観客100人の笑い声をAIが分析し、どれだけ笑いが起こっているか“笑いの密度”を100点満点で数値化することで、純粋に笑いの量、客席の盛り上がりで優勝者を決定するABEMAのお笑い賞レース『笑ラウドネスGP2022』。今回、予選を勝ち抜いた、わらふぢなるお(グレープカンパニー)、怪奇!YesどんぐりRPG(ケイダッシュステージ・サンミュージックプロダクション)、ななまがり、オダウエダ、もも等の飛ぶ鳥を落とす勢いの人気メンバー15組による決勝大会が開催され(7月17日放送)、見事、スーパーマラドーナ(田中一彦、武智)が熾烈な争いを制し、優勝の栄冠に輝きました!久々の賞レース優勝を手にした彼らに、今回の勝因を聞きました。
賞金は「90万円」と「5万円」に分ける!?
――まずは優勝したことへの感想を聞かせてください。
武智 キャリア的にほかの賞レースにはエントリーができなかったので、初めて参加させてもらったこの大会で優勝できたのは、素直に嬉しいですね。
田中 賞レースに出てもずっと何も取れない状態が続いていたなかでの、久しぶりの優勝だったのでほんまに嬉しかったです。あと、正直言うと賞金がもらえるので、最高です(笑)。
――点数が95.84ポイントでしたから、賞金は獲得ポイント×10,000円で95万8,400円!
田中 言葉で聞くと、あ、スゴいいただけるんやなと。
武智 配分で言うと、僕がネタを書いてるんで「90万」と「5万」にしたいですね。
田中 あ、5万ももらえるんですか!
武智 いらんの?
田中 いるに決まってるでしょ! ありがたく頂戴いたします。でも、もっとください(笑)。
武智 2位のわらふぢなるお(92.48ポイント)と僅差、いい勝負でした。すごいウケてたと聞いてたので、それをまくれてよかったです。
武智が練った勝つための「戦略」
――今回の「笑ラウドネス」に出場するにあたって戦略があったと聞きました。
武智 この大会は、AIが笑いの量を計測するという新しい審査の形で、審査員がいてらっしゃるとか、国民投票とかではなくて、単純に笑いの量がバロメーターになっている。とにかく笑いが起こってない時間が長かったらあかんというのを、前回優勝したプラス・マイナスから聞いていたので、そこがすごい参考になったんです。彼らも「設定」や「話の流れ」とか関係なしに、ひたすらモノマネをぶち込みまくって、それが優勝に結びついたようでしたから、僕らもそれに近い感じでアタマの10秒くらいで設定を振って、ネタ終わりまでとにかくボケまくるという、コンパのネタをチョイスしてやりました。
田中 僕らが2次予選でやったコンパネタのVTRをお客さんが見て、その笑いのデータを数値化した紙をもらえたんですね。そしたら相方、「よっしゃ! いい紙をもらいました」って言いながら分析してましたから、スゴい勉強熱心やなぁと思いました。
武智 お前がそんなんせえへんから、俺がやるしかないやろ(笑)。それで笑いの少ないところはどこやったかを洗い直して、そこにも笑いがくるように本番では作り替えました。来年以降、あの紙がもらえることによって、そういった対策を練るのは当たり前になってくるんじゃないですかね。
田中 でも、そういう策はあんま言わんほうがいいんちゃう?
武智 なんで? もう俺ら優勝したやん。
田中 いや、来年もね。
武智 また出るん?(笑)
田中 だっておカネ……2位でも結構もらえるし。
武智 じゃ、お前がネタ作れ!
