この前、学園祭の帰りの静かなバスの車内で、後ろの席のマユリカの阪本さんが急に「おしっこ」と高い声で言ったので、前の席の吉田たちのこうへいさんが「おしっこ?」と聞くと阪本さんが「あっ、言っただけです」と言って、こうへいさんが「行きたいんかと思うから言ったあかんで」と注意されて、再び静かな車内に戻りました。僕は間の席で黙って窓から外の景色を眺めていました。
どうも、センチメンタルおしっこリスナーことたくろうの赤木です。
僕達、たくろうは愛媛朝日テレビの「なるちか!」という朝の情報番組のワンコーナーにレギュラーで出演させてもらっています。そのために月に1回愛媛県に行ってロケを5本撮りしています。そんな僕が知る愛媛の面白いとこを紹介します。
まず1つ目の面白いとこは、愛媛という県名です。
「愛」と「媛」。
県名というステージでこんなカッコいい漢字2文字がぶつかり合うとは。
かっこいい漢字トーナメントがあれば決勝で戦ってもおかしくない2文字。
1回戦負けしそうな「岡」と「山」という組み合わせの県もあるというのに。
何百年もカッコいい漢字界の先頭を走って来た「愛」。
「姫」の影に隠れていたが、実はこっちの方がカッコ良いんじゃないかと世間を騒がせた「媛」。
もし「愛」と「媛」がNSCの同期で2人が組むという話を聞いたら「とんでもないコンビが産まれてしまう。」と震えていたと思います。
それに比べて
「なんだ中に入ってる缶みたいなやつ」とダメ出しされ続けた「岡」。
何百年もダサい漢字界の先頭を走って来た「山」。
もし「岡」と「山」がNSCの同期で2人が組むという話を聞いたら「やめとけ」と真剣に止めていたと思います。
「愛」と「媛」は漢字の意味としての相性も抜群に良いです。
僕には漢字-1グランプリで決勝に進む愛媛の姿が鮮明に見えます。
尖った発想と抜群のコンビネーション、そして圧倒的な華で決勝ファーストラウンドを過去最高得点で突破する愛媛。
最終ラウンドへの意気込みを聞かれ「僕らに死角はない。最終ラウンドもいつも通りするだけ」とクールに答え、暫定ボックスに戻っていった。
「これは優勝間違いないだろ。」
テレビで見ていた僕はそう思った。
というより日本中誰しもがそう思っていた。
結果は見えてる。もういい。これ以上才能を見せつけられたら泣いてしまう。
僕はテレビを消そうとリモコンも手に取った。
その時だった。
「どうもー。岡です。」
「山です。」
「2人合わせて岡山でーす。」
僕は思わずテレビのリモコンを落とした。
「お、岡山……!?」
あの日「やめとけ」と言った岡山。
そんなひどいことを言ったのにニコニコ帰っていった2人の後ろ姿。
全てがフラッシュバックし頭が真っ白になった。
気づいた時には愛媛の最高得点を塗り替える得点が画面いっぱいに映し出された。
「嘘だろ……」
暫定ボックスの愛媛の2人も僕と同じ顔をしていた。
最終ラウンドの結果は言うまでもない。
若かった僕には分からなかった。
「岡」と「山」のポテンシャルに。
そして2人の相性の良さに。
優勝のトロフィーを渡す時に審査員長の「龍」は言った。
「ただただ好きになった。君たちは愛されるなにかをもっている」
涙が溢れてきた。
僕も岡山が好きだ。
次の日、僕は引退した。
あとがき
本当に当初は愛媛の良いところいっぱい書こうと思っていたのですが、気付いたら引き返せないところまで来ていました。
愛媛は本当に良いところです。
人も良いし、じゃこ天も美味しいです。
岡山も好きです。