芸歴7年目以下の若手芸人がしのぎを削る「神保町よしもと漫才劇場」で、芸歴7年目の素敵じゃないか(柏木成彦、吉野晋右)がランキングバトルで1位となり、劇場7組目の最上位クラス「花」入りを果たしました。コロナ禍による自粛期間明けの昨年8月に心機一転、コンビ名を変えて結果を出した2人に、今後の抱負を聞きました!
ランク上位から「花」「鳥」「風」「月」に分けられている東京・神保町よしもと漫才劇場のランキングシステム。2020年12月26日(土)に開催された決勝バトル『頂~鳥~』で優勝した素敵じゃないかは、令和ロマン、ネイチャーバーガー、9番街レトロ、ぼる塾、ナイチンゲールダンス、ナミダバシに続いて7組目の「花」入りを果たしました。
芸歴最年長のプレッシャーから解放
今回の決勝戦で激闘を繰り広げたのは、素敵じゃないかを含めた全10組。厳選な審査の結果、3位は昨年12月の『女芸人No.1決定戦 THE W』でファイナリストになったオダウエダ(小田結希、植田紫帆)、2位に、今年1月1日に放送された『おもしろ荘』(日本テレビ系)でテレビ初出演を果たしたオフローズ(カンノコレクション、宮崎駿介、明賀愛貴)の名前が呼ばれます。
そして1位に輝いたのが、素敵じゃないか。将来なりたい職業がある息子と、それに反対する父親のやりとりを漫才で見せました。
芸歴7年目という劇場でいちばんの先輩ながら、この期では初めてとなる「花」クラス入りとあって、嬉しさよりも“安堵の表情”を浮かべる2人。柏木は「(昇格していなかったことで)説得力がなくなってきてた。じっとしてたらスカしてると言われ、後輩に絡んでいたら気に入られようとしてると思われていた」と、これまでの気苦労を吐露しました。
ライフゲージは真っ赤っ赤
晴れてランク最上位になった素敵じゃないかに、その感想や今後について聞きました。
――7度目の挑戦にして「花」クラスへ昇格できた率直な気持ちを聞かせてください。
柏木 嬉しいというより、(2020年の)年内に上がれてよかったなという気持ちがいちばんですね。僕らは花クラスに上がっていて当然と思われていたというか、芸歴7年目でこの劇場ではいちばん先輩なので、行っとかなあかんっていう気持ちが強かったんです。けど、なかなか上がれなくて。
吉野 ほんまは引っ張っていかなあかんのに、情けなくて……。前回負けたとき、こいつが舞台で立ち上がれなくなったんですけど、楽屋(のモニター)で見てた僕も立ち上がれなくなりました。けど、ほんまによかったです。劇場には申し訳なかったですけど、ここから盛り上げていける存在になれならと思います。
――花クラスに挑戦するたびに勝負ネタを出していくとなると、ネタ選びは毎回、大変だったんじゃないですか?
吉野 前々回くらいからライフゲージは真っ赤っ赤で、「もうネタがない、ヤバい、ヤバい」と焦ってました。
柏木 だったらネタを作るべきなんでしょうけど、いいネタって年に1~2本できたらいいほうじゃないですか。
吉野 しかも(2020年12月20日に放送された)『M-1』直後で、(観客の)ネタへのハードルが高くなる時期ということもあって、余計にいいネタができなくて。
柏木 なので、このネタであかんかったら、もうほんまにないっていうくらい、今日は追い詰められてました。
吉野 花クラスに上がれて、ほんまによかった。純粋に嬉しいですね。
僕らが見てきた先輩のようになれたら
――昇格すると劇場で主催ライブができるようになりますが、どんなことをやっていきたいですか?
吉野 単独ライブはやりたいよなぁ?
柏木 そうやなぁ。毎月、主催ライブができるなら、単独はやっていきたいですね。あと、この劇場では下になればなるほど出演機会が少ないので、こいつら面白いのになんで注目されてないんやろう?って思う後輩を集めたライブもできたらいいなと。僕らも1~2年目のころ、先輩に面白いと言ってもらえたことで助けられたので、後輩にその恩を返していけたら。
吉野 結果はなにも残してなかったですけど、先輩が面白いと言ってくれたことでがんばれたり、活動がしやすくなかったりしたので、すごくありがたかったんです。
柏木 ヨシモト∞ホールにいたとき、1期上の先輩に生意気なことを言いながら、よくイジってたんですよ。いま、いちばん上の立場になって先輩方の大変さがわかったというか。先輩がいる安心感にどれだけ助けられていたのか、実感してるんです。
吉野 ほんまに甘えてたもんなぁ。
柏木 だから、僕らが見てきた先輩のような存在になれたらいいなと。兄貴肌っていうわけではないんですけど。
吉野 いい距離感で、いざというときになんとかできる先輩になりたいですね。
「今年はM-1決勝に絶対行かなあかん」
――昨年8月に「バニラボックス」というコンビ名から、現在の「素敵じゃないか」に改名しましたが、なにか理由が?
