オズワルド「去年は顔見せ。今年は優勝意識してネタ作りした」【ファイナリストが語るM-1】

漫才日本一を決める『M-1グランプリ2020』(ABCテレビ・テレビ朝日系)が、12月20日(日)に放送されます。

ファニマガでは、史上最多となる5081組から勝ち残ったファイナリストたちに連続インタビュー。今回は、2年連続の決勝進出を決めたオズワルド(畠中悠、伊藤俊介)の決勝直前インタビューをお届けします。

出典: FANY マガジン

コロナ禍で大会の開催自体が危ぶまれた2020年。激戦を勝ち抜いたのは、アキナ(山名文和、秋山賢太)、マヂカルラブリー(野田クリスタル、村上)、見取り図(盛山晋太郎、リリー)、錦鯉(長谷川雅紀、渡辺隆)、ニューヨーク(嶋佐和也、屋敷裕政)、おいでやすこが(こがけん、おいでやす小田)、オズワルド(畠中悠、伊藤俊介)、東京ホテイソン(たける、ショーゴ)、ウエストランド(井口浩之、河本太)の計9組です。決勝では、これに敗者復活組を含めた10組が優勝を目指して争います。

7月の『ABCお笑いグランプリ』(ABCテレビ)で準決勝、10月の『マイナビLaughter Night』(TBSラジオ)はグランドチャンピオンと、波乱の2020年に結果を残し続けてきたオズワルドの2人。今年のM-1にかける思いとは――。

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準決勝のネタを直前で変えた

――今回、2年連続のM-1決勝を目指すなかで、予選のどの段階で「今年は行ける!」という手応えを感じましたか?

伊藤 「行ける!」と思ったのは、準決勝の出番終わりですね。それまでは、ちょっと怪しかったです。

畠中 予選が始まる前は、決勝までは確実に行くつもりでやってたんです。でも予選が始まって、2回戦と準々決勝では「あれ、思ったほどウケが来ないな」って感覚で。準々決勝が終わったとき、「もしかしたらやばいかも、残れないかも」ってちょっと怖くなったくらいで。

伊藤 準々決勝はやばかったね。

――昨年、決勝に行ったことで「(漫才の)スタイルが知られている」状態だったと思いますが、2年目の難しさはありましたか?

伊藤 自分としては、去年決勝行ったから難しいとは、ぜんぜん思ってなかったんですよ。でも予選が始まってから、ゆにばーすの川瀬名人さんに「2年目はしんどいよ」って言われて。いざ2回戦、準々決勝と経験して、「なるほど、そういうことか」とは思いました。予選から観に来ているお客さんは特に、僕らのことを絶対に知ってくれていると思うので。ただ、決勝に行ってしまえば、決勝のお客さんはそんなに覚えてないと思う。その差はあるんだろうな、と思っています。

――準々決勝で危機感を覚えて、なにか対策は講じましたか?

畠中 そっから、ネタを変えたんですよ。

伊藤 もともとあったネタなんですけど、それまではやるつもりじゃなかったやつを引っぱり出して。賞レースに出せるような状態のものでは、まったくなかったんですけど。

畠中 準決勝までの2週間で直しまくって、ギリギリ当日を迎えたらある程度ウケたんで、準決勝でようやく、「あ、大丈夫だ」って気持ちになれました。

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――2人で話し合って、そのネタを選んだんですか?

伊藤 10月にやった自分らの単独ライブみたいなのがあるんですけど(オズワールドカップ2020 in 東京)、そこにゲスト審査員として、かまいたち・山内(健司)さん、囲碁将棋・文田(大介)さん、銀シャリ・橋本(直)さん、もう中学生さんをお呼びして、ネタの講評をしてもらったんですよね。その時に山内さんがほめてくれて、「このネタ決勝の1本目にやったらいいんちゃう」って言ってくれたネタで。

畠中 総合的には別のネタのほうが評価がよくて、僕らもそっちを磨いてたんですけど。

伊藤 そう。だから山内さんにそう言われたときはあんまりピンと来てなかったんですけど、準々決勝の反応が思ったよりよくなかったのを受けて、ダメ元で叩いてみるかってやりはじめて、なんとか間に合わせました。

