ライセンスが2年連続の全国ツアー! 「若手のころの“やりたい!”という初期衝動を取り戻した」

昨年、結成25周年記念として9年ぶりの単独ライブツアーを大成功に収めたライセンス(藤原一裕、井本貴史)が、今年も全国6カ所を回る『ライセンス漫才ツアー2022』を開催します。昨年のライブで得たものとは!? 8月14日(日)の福岡公演から始まるツアーを目前に、意気込みをたっぷり聞きました!

出典: FANY マガジン
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自分たちの“おもしろい”を最優先に

――今年も全国ツアーが始まります。昨年が9年ぶりで、そこから2年連続の開催ということは、かなり手応えがあったんでしょうか?

井本 手応え、あった?

藤原 手応えというよりは、「これくらいの感じなら、今年も回ってみてもいいかな」という感覚で。昨年のツアーに出る前は、体力的にも精神的にももっと大変だと思ってたんですよ。でも、やってみたら「あれ、これなら2022年もツアー行けるんじゃないの?」と。

井本 去年で、ひとつ枷(かせ)が外れたというのもありますよね。去年は「何年ぶり!」「25周年!」みたいな感じで言われたじゃないですか。一度やってみたことでそれがなくなったから、今年はもっと気負わずにできるというか。

藤原 そうそう、気がラク。

――昨年は、漫才3本+トーク30分(奈良公演、東京・ルミネ公演は漫才6本+トーク30分)という構成でしたが、その形もよかったんでしょうか?

藤原 そうですね。90分から120分のライブで全国を回るハードさを考えて、3本ずつネタをおろしながら回って、最後にまとめてネタをやるという流れがいちばんいいなと。それが去年うまいことできたから、いまの僕らにはこれが合ってるのかなと思ったし、だから今年もやろうと思えたし。この形が理想というよりは、これが、いまの僕らをいちばん出しやすくて頑張りやすい形なんやと思います。

出典: FANY マガジン
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――まとまった数の漫才を作ること自体、久しぶりだったのでは。

藤原 後輩たちとZeppツアー(2008~2012年に開催していた全国のライブハウス「Zepp」を巡るツアー)を回っていたころは、漫才でなくコントでしたしね。当時は、まだどこか賞レースの亡霊に取り憑かれてた……というと大げさですけど、2人での漫才は特別なものだと思ってて、どこか攻めたものじゃなきゃいけないとか、選りすぐりのネタじゃなきゃいけないとか。

30代前半くらいまではそういう思いから抜けられなかったけど、40代になって久しぶりのツアーをすることになったら、「この世界に入ったころみたいな感覚でええんや」と開き直れました。

井本 体力は、そら、この世界に入ったころと比べたら確実に落ちましたけど(笑)。

藤原 若いときみたいに「こういうネタやってみたいな」「これ、おもしろいやろ」という気持ちだけでネタを作れるのがよかった。だって僕ら、もう自由にネタ作っていいわけじゃないですか。M-1やキングオブコントに出るってわけでもないから。やりたいと思ったことをやっちゃっていいんだと思ったら、かなりラクになって。

――賞レースを意識しないネタづくりは楽しかったんですね。

藤原 そうそう。「こういう題材がいい」とか「こういう展開にせな」とか、なんにも関係ないから。

井本 たぶん賞レースありきの考え方が違うんですよね。長い芸人人生を考えたら、M-1がある時期って限られてるじゃないですか。本当はM-1のほうが特別で、寄席なり単独公演なりでネタをやることのほうが、僕たち芸人にとって本来の形なんで。今回はそういう、本来のネタ作りができたってことですよね。

藤原 なんの制限もない。

井本 尺も決まってないですしね。「5分で終わらなあかん」とか考えんでもいい。

出典: FANY マガジン
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――ツアーを回っていくうちに、同じネタでもどんどん変化していくことも?

藤原 ありました、ありました。

井本 それこそ短くなってもいいから、「ここ、ウケへんから切ろうか」も躊躇なくできる。

藤原 それは大きかったですね。

配信をやらない理由

――ツアーのために作ったネタは、その後、寄席で披露したりもしているんですか?

藤原 いや、ぜんぜん残らないです。全ネタやりたいようにやってるから。残って、1本あるかないか。

井本 そう。試してみましたけど、やっぱり寄席向きじゃなかったりするんですよ。

藤原 漫才だけのツアーって、僕ら去年が初めてやったんですよ。で、もう少しネタが残るんかなと思ってたんです。

ちょうどツアー回ってる最中に、NON STYLEの石田(明)にルミネ(the よしもと)で会って。あいつらも単独ライブよくやってるから、「単独のネタって残れへんもんやな。通常の寄席におろせるようなネタって、あって1本とかやわ」って言ったら、「そうっすよ」と言われて。「あ、NON STYLEでもそうなんやったら、これでいいんや」と思えたんですよね(笑)。

井本 寄席に残すようなネタをと思って作ったら、また趣旨が変わってしまう気がして。結果的にたまたま残ったね、くらいの感覚のほうがいいんじゃないかなと思いますね。

出典: FANY マガジン
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――そうやって何にも縛られず自由に作ったネタが、今年のツアーでも見られるんですね。

