識に声量を抑えて声が小さくなるんだ”って気づきました。
中村 それ気づかなかったなー。さっき言った「いつもの劇場のように~」はナシでお願いします(笑)。胸を張って大きな声を出すことですね。
吉岡 あと、ネタをやっている途中に落ちる(敗退する)ことを確信する瞬間ってあるんですよ。
中村 あるある!
吉岡 “ダメだコレ!”って思っちゃうんですけど、なるべく顔に出さず、めげずに頑張ってほしいです。
番組概要
『R-1グランプリ2022』
放送日時:3月6日(日)20:00~
放送:カンテレ・フジテレビ系全国ネットで生放送(一部地域除く)
決勝進出者(エントリー順):kento fukaya、サツマカワRPG、金の国 渡部おにぎり、ZAZY、吉住、お見送り芸人しんいち、寺田寛明、<復活ステージ勝者>
MC:霜降り明星、広瀬アリス
審査員:陣内智則、バカリズム、小籔千豊、マヂカルラブリー 野田クリスタル、ハリウッドザコシショウ
公式サイトはこちらから。
配信概要
『ゆりやん・おいでやすこが・渋谷凪咲のR-1グランプリ2022裏生実況!』
配信日時:3月6日(日)20:00ごろスタート
配信:R-1グランプリ公式YouTube
出演者:おいでやす小田、こがけん、ゆりやんレトリィバァ、渋谷凪咲(NMB48)
『R-1グランプリ2022どこよりも早い総決算!決勝直後のファイナリストがウラ側全部しゃべりますSP』
配信日時:3月6日(日)深夜
配信:R-1グランプリ公式YouTube
出演者
MC:おいでやす小田、こがけん、ゆりやんレトリィバァ、渋谷凪咲(NMB48)
kento fukaya、サツマカワRPG、金の国 渡部おにぎり、ZAZY、吉住、お見送り芸人しんいち、寺田寛明、<復活ステージ勝者>
R-1グランプリ公式YouTubeはこちらから。
イベント概要
R-1フェス2022~ピン芸と音楽の祭典~
【大阪会場(ピン芸ライブ)】
日程:3月3日(木)~6日(日) 全4回公演
会場:なんでもアリーナ(関西テレビ放送1階)
チケット:前売3,500円(税込) 当日4,000円(税込)
【東京会場(音楽ライブ)】
日程:3月3日(木)~6日(日) 全4回公演
会場:日本青年館ホール
チケット:前売7,000円(税込) 当日7,500円(税込)
【配信】
チケット:3,000円(税込)
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