本を愛する芸人たちが、芸人の本を読んで感想文を書く企画『芸人読書感想文』。
第4回目の「課題図書」は、ごめたん、ことグランジ・五明拓弥の著書『39歳の免許合宿 – ストーリーは自分(てめぇ)で創れ -』(ワニブックス)。パンサー・菅良太郎が独自の目線で感想文を書きます。
9月某日、仕事終わりの僕にマネージャーが「この漫画を読んでコラムを書いてという依頼があるのですがどうでしょう?」と話しかけてきた。
その漫画は僕が普段お世話になっている先輩、グランジの五明さんが書いた『39歳の免許合宿 – ストーリーは自分(てめぇ)で創れ -』というエッセイ漫画。僕はその瞬間『来た!!』と思った。この来た!!という感情は先輩関連の仕事だから断りづらいなぁなどマイナスなものではなく、やっと語っていいんですね? そっちのお願いですもんね? じゃあ存分に語りますよ?の『来た!!』だった。
なぜそんな風に思ったかというと、五明さんがこの『39歳の免許合宿 – ストーリーは自分(てめぇ)で創れ -』をTwitterで投稿し始めた時、その当日から当たり前のようにリアルタイムで読んでいたから。僕からしたら語るタイミングをとうに外したと思っていた頃に舞い込んだこのお話、断るわけがないでしょう。
さて、前置きが長くなってしまいましたがこの『39歳の免許合宿 – ストーリーは自分(てめぇ)で創れ -』、著者の五明さんが実際体験したことを描くエッセイ漫画というジャンルです。今回は『免許合宿』というニッチなテーマなんですが、2週間強という実際の期間と一冊のエッセイ漫画としてのボリューム感が実にちょうどいいんです。
そして39歳という年齢で免許合宿に挑むことになる五明さん、ミュージシャンのimaiさん。お話はこの2人と漫画家の山本さほ先生が飲んでいるところから始まります。起承転結で言うところの起から既に面白い。未読の方にはぜひ読んでほしいのでほぼ内容に触れずに語らせてもらいますが、この漫画めちゃくちゃ大きい事件が起きるわけではございません。だって免許合宿だもん。エッセイ漫画ですもん。五明さんが経験したリアルを淡々と描いていくのだから盛ったらフィクションになってしまうわけです。
じゃあ何が面白いの?と聞かれたら『感情』と『環境』それと免許合宿という特殊な場所での『人間関係』が抜群に面白い。この免許合宿という特殊な状況に置かれた2人が時にはホームシックになりながら、ホテルの周りの美味い店を探しながら、人間関係に頭を悩ませながら『合格』という目的に向かって絆を深めていく。ただの免許合宿が五明さんというフィルターを通すとこんなにも面白くなるのかと衝撃を受けました。
先ほども述べましたが僕はTwitterでリアルタイム更新待ち勢だったので、あの時ほど五明さんのホームに飛んだことはありません。最近の五明さんのTwitterは前屈でここまで体が曲がるようになった、という写真を定期的に上げているのですがそれは一回も追っていません、五明さん、すいません。
話が逸れました、漫画の話に戻りましょう。
かなりの数の漫画を読んできた僕の感想として、この漫画は静と動でいえば思いっきり静なんですが、五明さんは静の表現が抜群に上手い。全体的に静かだからこそ感情の振り幅が大きく聞こえるんです。そして味のあるタッチ。この味があるタッチは決してわざとではなく、信じられないのですが『これが処女作だから』という全てがいい方に転がっているもう奇跡みたいな作品なんです。
はたして2人は無事合格できるのか?だけでは終わらせず、読後感は非常に清々しい気持ちになる。
これから五明さんが作っていくストーリーも気になるし、僕自身も僕というストーリーを作っていこうという気持ちにさせてくれる最高の一冊です。
(パンサー・菅良太郎)
書籍概要
39歳の免許合宿
〜ストーリーは⾃分(てめぇ)で創れ〜
著:ごめたん
定価:1,650円(税込)(電⼦書籍同時発売:1,650円<税込>)
発売:8⽉24⽇(水)
ISBN:978-4-8470-6875-1
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