優勝見据えてネタ作りした1年

――去年のM-1決勝では、優勝したミルクボーイさんの次の出番ながら、きちんと空気を戻して爪痕を残しました。

伊藤 なにも残してないですよ(笑)。去年は本当に顔見せでしたよね。

畠中 2018年までは最高で3回戦しか行けたことがなかったので、去年は決勝に行くことが目標で。結局、「行けた!」っていう喜びだけで終わったなという感じです。

――それを受けて、今年は早い段階からかなり強い気持ちでネタを磨き続けていたように見えます。

伊藤 まあでも、みんなそうだとは思いますけど……。ただ、今年は優勝したいというのがあったので。

畠中 今年は目指すものが、「決勝に行きたい」だけじゃなくて、「その上で優勝したい」という目標に変わったので。ライブがなかった(コロナ禍による)自粛期間が、ネタづくりにはチャンスだと思って、あの時期はずっとネタづくりをしていましたね。

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――これまでとはネタへのアプローチを変えたりも?

畠中 去年まではなんとなくゆるい雰囲気のネタが多かったんですけど、決勝の舞台ではやっぱりツッコミの爆発力もちゃんと備えていないとウケにくかったりする。なので、そのあたりは作る段階から意識してました。

伊藤 やっぱりずっと、優勝しようと思ってネタを作りつづけてました。

――そんな中で「オズワールドカップ」のような、実際に実力者の評価を聞くようなライブを開催したのも“本気度”が感じられます。

伊藤 あれは実は、ゆにばーすさんがやってたことのパクリなんですけど(笑)。本人にも許可を取ってやりました。

――7月のABCお笑いグランプリ(以下ABC)で準優勝、10月のマイナビLaughter Nightではグランドチャンピオンと、賞レースで強さを発揮した年でもありました。

畠中 ABCはM-1以降、久々の賞レースで、時期的にやれるかどうかもわからないような状況で。でも実際にお客さんも入った状態でできて、久々に「ああ、これが賞レースだ」っていう感覚を味わったんですよね。グループを突破してファイナルステージまで行ったときに「あ、思い出したな、この戦ってる感じ」って。

伊藤 本当に自粛明けのどうなるかわからない中でABCで戦えたので、ABCに対してはすごく感謝してます。だから今年M-1で優勝して、来年のABCに絶対出て、リベンジしたいなって思ってます。

出典: FANY マガジン

誰の後でもまったく問題ない

――今年の決勝メンバーについては、どう思っていますか?

畠中 去年以上に読めないですよね。

伊藤 もしかしたら、とんでもないゲテモノ大会になる可能性、ありますよ。

畠中 僕ら、この中だったら正統派になるくらいじゃない?

――おふたりは吉本所属でありながら、外部のライブにもたくさん出て、吉本以外の芸人さんとの交流も多く、いろいろブレンドされたような存在でもありますが。

伊藤 ブレンドなんていいもんじゃない、雑種ですよ。……まあ基本的には自分らのことしか考えてなかったですけど、でもやっぱ嬉しかったですね。

畠中 錦鯉さんとかウエストランドさん、東京ホテイソンが上がったのはね。

伊藤 ウエストランドさんなんて、決勝行ったらもうあとは炎上するだけだなって。とにかく炎上するんだろうなって(笑)

――どうなるかわからない決勝の中で、とくに意識しているコンビは?

伊藤 ぶっちぎりで錦鯉さんですね。

畠中 ハマったらとんでもない爆発力があるんで、そのまま駆け抜けて行っちゃいそうなコンビですよね。ここ何年もずっと「今年こそは行くんじゃないか」と言われてたし、芸人の間での評判も高いし、一緒にライブに出たときの爆発力も目の前で見てるんで、「この爆発が決勝で来たらとんでもないことになりそうだな」というのはありますね。

伊藤 まあ、植え付けられてるんですよね、錦鯉さんには。ずっと、すっごいところを見せつけられてるんで。

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――そんな人たちと戦うにあたって、いま相方に望むことはなにかありますか?

