「ビスケットブラザーズの行けばわかるさ!~三重街道中ひざくりげ~」は、BSよしもとと三重テレビで7月から放送中の旅番組です。キングオブコントで優勝したビスケットブラザーズが三重県を、東海道の桑名宿から伊勢神宮までひたすら“歩いて”目指します。
この番組の特徴は、とにかくヤラセなしの体当たりであること。監督(林龍太郎)から出される無理難題に困惑しながら歩き続ける、ビスブラのありのままの姿が映し出されます。
2人にとっては初となる地上波の冠番組で、キングオブコントで優勝してからも「ずっと大事にしたい」と言いきる愛着のある番組。この番組の見どころを、原田ときんにインタビューで聞いてきました。
KOC優勝後の近況
――番組についてお伺いする前に、近況を教えてください。キングオブコントを優勝してから日にちがたちましたが、仕事の状況はいかがですか?
原田 ひっきりなしに仕事が埋まっていますね。マネージャーには「寝られるようにだけはしてください」と言っています。寝られないとかは、僕が無理なので……。
きん とにかくマネージャーへの電話の量がすごいです。僕らを快適にしてくれている分、マネージャーにしわ寄せがいっています。
原田 体に違和感をきたしたのか、最近(マネージャーの)目がパンパンに腫れているんです。だから「ごめんよ」という意味で、なるべく僕らがお金を払ってマネージャーもグリーン車で移動するようにしています。
――優勝してから、それぞれ相方の変化は感じていますか?
きん Twitterで「ビスケットブラザーズ」って検索したら、「ビスケットブラザーズのモミアゲの方とすれ違った」というツイートがありました。以前はそんな風に言われてなかったんですけど、優勝したことで原田は「モミアゲの方」って言われるようになったみたいです(笑)。
原田 きんは、立派なチャンピオンであろうと思っているのか、3人ぐらい子どもを育てたみたいなテンションになっていますね。厚みが出てきました。多分僕が適当でちゃんとしていない分、そうしているのかもしれない。もっと楽にしてくれていいのにと思うんですけど……。
――王者としての振舞いを意識されているのでしょうか?
きん いやいや、全くないです(笑)。
原田 自然に厚みが出てきてる(笑)。
――優勝後、周りの反応で嬉しかったものはありますか?
きん やっぱりコロチキとか、先に売れて、ずっと踏ん張っている同期たちが喜んでくれたのは嬉しかったです。
原田 コロチキとか霜降りとかZAZYとかね。まあZAZYはみんなで「性格悪い」って言ってるぐらい変な奴ですけど(笑)。でも僕らが優勝することによって、同期(NSC大阪校 33期)がすごいと言われる機会がより増えたので。
きん それは嬉しい。
原田 あとは一緒に戦ってきた大阪のみんな(よしもと漫才劇場)の反応も嬉しかったです。なんか「ようやったな!」じゃなくて、優勝するのは当たり前って感じの反応だったんですよ。ロングコートダディさんやニッポンの社長が、「一抜けやね」って言ってくれて……。そうやってみんなが「ビスブラは絶対優勝する」と、思ってくれていたことが嬉しかったです。もちろん僕らも同じように思っていますしね。ロングコートダディさんもニッポンの社長も、確実に優勝するんでね。
――お互いを認め合っているからこその反応ですね。ちなみに賞金の使い道はどうされるのですか? きんさんは、おばあさんに40万の電動車椅子を買いたいとおっしゃっていましたが。
きん 優勝後に電話して、「ばあちゃん、俺電動椅子買うわ」って言ったんですよ。そしたら「いらん!」と言われました。「ためときな。自分で買うからええわ」って(笑)。
原田 1000万円の使い道って一番ムズイんですよね。1億円の使い道はって聞かれると派手なことを言えるんですけど、2人で割って500万ずつって割とリアリティーのある数字なんですよ。
きん だから、使い道を聞かれるたびに宙ぶらりんな回答をしてしまう(笑)。
原田 とりあえず税金だけはちゃんとせんとと思って、ミルクボーイさんに税理士どうしていますかとは聞きました(笑)。
かつての強烈なバラエティー番組を彷彿…
――ありがとうございます。それでは「ビスケットブラザーズの行けばわかるさ!」のお話を聞いていきたいと思います。
きん きました。これですよ!
