ピストジャム「シモキタブラボー!」特別回
個展「極彩奇天烈板絵図」開催記念

シモキタブラボー!

「世界で2番目にクールな街・下北沢」で23年、暮らしてきたサブカル芸人ピストジャムが綴るルポエッセイ。この街を舞台にした笑いあり涙ありのシモキタ賛歌を毎週、お届けします。

「世界で2番目にクールな街・下北沢」で23年、暮らしてきたサブカル芸人ピストジャムが綴るルポエッセイ。この街を舞台にした笑いあり涙ありのシモキタ賛歌を毎週、お届けします。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン
イラスト:ピストジャム

個展「極彩奇天烈板絵図」開催記念特別回

明日3月2日から12日まで、代官山のモンキーギャラリ―で個展を開催させていただけることになった。

タイトルは「極彩奇天烈板絵図」。

生まれて初めての個展。

10歳のころから中学卒業まで毎週お絵描き教室に通い、高校時代は芸術系の大学に進学するつもりでデッサンを学び、大学卒業時には画家の道に進むか芸人になるかで迷った僕にとって、個展を開くことは夢だった。

展示する作品のメインは、かまぼこ板アート。

昨年11月2日、シモキタの本屋B&Bで初エッセイ「こんなにバイトして芸人つづけなあかんか」の刊行記念トークイベントがあった。

ピース又吉さんを招いてトークしたのだが、そのとき会場で初めてかまぼこ板アートを展示させてもらった。

机の上にぎっしり並べられた300枚以上のかまぼこ板アートは、我ながらよく描いたなと思った。

2019年から4年にわたり、ひたすら描き続けてきた。

色とりどりのかまぼこ板アートを前にして、かわいいとこぼしながら写真を撮るかたが大勢いて感激した。

今回の個展で展示する作品は、かまぼこ板アートのほかにも黒板アートやキャンバス画などもある。

吉本本社の縦1.8メートル、横5.8メートルの大きな黒板に描いた二つの黒板アートも、複製パネルで展示する。

会期中は10時から19時までできるかぎり在廊して、会場でかまぼこ板アートを制作したり、黒板アートのライブペインティングもおこなう予定だ。

あと、展示作品はすべて販売もする。

僕の絵なんて買ってくれる人がいるのだろうか。

正直、不安だ。

でも、僕にはすでに実績がある。

実は、昨年ひっそりとかまぼこ板アートを販売したことがあった。

そのとき、なんと購入してくださったかたが二人もいた。

ゴッホは生前、売れた絵が1枚だけだったと聞いたことがある。

僕は、もう2枚売れた。

これは、もう立派に画家だと言えるのではないだろうか。

胸を張って、自分は画家だと宣言してもいいのではないだろうか。

会場では、作品のほかに7種のオリジナルステッカーも販売する。

もともと無類のステッカー好きで、それが高じてステッカーの制作を始めた。

ステッカーの制作自体はかまぼこ板アートよりも1年早く、2018年からスタートした。

いままでつくったステッカーは30種以上。

今回は、その中から厳選したものを販売させていただく。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン
イラスト:ピストジャム

先のエッセイも会場で販売する。

オリジナルステッカーを1枚付けて、サイン入りで税込み1500円。

入場無料なので、気軽に遊びに来ていただきたい。

今回は、この場を借りて個展の挨拶文を掲載していただけることになった。

ぜひ読んでみてください。


「極彩奇天烈板絵図」ご挨拶

中学生のころ、人間はいつかかならず死ぬのに、なぜ生きているんだろう、なぜ生きなければならないんだろう、なんために生きているんだろう、と本気で悩んでいた。

当時の僕の口癖は「むなしい」で、実際何をしていてもむなしかった。

ことあるごとに「むなしい」と口にするので、よく父にしかられた。

生きる理由が見つからないのに、生きているという状態がつらかった。

祖父にその悩みを打ち明けると、人間は幸せになるために生きているんだと簡潔な答えが返ってきた。

心が軽くなった。

僕の幸せは、人を笑わせることと絵を描くことだった。

それから、これが僕の生きるテーマになった。

30年経ったいまでもそれは変わらない。

あの中学生は芸人になり、なんと今回個展を開かせていただけることになった。

作品は、数年前から描きためたカラフルな300枚以上のかまぼこ板アートと黒板アートとキャンバス画。

かまぼこ板アートは、愛らしいサイズ感と板の厚みで作品自体が自立するところが気に入っている。

1枚でもかわいいのに、たくさん並ぶとよりポップさが増し、さらにかわいく見える。

会場に足を運んでくださったかたの心をはずませる作品が、一つでもあることを祈っている。


このコラムの著者であるピストジャムさんの個展が2023年3月2日から代官山で開催されます

■タイトル
極彩奇天烈板絵図(ごくさいきてれついたえず)
■サブタイトル
アトリエ ピストジャム
■英語タイトル
COLORFUNKY PANEL-JAMS
■日時
2023年3月2日(木) – 3月12日(日)
10時 – 19時(入場無料)
■会場
モンキーギャラリー
東京都渋谷区猿楽町12-8
https://monkeycafe.jp/
■イベントURL
https://laugh-peace-art.com/exhibition/colorfunkypaneljams/


このコラムの著者であるピストジャムさんの新刊が2022年10月27日に発売されました。

書名:こんなにバイトして芸人つづけなあかんか
著者名:ピストジャム
ISBN:978-4-10-354821-8
価格:1,430円(税込)
発売日:2022年10月27日

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

ピストジャム
1978年9月10日生まれ。京都府出身。慶應義塾大学を卒業後、芸人を志す。NSC東京校に7期生として入学し、2002年4月にデビュー、こがけんと組んだコンビ「マスターピース」「ワンドロップ」など、いくつかのコンビで結成と解散を繰り返し、現在はピン芸人として活動する。カレーや自転車のほか、音楽、映画、読書、アートなどカルチャー全般が趣味。下北沢に23年、住み続けている。