東大生がプロデュースし、吉本の若手芸人が出演する企画ライブ『東大×吉本 笑いの傾向と対策 令和3年度版』が9月27日(月)に東京・神保町よしもと漫才劇場で開催されます。そこで今回は、出演陣のリーダーでじつは慶応義塾大学出身の令和ロマン(髙比良くるま、松井ケムリ)と、ライブ制作に携わっている東大3年の小牧薫子さん、2年の内田裕太さんにリモートインタビューを実施。現在、本番に向けて打ち合わせ中だという彼らに、どんなライブになるのか語ってもらいました。
このユニークなライブは、東京大学の「知」と吉本興業の「エンターテインメント」を掛け合わせてコラボする『笑う東大、学ぶ吉本プロジェクト』の一環として実施されるもの。プロデューサー体験を通じ、東大生たちが新しいアイディアや発想を生み出す力を身に付けることが1つの目的となっています。
東大生が選ぶ芸人=すごい…!?
——令和ロマンのおふたりは、このライブのことを聞いたとき、率直にどう思いましたか?
くるま 慶應に行っていた僕らからすると、東大生は神。神と一緒に仕事ができるということで、心と手が震えましたね。いまこのインタビューでは、Zoom画面が何分割かされていますが、同じ大きさでいいのかなって……そういう気持ちでいっぱいです。
——(笑)
ケムリ 僕らは慶應に行っていたので、ほかの芸人さんより、いかに東大生がすごいかをわかっていると思うんですよ。大学に行っていない人からすれば、僕らは“高学歴”で一括りにされちゃうことが多い。それは違うと伝えたいですし、伝えるためには僕らが適任かと思います。
くるま 本当に、それは俺らでしか伝えられないと思う。
——小牧さん、内田さんはいかがですか?
内田 コロナ禍でテレビを見る機会が増えるなか、無意識のうちにお笑い番組を多く見ていることに気づきました。いま1人暮らしをしているんですけど、お笑い番組で笑う機会が多く、生活に笑いは必須だと思っています。
そうした笑いに関わるプロジェクトに参加できて非常にうれしいですね。今回、芸人さん側のリーダーである令和ロマンさんとごあいさつをしたときは、テレビやYouTubeで見たことがあったんで「おぉー!」と思いました。
小牧 吉本興業さんとのコラボレーションということで、率直に「面白そう」と思ったのが最初の印象です。私はゼミの活動で小説を書いたり、作品を作ったりしているんですけど、面白いものを作ることに難しさを感じていたので、プロジェクトの概要を聞いたときには、「面白いことをやっている人に会ってみたいな」と思いました。
——改めて、ライブの概要について教えてください。
くるま 今回、東大生の方に、神保町芸人たちのネタを事前に見てもらいました。ライブには、そのなかから選んだ4組(令和ロマン、ぼる塾、ラタタッタ、プリズンクイズチャンネル)が出演します。
作家さんやお客さんに選ばれたわけではなく、“東大生に選ばれた芸人たち”という角度で見ていただけると、より我々のことを尊敬できるのかなって思います。お客さんには、すごいことなんだと思ってほしいですし、最終的に、皆さんは東大生に選ばれたことがあるんですか?って詰めたいです。
ケムリ (笑)。東大生が選ぶ芸人がいちばん面白いとは思うんですけど、その選ばれた人たちが、東大生の言うことをどれくらい理解できるか知りたいですね。
東大生の「新たな気づき」
——学生の皆さんは、どのような形でライブに関わっているのでしょうか?
内田 東大生が面白い芸人さんを選ばせてもらうほか、東大生と吉本さんを繋げる架け橋のようなコーナーを考えています。「お笑い」と「学問」という対極のものをどうやって結びつけていくか。さらに、独自に「お笑い学」というものを定義し、芸人さんのネタがお笑いとしてどう成り立っているのかを考えながら、企画をまとめています。
——企画を考える際に、工夫したことや意識したことは?
内田 お客さんにウケる部分と、僕たちが伝えたい部分、どちらも両立させるように考えました。最初は、東大生の完全なる理想だけで話が進んでしまった部分もあったんですが、令和ロマンさんたちの意見や、いままで好評だったライブの内容など、さまざまなものを融合させています。
小牧 私たちが関わる意味をしっかり考えて取り組んでいます。東大生が学術的な面から口を出すことで、ライブの面白さを崩してしまうんじゃないかという不安がありつつも、理論を持ってくることで、どう笑いを引き出せるのかを考えています。
素人ではありますが、この“面白いとはどういうことなのか”を考察するのって、ふだんはなかなかしないことですし、実験ベースでやることがないので、すごく面白いです。
——ミーティングはオンラインで行われたそうですね。どんな雰囲気でしたか?
くるま 皆さんの希望を聞いたあと、「実際のライブはこうしているんだよ」というのを伝えていくんですけど、いま聞いてもらってわかるように、頭がずば抜けて良いので、解決して次に進むまでがむちゃくちゃ早いんですよ。
ふつうのお笑いライブだと、作家さんや社員さんと打ち合わせするときも「これはこうかな?」「うーん……」と頭を抱えることがあるんですけど、皆さんとやるとすごいスピードでライブが組み立てられていく。その感じが、マジで……マジでした。
ケムリ わかんないのかよ(笑)。
くるま (東大生は)お笑いに詳しいわけではないけど、ちゃんと論理的に考えればライブって作れるんだなって勉強になりました。すごく効率よく進んだので、単独ライブにこのメンバーをつけてほしいくらいです。だからこそ、東大生の方はどんな仕事をしてもうまくいくんだなと思いました。
——学生のおふたりは、令和ロマンとミーティングしてどんなことを思いましたか?