伊藤 テレビに出るときってメイクするじゃないですか。畠中、めちゃくちゃ濃くするんですよ。それが気になっちゃってしょうがないんで、M-1の本番だけは薄めにしてほしいなって。

畠中 ひげが濃いんで、隠したいんですよ。だからそこはもう慣れてもらうしかないですね。

伊藤 本当に「え、死に化粧なのかな?」っていうくらい濃い。だから、当日はメイクルームまでついていこうと思ってます。

畠中 僕はもう、いま相方に望むことは体調だけですね。もちろん自分もですし、こればっかりは運もありますけど、そこだけはお互い気をつけて無事に決勝当日を迎えたいです。

伊藤 もう、ほんっとに飲みに行ってないですから!

畠中 ほんとに、まったく。

――今年も「笑神籤(えみくじ)」方式(MCが引いたくじのコンビがそのままネタ披露)ですが、今回は何番がいいという希望はありますか?

伊藤 そりゃ、理想を言うなら5番目以降かなと思いますけど、まあトップバッターじゃなければどうにかできるなって。誰の後でも。

畠中「前の組、めっちゃウケてるなー」とかもうぜんぜん平気です。

伊藤 今回の準決勝も、めちゃくちゃウケてたおいでやすこがさんの直後だったんですけど、「ああ、去年思い出すな」くらいでしたもん。

畠中 慣れちゃって逆に落ち着けるくらい(笑)。

出典: FANY マガジン

決勝ネタは2人の「満場一致」で

――賞レースがいろいろあるなかで、M-1の特別さはどこにあると思いますか?

畠中 わかりやすいですよね。単純にいちばんおもしろい漫才を決めるのなら、それを目指さないわけがない。絶対にその1位になりたいと思ってやっています。

伊藤 ふだんお笑いは観ないいけど、M-1だけは観る人っているじゃないですか。プロ野球観ないけど、甲子園観るみたいな。一生で限られた期間しか出られない点も甲子園ぽいし。そのへんは、なんか特別ですよね。

――優勝したら、その後、どんなふうになりたいと考えていますか?

伊藤 明確に考えたことはないんですけど、めちゃめちゃテレビには出たいですね。どういう番組にとかじゃなくて、全部。

畠中 たぶん優勝したらめっちゃ忙しくなると思うんですけど、その後ゆっくりしたいですよね。チャンピオンの方って売れきったあとにちゃんと休みのある生活されてるじゃないですか。そこが憧れです。

伊藤 僕ら真逆なんですよね。僕はめっちゃ出たいんですけど、畠中はそこまでメディアに出ることに興味がない。

畠中 基本しっかり寝たいですし、僕、実家に7年帰ってないんで、ゆっくり実家に帰ったりもしたいですね。実家の昆布漁を手伝ったり……。

――準決勝のネタを急遽変更したという話がありましたが、もう決勝のネタは決まっていますか?

畠中 1本目はこれ、2本目はこれというのは決まっています。

――それは2人で相談して?

畠中 僕ら、けっこういろんな方にアドバイス聞くんですよ。先輩とか同期とか。なのでそういういろんな意見を聞いて、最終的には2人のなかで満場一致で。

伊藤 2人だからね、満場一致もなにもないんですけど。

出典: FANY マガジン

――改めて、意気込みを聞かせてください。

伊藤 こんなに決勝に関東の漫才師が多いのって史上初じゃないですか? だからそこで戦って東京も捨てたもんじゃないぞというか、すごいんだぞというのを見せたいですね。優勝します。

畠中 優勝して、ゆっくりします。

『M-1グランプリ2020』決勝は12月20日(日)18:34~22:10に、ABCテレビ・テレビ朝日系列で全国ネット生放送。敗者復活戦は同日14:55~17:25に行われます。

オズワルドの公式プロフィールはこちらから。

番組概要

M-1グランプリ2020決勝
放送日:12月20日(日)18:34~22:10
放送:ABCテレビ・テレビ朝日系列全国ネット生放送
司会:今田耕司、上戸彩
審査員:オール巨人、上沼恵美子、立川志らく、サンドウィッチマン・富澤たけし、中川家・礼二、ナイツ・塙宣之、ダウンタウン・松本人志 ※50音順
出場者:アキナ、マヂカルラブリー、見取り図、錦鯉、ニューヨーク、おいでやすこが、オズワルド、東京ホテイソン、ウエストランド

M-1グランプリ2020 【敗者復活戦】
放送日:12月20日(日)14:55~17:25 ※一部地域除く
放送:ABCテレビ・テレビ朝日系列全国ネット生放送

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