吉本新喜劇の座長に就任したアキと吉田裕のお披露目公演が、5月2日(火)から大阪・なんばグランド花月で始まりました。新座長が誕生するのは6年ぶり。アキと吉田はそれぞれの個性をぶつけ合い、融合させながら、ダブル座長による記念すべき舞台にのぞみました。初日の1回目公演には、間寛平ゼネラルマネージャー(GM)、すっちー、酒井藍、川畑泰史らが登場。2人の晴れ舞台に華を添えました。
口上の最後は全員でズッコケ!?
幕が上がると、舞台上には裃(かみしも)姿の新座長2人と寛平GM、すっちー、酒井、川畑がズラリ勢揃い。口火を切った寛平GMは、アキと吉田の座長就任を会社から聞かされたシーンを再現しながら、「私はびっくりして、『えーっ!』」と大きなアクションでさっそく笑わせます。
続いて「本人たちも……」と水を向けると、アキと吉田が「えーっ!」と返し、さらに「そして、お客さんも……」と呼びかけると、客席も大きく「えーっ!」とリアクション。
厳かな口上とは程遠いノリノリの雰囲気のなか、すっちーも「アキさん、吉田くん、ご結婚おめでとうございます」とボケで応戦します。
「アキは四季でいいますと実りの秋、食欲の秋。これからもたくさんの笑いを実らせ、お客様を笑いでお腹いっぱいにしていただきたい」
と、ここまではうまく落としましたが、続けて「吉田は四季でいいますと、夏でございます。吉田ゆかた、夏祭りのワクワク感……いろんな意味で豊かになればいい」と、苦し紛れの口上を繰り出し笑いを誘いました。
酒井は「座長たるもの、やはり健康がいちばん。おふたり、どうぞ太り過ぎにご注意を」とアドバイスしますが、川畑がすかさず「あんただけや!」とツッコみます。
そんな川畑も「この2人ならば、きっとやってくれると思います。今後とも、何卒この川畑泰史をよろしくお願いします」とここぞとばかりボケて、すっちーから「こらーっ! ふざけるな!」と強烈なツッコミを受けました。
最後は寛平GMが、「この2人が座長として加わり、これからなお、この新喜劇が発展しますように、隅から隅までずずずいーっと……頼んまっさ~!」と締めくくり、一同がダイナミックにズッコケるという、まさに“ザ・新喜劇”な口上となりました。
他人の“ドリル芸”に吉田「複雑な気持ち…」
お披露目の新喜劇はホテルを舞台に、主任の吉田と新人スタッフのアキが、個性豊かすぎるスタッフや客と爆笑ストーリーを繰り広げます。
吉田は次々と現れる登場人物たちに、時にイジられ、時にツッこみ、八面六臂の活躍ぶり。一方のアキは、登場するなりたっぷりと間を使って自身のギャグ「……なに?」を繰り出し、その後も舞台狭しと大暴れしたほか、得意のダンスも披露。そして、アキがボケるたびに吉田が緩急をつけたツッコミで笑いを増幅させ、息の合ったコンビプレーも見せました。
脇を固める座員たちも大奮闘。すっちーと酒井は、それぞれ謎の女とホテルスタッフに扮して登場。すっちーが、烏川耕一と乳首ドリルならぬ“くちびるドリル”を繰り広げた場面では、“元・相方”の吉田が「複雑な気持ち……」とこぼす一幕もありました。
先日、座長を勇退した川畑は、松浦真也を引き連れてイキイキとチンピラを演じ、自らもギター片手に歌ネタで沸かせました。
物語のキーになるワケあり令嬢役の島田珠代は、いつも以上にハイテンションなギャグの波状攻撃でアキ、吉田を翻弄。ほかにも警官役のMr.オクレ、吉田の元カノ・鮫島幸恵の母親役には浅香あき恵、そして吉岡友見とともにホテルの客として登場した山田花子らベテラン勢もしっかりと見せ場を作りました。
ホテルからクビを言い渡された吉田は、アキらの力を借りて、窮地を脱することができるのか――!? さらに吉田と鮫島の恋の行方、すち子の正体など、見どころが尽きない舞台は、最後まで笑い満載で幕となりました。この模様は、『よしもと新喜劇』(MBS)で近日放送予定です。
アキ「お客さんのおかげです」
1回目公演の終了後、アキ、吉田、寛平GMが囲み会見に応じました。寛平GMは「2人がやってる姿を見て、コンビのように息が合ってると思った。これだけ笑いをとるとは思わなかったから、むっちゃうれしかった」と笑顔を見せます。
吉田はホッとした表情で、この日の舞台を振り返りました。
「最初はドキドキしたし不安もありましたが、めちゃめちゃあったかいお客さんで、受け入れてくれてるという空気感もあった。アキさんとも、いままで一緒にやってきた空気感が舞台に出たのではないか。出演メンバーも、皆さんパワーがすごかった。それがぜんぶ重なっていい方向に行った」
一方のアキは、この日のお客さんに感謝しました。
「今日はお祭りというか、あったかい感じやなと思って、それでスイッチが入った。裕くんとはこれまでリーダー週もやっていたので、何回かやってきたリズムにもなってきて、そこからは楽しくやらせていただけた。お客さんのおかげです」
上方スタイルの口上では、主役は言葉を発することがありません。報道陣から口上で言いたかったことを聞かれた2人は、それぞれこう話しました。
「新喜劇は1人で作っていくものじゃない。力を合わせて、劇場にまた足を運びたいと思ってもらえる新喜劇を作っていく」(吉田)
「先輩方が守ってこられたものを引き継いで、座員のみなさん、関係者のみなさんと心を一つにして精進し、大切に舞台を重ねていけたら」(アキ)
アキはその上で、「バンバン新しいものに挑戦して、時代のスピードについていけるように」と決意を新たにしました。