小牧 自分が理想としていたことが、エンターテイメントとして形作られていくのがすごく楽しかったです。実際に台本を読んでみると、“面白い”ということをこんなに真面目にやっているんだという驚きもありました。
内田 ライブを作ったことがないなかで、「こういうことをしてみたい」と提案すると、令和ロマンさんが一気に話を広げて、実現できるところまで持っていってくださいました。そうした発想力はすごいなと思いました。
——気づきの多いミーティングだったのですね。
内田 固まった考えを持ちがちだったので勉強になりました。(このプロジェクトで)“東大生”というコンテンツを使うことはわかっていたんですけど、僕たちがうまく使い切れていないなか、令和ロマンさんが完全にネタにするのではなく、うまく東大生というコンテンツを活用してくださいました。そこは「素晴らしいな」の一言です。
ネタってすごく考えて作られていると感じる
——プロジェクトにともに取り組み、東大生の印象は変わりましたか?
くるま (東大生だからという)レッテルを貼るつもりはないんですけど、しゃべるスピードが圧倒的に早い。早いけど、なに言っているかわかるんですよ。
ケムリ 理路整然としているしね。賢いのはもちろんなんですけど、皆さん、自分の意見を絶対に言ってくれるんですよ。自分の意見がマイノリティだとしても、ケンカする気持ちはまったくなく、しっかり意見を伝えてくれる。それって、東大生だからなのか、いまの若い子だからなのかわかっていないんですが(笑)。驚いた部分ではあります。
——ライブ作りに積極的に取り組んでもらえるのはうれしいことですよね。
ケムリ そうですね。よりよいものを作っていこうという気持ちを感じました。
——小牧さんと内田さんは、プロの芸人と接してみて印象は変わりましたか?
小牧 もともとお笑いに詳しいわけではなかったんですけど、令和ロマンさんとお話をしたり、神保町の芸人さんのネタを見たりするなかで、コンビごとに、いろんな笑わせ方があることがわかりました。
また、ネタの4分間のなかでも、作り手が伝えたいことと、受け手の考えていることが違う場合もあるなと思いました。発信したものと、受け取る側に齟齬(そご)が生まれているけど、受け手はそれでも面白さを感じている。その“ギャップ”も、お笑いの面白さだと思いました。
内田 以前はお笑い番組を見ていても、「面白い」「面白くない」くらいの感覚だったのですが、いまは、ネタってすごく考えて作られているし、ライブも全体のことを考えて構成されているなと感じています。
——受け手側はなかなか気づかない部分ですよね。
内田 気づかせないようにしているというのも大きいと思います。気づかせてしまうと、逆に(見ている人に)考えさせてしまう部分がある。意図が伝わらないように構成を考えるのも難しいと思いました。
——今回、学んだことを将来にどう生かしていきたいですか?
内田 僕はいま2年生で、今後は教育を専攻していく予定なんですが、教育は人と人との関わりが大きく、そのなかで、笑いは重要な要素のひとつだと思っています。そういった部分で、今回、学んだお笑いの新しい視点は、これからの勉強や将来に役立つなと思いました。
小牧 私は、将来的に報道記者になりたいと思っています。人の心を動かしたいと思ったとき、自分よがりになってはいけないし、大衆に伝えたい気持ちが強いと、ありきたりになってしまう。
今回、お笑いを客観的に分析してみると、「ありきたり」と「自分よがり」の間の面白さや、バランスの取り方、人の興味を引く方法など、学ぶことがたくさんありました。将来に役立てようと思います。
「新しい風を吹かせます」
——本番に向けて、令和ロマンに確認しておきたいことなどありますか?
小牧 (出演者として)東大の素人が舞台に出ることになると思うんですけど、フォローをお願いします(笑)。なにを言っても面白くしてもらえると信じています。
くるま 全発言、拍手・笑いを約束します。
ケムリ ムリだよ(笑)。フォローはさせていただきます!
内田 令和ロマンさんのSNSを使って、ライブの告知をもっとしていただきたいです!
ケムリ (笑)
——まるで吉本社員の鏡のような、素晴らしい依頼ですね。
くるま ぜひ、将来は吉本興業に入ってほしいですね。
——今回のライブは配信もされるので、全国の人に観てもらえますね。
くるま 東大を目指している高校生や親御さんも見てほしいですよ。
ケムリ このライブを見て、東大受験に挑戦しようと思う子が1人でもいてくれたらうれしいですね。
——最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
くるま 東大生と芸人が歴史上初めて手を組んだということで、これは見たことないライブになること間違いなしです。全国の東進ハイスクールに通っているみんな、見てくれよな!
ケムリ ほかの塾でもいいだろ(笑)。このライブを見てしまうと、ほかのライブが止まって見えると思います。ぜひ最高峰を感じに来てください。
内田 いままで見たことのない東大生の一面が見られると思います。受験生の方も、親御さんも、それ以外の方々も、いろんな人に見ていただけたらうれしいです。
小牧 お笑いライブに新しい風を吹かせられたらなと思います!
公演概要
『東大×吉本 笑いの傾向と対策 令和3年度版』
公演日時:9月27日(月) 開場18:45 開演19:00
場所:神保町よしもと漫才劇場
出演者:令和ロマン、ぼる塾、ラタタッタ、プリズンクイズチャンネル
企画:東大生
チケット:前売1,200円 配信960円
※見逃し視聴は9月29日(水)19:00まで(チケットの販売は同日12:00まで)
FANYチケットはこちらから。
FANYオンラインチケットはこちらから。