闘病中の宮川大助・花子が“4年ぶり”なんばグランド花月で漫才披露! 「今日のお客さんは生き証人」

血液のがんの一種、多発性骨髄腫で闘病中の宮川花子が、夫で相方の大助とともに5月9日(火)、大阪・なんばグランド花月(NGK)の公演「ノスタルジック寄席vol.7」に出演しました。2人が宮川大助・花子としてNGKの漫才ステージに立つのは4年ぶりのこと。さる5月1日(月)に大阪・YES THEATERで上演したイベント「宮川大助・花子の『おまたせ!』」での復帰漫才に続き、念願だったホームグラウンドでの“復活”を実現させました。

出典: FANY マガジン
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センターマイクに進む2人に客席から拍手と歓声!

全18組が出演する寄席公演に、4番手として登場した大助・花子。車イスに乗る花子を大助が押しながら、慣れ親しんだセンターマイクの前へと歩いていくと、客席から拍手とともに歓声が上がります。

「4年ぶりにNGK(なんばグランド花月)に戻ってきたぞ〜!」

花子が叫ぶと、さらに大きな拍手が。「今日来てくださったお客さんは、大助・花子の生き証人。4年ぶりに戻ってきたその日を見てくださった特別なお客さま」と感謝しつつ、「終わったら一人ひとり握手してお見送りしたい……という話は出ておりません」とボケて、さっそく爆笑をさらいます。

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その後も、大助を「こちら、大谷翔平です」と紹介し、二刀流を「ピッチャーとキャッチャー」と言い間違える大助に「誰が投げて誰が受けるねん」と鋭いツッコミが炸裂。これまでさまざまな病と闘ってきた歴史を振り返りながらのトークでは、入院生活でのエピソードや救急車で搬送されたときの出来事など、ツラいこともしっかりと笑いに昇華させる、さすがの芸人魂を見せつけました。

最後は「これからもがんばりますのでよろしくお願いします!」と元気いっぱいに挨拶した花子。2人は割れんばかりの拍手に送られ、記念すべき“復活”の舞台を終えました。

涙ぐむ大助に「まだ泣くの早いで!」

出番終了後の囲み会見で、花子はこう話します。

「センターマイクに近づいていくことが、めちゃくちゃうれしくって。そのときの感動は、やはり今日しかないもの。大助さんはセンターマイクに行くまでに泣きそうになっていたので、『泣いたらあかんで』と言っていた」

続いて大助が「2人とも座ってでしたが、NGKで漫才することが生きる励みでもあった。くじけそうになったときも、センターマイクに戻るというのが励みだった」と噛み締めるように話しながら、「舞台のセンターまで歩く道で、車イスを押しながら、『俺、ここ何回歩いたんやろう』と思ったら……」と涙ぐむと、すぐさま花子から「まだ泣くの早いで!」とツッコミが入っていました。

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2019年6月に療養生活に入った花子は、一時は下半身不随の状態で「余命1週間」の宣告も受けながら、同年12月に病名を公表。懸命の闘病とリハビリで、2021年12月に“トーク”のかたちで舞台復帰を果たしました。

それからおよそ1年半、じつに4年ぶりにステージで2人の漫才を披露することになった5月1日(火)のイベントでは、「お客さんにどんだけ笑ってもらうか、そのことばかり頭にあったから、ドキドキするとか4年ぶりとかいっさい考えていなかった」とのことですが、「今日はそれ以上に、若い人たちが出たあとやから、絶対ドッと(笑いが)きてもらいたいというのがすごいあった。最初の大谷翔平でドッときたとき『やった!』と思った」と手応えを語った花子。

循環器科の担当医からは「しんどかったら何があっても(舞台を)降りてください」とクギを刺されていたと言い、「自分では抑え気味だった。今日で終わりたくないので」と今後への意欲も燃やします。

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また、この日はネタ時間が10分と決まっていたため、時計を持ちながらネタ合わせも行ったとのこと。「10分なので、大助くんのしゃべりを省こうかなと思いました」と“花子節”も絶好調。

まだまだみっちり稽古するのは難しい状態ではありますが、大助は「もうちょっと慣れて、舞台に自分たちのリズムが合うようになってきたら、新しいものをどんどん披露できると思う」と期待を寄せました。

歳を取る美学を伝えたい

4年ぶりにNGKの楽屋に入り、仲間が集まってワイワイと過ごしたことも、とてもうれしかった様子。オール阪神・巨人は、本公演の漫才で「このあと大助・花子さんが出ますから、見てあげてください」とエールを送ってくれたそうで、「そういうのがすごくあったかくて、後押しをしてもらえるような……」と大助。

ミルクボーイも楽屋を訪れて挨拶してくれたほか、東京パラリンピックで銀・銅メダルを獲得した全盲のランナー、和田伸也さんがメダルを見せに来てくれるというサプライズもあり、多くの人からパワーをもらって本番に臨みました。

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現在、抗がん剤治療中の花子ですが、「後遺症は全然なくて、運動してないとか体力的にしんどいとかそっちのほう。今日も帰ったら、また『しんどい』になってると思うが、それは疲労」と体調は安定していることを報告。

「これを機に、どんどんやりたいと思っている。会社にも『次いつ?』ばかり言っている」と笑顔を見せると、大助は「嫁が楽しんでやってるのが(隣にいて)見える。病気と闘っているのが頭にあるので、余計に喜びになる」と目を細めていました。

最後は大助が「2人とも高齢者という意識はあるので、お互いを介護するような状況も出てくる。そのなかで、『お前100まで、わしゃ99まで』という歳を取る美学、美しさを伝えたい」とキッパリ。

「だから、『いま、どうですか?』というのをひとことで言うなら、ハッピーです!」

そう締めくくった大助に、花子も「ええこと言うなあ〜」と感心していましたが、さらに言葉を続けようとすると「もうええ! もう言うな!」とピシャリと制して、会見場は爆笑に包まれました。

出典: FANY マガジン
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