柏木 心機一転ですね。ものすごく不仲の時期があって、(コロナ禍による)自粛期間に入るくらいにこのままじゃあかんと思って心を入れ替えまして。コンビ名を変えても何も変わらんかもしれないんですけど、お客さんに少しでも新しい気持ちで僕らのことを見てもらえたらいいなというのもありましたし、僕ら自身の気持ちも変わればいいなと思ったんです。
吉野 バニラボックスがダサすぎたっていうも1つの理由ですけどね。
柏木 僕、ビーチボーイズがずっと好きなんですけど、中でも「素敵じゃないか」っていう曲がいちばん好きなんです。コンビ名どうする?ってなったとき、こいつが「素敵じゃないか、はどう?」って言ってくれたのがすごく嬉しくて。
吉野 って言ってますけど、1回断ってきましたからね。「素敵か? 俺ら」って言い出して……。僕が「じゃあ、どうすんねん」って言ったら、「じゃあ、これでええわ」と。
柏木 (笑)。1回、持ち帰って考えたんですよ。夜勤のバイトしてるときに、ちょっとダサすぎるかなとも思いましたけど。
吉野 なんやねん、それ! けどまぁ、気に入ってはいますよ。
柏木 はい、めちゃくちゃ気に入ってます。最高なコンビ名ですね
――心は入れ替わりましたか?
柏木 僕の中ではだいぶ変わってます。むかしみたいなケンカもまだありますけど、2人でいい方向に持っていけたらなって。二度と殴り合いはしないです。
――殴り合いまで!?
柏木 ∞ホールにいたころ、舞台の出番30秒前に殴り合って、シャツに血をつけたまま、漫才したことがあります。吉野のパンチが僕のアゴをかすめたみたいで、アゴが切れまして。で、コンビ仲の重要性をいちばんわかっているEXITが止めに来ました。
吉野 りんたろー。さんが「殴ったらおしまいだよ」って止めてくれてな? しょうもない原因からやったんですけど、そのケンカはお互い謝って1時間くらいで仲直りしました。
柏木 以前は、心にモヤモヤとしたものを残すんやったら、殴り合ったほうがいいって思ってたんです。けど、いまは殴り合ってもしょうがないなと。不仲にならないのがいちばんだと思ってるので、僕から殴ることはもうないです。
吉野 俺だってないよ。(芸に対して)前向きなケンカは大歓迎ですけど、しょうもないケンカはもうやめます。
柏木 今年は『M-1』の決勝に行きたいですからね。もう待ったなし。絶対に行かなあかんなと思ってるので、そんなことしてる場合ではないです。
――絶対に、というのは? 出場資格は「芸歴15年」までだから、まだ余裕がありますが。
柏木 いま行っとかんと、一生行かれへんかもしれないという危機感があるんです。
吉野 まだまだ先の話やと思ってましたけど、僕らと同じコンビ歴7年目で決勝に行ってはる人なんて、過去にも山ほどいますから。
柏木 一昨年でいえば、からし蓮根さんがそうでしたし、オズワルドさんが2期先輩なんですけど、コンビ歴8年目で初めて決勝に行って、しかも2年連続じゃないですか。あの人らになんとか追いつきたいです。
僕、畠中(悠)さんと一緒に住んでるんですよ。オズワルドさんにこのまま一生勝たれへんかもしれんって思うと恐ろしいですし、来年こそ決勝で戦って、(自分たちのほうがいい結果を残して)悔しがる伊藤(俊介)さんの顔が見たい。伊藤さんって悔しいとき、めっちゃいい顔をするんですけど、そんな顔、だいぶ見てないですからね。今年は出られる賞レースにはすべて出て、1つでも多くの結果を残していきたいなとも思ってます。
吉野 あと、ニューヨークさんの「ニューヨークのニューラジオ」(ニューヨークの公式YouTubeチャンネルで生配信しているラジオ番組)からのれん分けしていただいて、毎週金曜日22時から「素敵じゃないかのニューラジオZERO」というラジオ配信を、僕らのYouTubeチャンネル『素敵じゃないかJAPAN』で始めたんです。なので、そっちもがんばりたいですね。花クラスでも、真っ茶っ茶の花にならへんように、鮮やかな花になります!
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