原田 これです!
――お2人にとって初の地上波冠番組で、7月に番組がスタートしました。三重県内をひたすら歩いていくという過酷な旅番組ですが、撮影の印象はいかがですか。
きん いや、ほんまに過酷なんですよ。山道でも関係なく、一日20キロぐらい歩くんです。キングオブコントの決勝前だろうが、明日が仕事だろうが、歩かされる。絶対に甘やかしてはくれません。
原田 撮影が終わって、そこからホテルに帰る時は車に乗せてくれるんですけど、その後再スタートするとなったら、絶対に前の日の撮影が終わった地点にポンって降り立たせるんですよ。もうここはテレビ的に使わないから、「車で次の場所まで移動しよう」とかはないんです。いや、テレビ的なことしてくれやって。
きん 僕らが子どもの時に見ていた、強烈なバラエティー番組の感じですね。『電波少年』みたいな時代の番組というか……。よく「ヤラセやんけ」って言われるんですけど、本当にヤラセじゃないんです。
――旅の資金が2000円というのもヤラセなしですか。
原田 なしです。
きん 水とお茶は用意してくれてるんですけど、コンビニでコーヒーを休憩中に買うのもダメなんです。いかついですよ。
――“ガチ”だからこそ、旅の最中には様々なハプニングも起きています。原田さんが股ずれで病院に行くことになったり、ロケ車のハイエースがエンストしてしまい押して歩くことになったりと、毎回話題にことかきません。
きん ほんまに、めちゃくちゃなことがたくさん起こるんですよ。
原田 なんでか事件が起きるんです(笑)。そんで、僕が股ずれをした時は、その診察中の映像で、僕の股間にずっとモザイクがかかってるんですよ。これはどうやってゴールデンで流れてるの?って思います。19時半からこれを流すって、三重県ってどうなってんねやろって。
きん 三重テレビはマジで攻めてるなと思いますね。食事している人もいる時間じゃないですか。それなのに、めっちゃでかいモザイクで、嘘みたいな映像なんですよ(笑)。
原田 実はパンツはちゃんと履いているんです。でもあの太さのモザイクにされると、「こいつ股間出しとるやろ」と思われるじゃないですか……。ほんまに放送されているのが信じられへんということがたくさん起きている番組です。
きん これからの放送もめっちゃ面白いですよ。衝撃的なことがたくさん起こっているので。
原田 この後は、ちょっとコントチックなことも起きるし、もう意味わからんです。三重のPR番組として見ると、「あれ?」となるかもしれない。ほんまにガチのバラエティーなんで。でも僕たちとしては、このやり方が一番、三重県をPRできているつもりなんです。
きん マジでちゃんと歩いてるもんな。
スタッフは、とんでもないモンスター集団!?
――そもそもお2人は三重にゆかりがあったのですか?
原田 いや、全然ないんです。監督(林龍太郎)が、「現存する芸人を全部見て選んだ」と言っていました(笑)。ネタの感じとかを見て、オモロそうだなと思ってくれたみたいです。でも、監督はよく「当たり引けたわー」と言ってくれますね。
――番組内ではその林監督が行う、お2人への無茶ぶりも印象的です。
原田 監督は僕らのことがめっちゃ好きなんですけど、本当にやばいおっさんなんです。キングオブコントの準決勝の日も、わざわざ応援に来てくれたんですけど、『三重』って書いたピンク色のTシャツを着てきてて……。めっちゃでかいから目立つんですよ。185、6cmぐらいかな。
きん 大男が大雨の中、新宿のホールの前でピンクのTシャツで立ってました。それで「頑張れ」ってあおさ海苔を渡してくる。ほんまに親戚の変なおじさんが来ちゃったみたいな恥ずかしさがありました。東京来るのは辞めてよって。
原田 隣人(NSC大阪校34期)の中村からも、「何なんですか、あの人」って言われましたね(笑)。そんで、その監督が撮影スタッフを雇っているんですけど、それも社会不適合者みたいな変な人しかいないんです。普通の会社だったら採用しない人をとっていくんで、ほんまにとんでもないモンスター集団。
きん スタッフ凄いよな(笑)。
原田 だから、百鬼夜行状態ですよ。妖怪たちが三重を練り歩いている。伊勢神宮に入ったら浄化されて、全員消えてなくなるんじゃないかと思っています。鬼がぶわーって消えるみたいに、全員苦しくなって消えてなくなるんちゃうかって。
一同 (笑)。
番組愛と三重県への愛
――キングオブコントを優勝してからは、もう収録はされましたか?