藤原 そうですね。やらへんけど、「漫才ツアー」と銘打ってるのにコントしてもええか、くらいの感覚ですし。それくらい自由に考えてるから、配信もいまのところやらないようにしてて。

「どうしてもこの音を使いたい!」と思ったときに、(別の許諾が必要な)配信があるからという理由で諦めたくないんですよ。去年も、松平健さんを全面に出したネタをやったんですね。それ、自分のなかではめっちゃ楽しかったんですよ。でもそれも、配信があったらできないことでした。

――自由にネタをつくることを優先しているわけですね。

藤原 去年の奈良公演では、1本目のネタになかなか入れへんかったりもして。ネタやりながら「まあ、もうしばらく入らんでもええかな」と思ってましたから(笑)。お客さんも、それを受け入れてくれてましたし。

井本 年の功ですよね。長くやってるからやと思いますけど、いったん完全にお客さんの期待を無視できるんですよ(笑)。若手のころは「これくらいの感じのこと言うんやろな」というお客さんの気持ちにある程度、合わさなあかんなと思ってたんです。そういうのがなくなりました。

――期待に応えることよりも、むしろ楽しむことを優先している?

藤原 あ、そうですね、たぶん。

井本 そうそう。極論、ネタ飛んでもなんとかなる、くらいの感覚で。ほんまはちゃんとやらなあかんのでしょうけど、まあでも、もともとルールのない世界なんで。これが漫才だという定義はたぶんないので、自由でいいんじゃないかなと思ってるんですよね。

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喫茶店に行くようなラフな感じで来てほしい

――今年のツアーも新作ですか?

藤原 今年も完全新作漫才で回ります。

井本 去年のネタ、いまやれと言われてもできないです(笑)。

藤原 現時点で新作が7本くらいはありますかね。でも、今年もぜんぶツアー向けというか、のちのちまで残るものはたぶんないですね。まあ実際にやってみて、「これがこんな感じでウケるんや」というのがあったら、残る可能性もゼロではないですけど……。基本的には、今年もツアーで見てもらうしかないと思います(笑)。

――去年の奈良とルミネでは、それまでのツアーで披露したネタのなかから選んだものを披露したそうですが、どのネタにするかはどのように決めたんですか?

井本 そこまで回った感覚で「どうする?」みたいな。

藤原 お客さんの反応がよかったやつと、反応が悪くてもやりたいやつ。

井本 ほんま、お構いなしですよね(笑)。

――なんだかずっと、芸人になりたてのコンビに話を聞いているような感覚です……(笑)。

藤原 ああ、それ!

井本 そういう感じ!

藤原 基本的に奈良とルミネはそこまでのツアーでかけたネタから選びましたけど、さっき話した松平健さんのネタだけは、その2カ所だけでやった新ネタですからね。その「やりたい!」という初期衝動は、実際に若手のときみたいな感覚でしたよね。

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――最後に読者に向けて一言、お願いします。

藤原 去年来てくれた方は、今年もきっと来てくれると信じてます。そのみなさんが1人誘ってくれたら動員が倍になりますから。君たちにもライブを成立させる責任があるんだよという自覚を持っていただきたい!(笑)  お客さんありきのライブですから。

井本 僕もライブの日に劇場行こうと思ってるんで、皆さんもよかったら来てください、と。

――待ち合わせみたいですね。

井本 そうです。たまたま去年と今年、2年続けてツアーやりますけど、来年やるかどうかはぜんぜんわからないので。だから見に来てほしい。

藤原 そうそう。去年思ったよりラクやったからって今年やって、えらい疲弊して「もう2度とやりたくない」とか言うかもしれんし(笑)。

井本 僕ら、わりと平気で「もうやらへん」とか言うから。やると言ってるうちに見に来てほしいです。

藤原 「めちゃめちゃやったんで!」みたいな気合の入れ方ではないので。もちろん一生懸命やりますけど、スポーツで言うたらアキレス腱を切るような無理はしないですから。単純に自分らがいま楽しいことをやりに行くという気持ちなんで、それを受け入れてくれる人が見に来てくれたらうれしいですね。

井本 僕らもこんだけ自由なスタンスでやってるから、お客さんもゆるく来てもらえたらうれしいですね。昔やってたZeppライブなんかは、どうしても皆さん、フェスくらい気合入れて来てくださってたんですよ。でもいまのツアーは「よっしゃ、ライブ行くか!」みたいに力入れず、「ちょっと喫茶店行ってコーヒー飲むか」くらいのラフな感じで、ジャージにサンダルみたいな感覚で来てもらえたら。

公演概要

『ライセンス漫才ツアー2022』
出演:ライセンス
チケット:前売2,500円 当日3,000円

【福岡公演】
日時:8月14日(日)  開場18:45 開演19:00(公演時間60分)
会場:よしもと福岡 大和証券/CONNECT劇場

【沼津公演】
日時:9月25日(日)  開場16:30 開演17:00(公演時間60分)
会場:沼津ラクーンよしもと劇場

【名古屋公演】
日時:10月22日(土) 開場19:30  開演20:00(公演時間60分)
会場:大須演芸場

【京都公演】
日時:11月19日(土) 開場18:30 開演19:00開演(公演時間60分)
会場:よしもと祇園花月

【東京公演】
※詳細は後日発表。

【千秋楽・奈良公演】
※詳細は後日発表。

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