「島ぜんぶでお~きな祭 第14回沖縄国際映画祭」が開幕した4月16日(土)、那覇市の桜坂劇場ホールAでヒューマンサスペンスドラマ『てぃだ』の上映と舞台挨拶が行われ、主人公の高橋まどか役の馬場ふみか、石垣島で出会った吉岡里美役の中村静香、中前勇児監督が登壇しました。
この作品は、都会で人に裏切られ、生きていくことに疲れきってしまった一人の女性が、沖縄県石垣島で素晴らしい景色や離島ならではの人の温かさに触れ合い、一人の人として成長していく石垣島初のヒューマンサスペンスドラマ。石垣島映画『サンゴレンジャー』を監督した中前監督が、石垣島映画第2弾に挑みました。
映画を見た観客を目の前に今の気持ちを聞かれた馬場は「2年以上前に撮影した作品をようやくお披露目できて嬉しいです」とコメント。中村は「沖縄国際映画祭初参加なので、嬉しい」と述べ、中前監督は「観客の皆さんは2人の言葉を聞きたいはずなので、なるべく2人に質問を振ってください」と笑いを誘います。
「沖縄には何回も来ています」と馬場さんと中村さん。中前監督は「石垣島は10回ぐらい来ています」と話します。
石垣島の印象について馬場は「石垣島の海の色が、入浴剤を入れたんじゃないかと思うぐらい見たことない綺麗なエメラルドグリーンで、初めて見る美しさでした」、中村は「浜島がめちゃ綺麗でした」と頬を緩ませます。
中前監督は「今回、『石垣島マラソン』の時にロケしているのですが、この状況は、最初の台本にはありませんでした。市役所に交渉して、『石垣島マラソン』と同時に撮ることができました。逆走する馬場さんをどうにか撮りたかったんです」と話し、会場の温かい笑いを誘っていました。
映画の中では、馬場が走るシーンがたくさん出てきますが、「いろんな作品で私の走るシーンがありますが、私の走り方おかしいですよね」と馬場。「こんな時にそれ言っちゃダメだよ。走るのは得意と聞きましたよ」と中前監督はツッコみますが、「走るのは早いですが、走り方がちょっと変なんです」と笑みをこぼし、恥ずかしそうな表情を浮かべました。
作品について中村は「後半に思わぬサスペンスが出てきますが、それさえも包み込む沖縄の雄大さがあります」。中前監督は「内容的には普通の映画です。人に意見が言えなかったり笑顔ができない主人公が成長していくという、普通なことを映画を通して伝えられたら。人のブラックな部分も描いていますが、『自分次第だよ』ということも伝えられたら嬉しいです」と話します。
馬場は「世の中にたくさん悲しいニュースや心痛いニュースがあったり、皆さんも日頃、窮屈な思いを色々しているはずですので、映画のまどかと重なる部分があるのではと思います。明日一日でも頑張るきっかけになれたら嬉しいです」と締めくくりました。
その後、インタビューに応じた中前監督は、石垣島をロケ地に選んだ理由について「石垣島が大好きだからです。住んでいる人も良い意味でゆるいですし、都会と違ってせかせかしている感じがないですし、全部ロケ場所にしたい(笑)。とにかく撮りたくなる場所ばかり。実はクランクインの初日が豪雨だったんです」と明かしてくれました。
中村は「そう。急遽スケジュール変更して晴れている日に浜島のシーンを撮りました」と振り返り、「完成した映画を見て、『こんなに大自然が取り込まれている映画なんだ』と感動しました」と話しました。
中前監督はキャスティングのポイントについて、「馬場さんは、ドラマ映画『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- 3rd Season』のオーディション動画を見て決めました。この子、感情の起伏が一気にくるんですよ。それがすごいと思って。中村さんは裏表があるイメージ。だからこそと思って決めました」。これに対し、中村は「それって褒めてるんですよね?」とツッコむと、中前監督は「褒めてますよ」と返し、始終笑顔のインタビューでした。
最後に中村が「側で支える人の大切さや、過去辛い経験を乗り越える強さとか、人として大切なことをぜひ感じとってください」、中前監督は「沖縄といえば美しい景色と見られがちですが、主人公を見てほしいです。悩んでいるけどどうにかしていきたい、でもできないという中でも小さな一歩を踏み出すという、この『どうにかしなきゃ』ということが世に伝えられたら嬉しいです。環境系の映画を今後もつくっていきたい」、馬場は「生きていりゃ、辛いことや悲しいこととか、『あの人許せない』という思いは必ず出てきますよね。それでも前を向く姿を見てもらえたら」と、それぞれ作品への思いを語りました。
島ぜんぶでお~きな祭 第14回沖縄国際映画祭は2022年4月16日(土)、17日(日)の2日間、開催されています。
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