原田 まだ収録はしてないです。優勝したことで、どれくらい「ビスケットブラザーズだ」って言われるようになるのかは気になります。もし、三重でプチスターになっていたらどんな感じだろう。
きん 確かに今まで歩いてて、すごい囲まれることはなかったから楽しみです。いやでもね、三重の人たちはやっぱり奥ゆかしいんで。
原田 気づきながらも(声掛けない)みたいなことはあるかもしれないですね。
――今までの収録で、やはり三重県に対しての愛着もわいていますか。
きん わきますね。めっちゃ優しいよな、三重の人って。
原田 大阪で生活をしていると、大阪の人って「サービスしたるで」って感じなんです。もちろん気前の良さを感じて嬉しいんですけど、三重の人は、あまり表に出さずにニコニコしながらサービスしてくれる。どっちの良さもあるんですけど、三重の人はさらっとめっちゃ優しい。
きん 撮影にも協力的やもんね。どこに行っても自由にやらせてくれて、皆さん撮影を断らない。
原田 あと、飯が旨すぎますね。牛肉もあるし、海鮮もあるし、水も米も旨い。えげつないですよ。
――キングオブコントを優勝したことで、今後忙しくなっていくと思うので、この番組を撮る余裕もなくなってしまうのかと思っていました。
原田 やっぱり愛着がありますから。決勝の前日にマネージャーも交えて、今後の仕事について話し合ったんです。その時に優勝するしないに関係なく、「行けばわかるさ!」はめっちゃ大事にしてほしいと言いました。
きん 優勝したからではなく、僕らがいいと事前に選んでくれているので愛着があります。あと、1回ロケしたら6本から8本くらい撮ってくれるんですよ。体感は2本分くらいなんですけど、ほんまに「8本撮れた」って言うんで、マジで燃費がいいんです(笑)。
――今後の展開で楽しみにしていることはありますか?
きん 優勝したら、一日2000円のルールを変えてほしいと事前に言っていたんですよ。それが楽しみです。
原田 2000円ルールで泣く泣く諦めたお店が何個もありますからね。「優勝したらな」って言われてて優勝したんで、そこはどうなるか。
きん ただあの監督なんでね~……。過度な期待はできない。
原田 監督がね~……。
一同 (笑)。
――最後に番組を視聴する方に向けて、王者となったお2人からメッセージをお願いします。
きん 三重県の方以外も、BSよしもとで日本中見ることができます。「なんやねんこの番組」という感覚で毎週見ていただけたら、いつかハマると思うので、何回か見守ってほしいです。ちゃんと見たらほんまにオモロい。バラエティーやし、ドキュメントやし、ありのままです。こんな番組は今の時代になかなかないと思うので、楽しんでほしいです。
原田 本当に一日中撮影して、それが全部使われるんで、「これがビスケットブラザーズの2人です」という番組ですね。好きにならなかったら仕方ないですけど、「これが僕らです!」という感じです(笑)。
番組情報
ビスケットブラザーズの行けばわかるさ!〜三重街道中ひざくりげ〜
放送日時:BSよしもとにて毎週木曜23:30~放送
(三重テレビ 毎週月曜日 19:30~20:00)
出演:ビスケットブラザーズ
BSよしもと番組ホームページ