朝の情報番組で「生理」や「更年期」など女性の健康についてのテーマに多く触れ、「これは男性も知ったほうが良い」と痛感した博多大吉。日々、重い生理に苦しむ女性たちの声に耳を傾けている産婦人科医・高尾美穂先生。ふたりの対談が、書籍になりました。
博多華丸・大吉の博多大吉と、テレビ番組でもおなじみの産婦人科医・高尾美穂先生が「生理」をテーマに語った対談が、書籍『ぼくたちが知っておきたい生理のこと』として10月7日(金)に発売されます。
生理のメカニズムについての解説はもちろん、男女約480人によるアンケートの回答も交えながら、生理痛やPMS(月経前症候群)への理解を深めたり、生理にまつわるコミュニケーショントラブルや社会レベルの課題について、一緒に考えます。
女性の身体に起こる「生理」について、男性が知る意味とは? 女性の生理について社会的に取り組むことは、女性優遇なのか? 女性が生理休暇をとりづらい背景とは?
一見して女性に限った問題にも見える「生理」というテーマから、「誰もが生きやすい社会」をつくるためのヒントが見えてきました。
・「はじめに」より
「なぜ男性が生理の本を?」と疑問に思った方もいると思うので、ぼくからご説明しますね。ぼくらのコンビ「博多華丸・大吉」は、2018年からNHKの情報番組「あさイチ」のキャスターを務めています。女性の視聴者が多いこともあり、「生理」や「更年期」がたびたびテーマとして取り上げられ、ぼくも番組をとおして生理や更年期のことを知るようになりました。
そのなかで、「これは男性も知っておいたほうがいいぞ」と気づいたのです。生理にまつわるさまざまなコミュニケーションのズレは、男性に知識がなく想像力が欠如していることが一因だと思えたからです。
本書では、産婦人科医の高尾美穂先生から生理についての基本的なレクチャーを受け、ふたりで意見を交わしました。生理のメカニズムから、生理痛、更年期や閉経、そして社会的な課題まで、生理についてまるっと知っていただける内容になっていると思います。
対談中、「生理のことなんか知らなくていい!という男性にはどうアプローチしたらよいか?」という疑問が出てきました。このとき思い出したのが、「2 : 7 : 1 の法則」です。
10人中、2人とは仲よくなれる、7人とは特に何もなく、気が合わない人が1人はいる――という、臨床心理学者カール・ロジャーズによる説で、人間関係を円滑にする秘訣だそうです。実はこれを教えてくれたのは、高尾先生です。
これと同じで、生理について積極的に知りたい男性は「2」いて、知りたくないという人は残念ながら「1」いるでしょう。そこで、ぼくを含む「2」の人たちがまず知り、働きかけることで、「7」の人を巻き込んで「男性も生理を知ろう」という空気感が次第にできてくる――つまり世の中の意識が変わっていくと思います。そうなると、もしかしたら「1」の人たちも変わるかもしれません。
生まれてこのかた、生理の知識を深めることのないまま50歳になったぼくが男性代表みたいで、なんだか申し訳ない気持ちもありますが、この本を通し、少しでも多くの男性に生理のことを知ってもらえたらと思っています。
(博多大吉)
【CONTENTS】
■第1章 ぼくたちと生理の微妙な距離感
・生理は「身近にあるのにわからない」もの
・メディアに女性が増え、生理の話題も増えた
・まずは「ざっくりと知る」ところから
・落とし穴を埋めることで「公平」な社会に
■第2章 生理は「痛い」のか?
・生理痛がそんなにつらいとは知らなかった!
・実は筋肉痛に似ている!? 生理痛のメカニズム
・つらいときに休めない社会は、誰もがつらい
■第3章 そもそも生理はなぜ起こる?
・なぜ血が出るのか…生理のメカニズムを知る
・生理期間は3~7日、量は期間内で変動がある
・まずは親が知ってほしい、思春期における成長
・身体の発達や生理については、フラットに話す
・最新 生理用品ガイド
・昔の女性は、経血をコントロールできていた!?
・ピルは、生理の負担を減らすひとつの選択肢
・生理の不調は、病気のサインかもしれない
■Dr.TAKAO’s COLUMN
娘の生理用品を父親が買うときのワンポイント
■第4章 メンタルの不調は生理前からはじまっていた!
・生理中のつらさと、生理前のつらさは別モノ
・PMSの時期、女性は「幸せを感じにくい」
・具合が悪くなることがあるのは、お互いさま
■第5章 不毛なコミュニケーショントラブルを避けるには
・なぜ生理について「失言」してしまうのか
・生理中のセックスについて知っておくべきこと
・それはコミュニケーションではなくセクハラです
・生理だからと気負わず、コミュニケーションする
・〝察する〟よりも確実なこと
・コミュニケーションには柔軟さも必要
■Dr.TAKAO’s COLUMN
女性ももっと情報交換をしよう
■第6章 誰もが迎える更年期と閉経
・「怒りっぽいオバサン」では済まされない
・来たるべき更年期に、備えておくことはできる?
・更年期症状の治療を妨げていたもの
・更年期は、男女とも働き方を見直すチャンス
■第7章 みんなが生きやすい社会へ そのためにできること
・「ナプキンを買えない」に表れる深刻な問題
・企業研修で産婦人科医が伝えたいこと
・身近にいる人への想像力が、チーム力を上げる
・ひとりの人間の健康と権利を重んじる社会へ
書籍概要
ぼくたちが知っておきたい生理のこと
著者:博多大吉・高尾美穂
イラスト:山内庸資
装丁:tobufune
辰巳出版
定価1,540円(本体1,400円+税)
四六判 160ページ
Amazonはこちら
【著者プロフィール】
博多大吉
お笑いコンビ「博多華丸・大吉」。吉本興業所属。1971 年生まれ、福岡県出身。NHK「あさイチ」司会。コンビではTHE MANZAI2014 優勝、単独では2015 年IPPON グランプリ優勝。NHK 「あさイチ」や日本テレビ系列「人生が変わる1分間の深イイ話」の生理特集では、的を射た発言に世の女性たちから賞賛の声が寄せられた。
高尾美穂
医学博士・産婦人科専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。イーク表参道副院長。ヨガ指導者。著書に『いちばん親切な更年期の教科書【閉経完全マニュアル】』( 世界文化社)、『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』( 講談社) など。NHK「あさイチ」などメディア出演多数。トレードマークのヘアスタイルは絵本の「タンタン」がモチーフ。