田中 じゃ、作ってやりましょうか。
武智 ぜったいウケへんやん!(笑)。でも、今回はAIを味方につけたような感じがしますね。この「笑ラウドネス」の審査方法も、これからはもっとあってもいいかなと思いました。データとして残ってるわけですから。演者側も見ている側も、文句のつけようがないですから。
田中 賞レースとしては新鮮でしたし、ふだん競わないようなコンビとも一緒にできたのも嬉しかったです。
武智 そやな。でも正直、怪奇!YesどんぐりRPG、虹の黄昏みたいな、飛び道具的なコンビが実は怖かったです。ハマったらずっと笑いが続く感じなんで。でも、フタを開けてみると割とそんなことなくて、意外とAIもベタが好きなんやなと(笑)。とはいえ、「笑ラウドネス」では優勝出来ましたけど、また新しく賞レースができるかもしれないので、できてから慌てるのではなく、日ごろから強いネタを作っておかないといけないなって。まだ僕ら死んでない、過去の人じゃない、伸び代もちゃんとあるやんって、そう思えてもらえたら嬉しいです。
2023年に向けてネタを量産していく
――コロナ禍のスーパーマラドーナは、どうしていました?
武智 仕事もなかなかなかったですし、それでも単独ライブをやったりもしたんですけど、コロナ禍でやっぱり、お客さまもあまり来れなくて少なかったりして……。基本、人気ないので(笑)、とりあえず少ない仕事と国からの給付金で乗り切ってました。それでも2019年にYouTubeチャンネル『スーパーマラドーナ劇場』を開設したので毎週金・土・日に配信するってのは、継続しています。
田中 僕は子どもが産まれたんですけど、仕事がなかったんでね、しんどかったですわ。いまもしんどいですけど(笑)。
武智 時間があったのでネタを作っておこうかと思ったんですけど、思うだけでね、結局、作らなかったですね(笑)。
田中 でも、体が仕上がったよね。
武智 せや、ネタより体のほうが仕上がりました(笑)。人生で1回だけムキムキになりたいなと思ってたんです。それを叶えるなら今年44歳なんで、リミットやないかなとやなと、コロナ禍でもあったので24時間やってるジムに入会して、いまも週4~5で通って鍛えてますね。マッチョというよりかは美ボディになって、美容にも精通して、イケオジを目指します。
田中 僕を持ち上げるネタあるんですけど、以前より僕をヒョイと持ち上げるようになりましたし。そういう部分ではジム行ってる効果は出てはりますね。
――もう2022年も下半期に突入していますが、これからの目標としていることはありますか?
武智 ありがたいことに、日々、いろんな劇場に出させいただいているなかで、「あぁ、僕らよりウケてるな」「僕らより集客多いな」とか思うコンビがまわりにたくさんいるので、そういうふうになれればいいなというのが、まずコンビとしての目標ですね。たとえば、COWCOWさんと並びで漫才したときも、こんなに圧倒されるかというくらい感じますし、プラス・マイナスと銀シャリは、後輩やのに、「あ、こんなに負けてるんや」って思ってますし、かまいたちに関しては名前がバンって出たときから「キャー」ってなって、しかもネタもちゃんと面白くて、集客力もあって。寄席で大事なふたつのことで負けてるので、そういった面々と競り合えるようなスーパーマラドーナになりたいって常日ごろ思ってます。
田中 僕もおカネが稼げるような……。
武智 “僕もおカネ”って、俺、ひと言でもおカネの話したか?
田中 してなかったでしたっけ?
武智 1個もしてへんわ! あの、僕ら来年、初めて結成してから20年で、再結成をしてから15年経つので、やっぱりツアーとかできたらいいなぁって思います。ですから、満足してもらえるネタを来年考えるんじゃなく、いまからちょっとずつ、ちょっとずつ量産して、2023年を迎えるころにはいつでも単独ができる状態でいたいですね。
田中 確かに。だからいつでも営業に呼んでいただけるように待って、僕もおカネを……。
武智 おカネの話してないから! 熱い話しかしてないから!
取材・文/仲谷暢之(アラスカ社)
YouTubeチャンネル『スーパーマラドーナ劇場』はこちらから。
『笑ラウドネスGP2022』大会の様子はこちらから。