芸人支持率No.1コンビ・ななまがりが3年ぶりルミネ単独ライブ! 「ネタ作りはいまベストな状況」

再放送された『水曜日のダウンタウン』の「新元号当て」企画や、架空ものまねタレント・ムーシー藤田の活躍、すゑひろがりずとのタッグで人気ライブに成長した『地獄変』……。ここ最近、ますます注目度の高まっているななまがり(森下直人・初瀬悠太)が、3年ぶりとなる東京・ルミネtheよしもとでの単独ライブ『曲者王』を3月23日(火)に開催します。2人にライブへの意気込みと、独自のネタづくり、賞レースへの思いなどたっぷり聞きました。

出典: FANY マガジン

いつかは「王」になりたい

――おふたりはここ最近、年1回ペースで単独ライブをやっていますが、ルミネtheよしもとでの単独はじつに3年ぶりですね。『曲者王』というタイトルに決まるまで、かなり紆余曲折があったとか。

初瀬 単独のタイトルは毎回、すごく悩むんですよ。なので今回は、YouTubeチャンネルで「単独ライブのタイトルを考えよう」という動画を撮って決めちゃおうと。実際、1~2時間の動画を撮って、迷いに迷って「これや!」となったんですけど、僕がその夜に「なんか、やっぱりちゃうなあ」って。

森下 ふだんは僕が優柔不断なんですけど、タイトルとかに関しては初瀬がかなり迷うほうで。

初瀬 かつて大阪の「5upよしもと」という劇場に所属してたころ、所属芸人全員で戦ってランキングを決めるライブがありまして。そのポスターで僕らにつけられたキャッチコピーが「曲者王」やったんですよ。それがずっと気に入ってたことをふと思い出して、次の日、森下に伝えました。

――タイトルなどについては、ネタで“架空の言葉”を生み出している森下さんに主導権があるのかと思っていましたが、違うんですね。

森下 僕は案を出すだけ出して、初瀬がいいって言ったものに決まるという形です。タイトルだけじゃなくて、ネタもそうなんですけどね。今回は「シソンヌになりたい」という案も出てて、僕はそれでもぜんぜんよかったんですけど。

出典: FANY マガジン

初瀬 「ズディーブジョブズ」って案もあったよな。僕がいいって言ったらそれになってたかもしれん。でも、絶対イヤじゃないですか。

森下 イヤなことないよ。「ズディーブジョブズ」でも「ジャルジャルになりたい」でもよかった。でも、粘った甲斐があったなと思います。「曲者王」は僕ら自身の意気込みとしてもぴったりですし。いつかは「王」になりたいですからね。

芸歴重ねて「やり方」身につけた

――先ほども出ましたが、ネタも森下さんが案を出して、初瀬さんが判断を?

森下 入口はそうですね。そこから2人で詰めていくことが多いです。

――初瀬さんの「これはいける」という判断基準は?

初瀬 いろんなパターンがあって。森下はとにかく面白いと思うことを、むっちゃ数打ってくれるんですよ。ぼくは、それをぜんぶ携帯にメモする。もちろん、その場で「それはええな」ってなる場合もありますし、画が浮かばなくて「うーん」となるのもある。でも一晩経ってメモを見直したら、「うーん」と思ってたのが急に輝いて見えたりもするんです。

森下 僕からしたら、伝えた瞬間の反応が弱いと「初瀬に対してスベったな」って思うんです。でも初瀬の中では、その場で反応してなくても完全にナシではなくて。たまに、3年くらい前に言ったことを掘り出してくることもあるんですよ。もう僕が言った記憶もないくらいのやつを。

出典: FANY マガジン

――森下さんはたとえば、どんな案を出すんですか?

初瀬 本当にちょっとした発想とか、単語だけとか、いろいろです。

森下 「ムー」というコントがあるんですけど、それは僕がある時ずっと「ムー!」って叫んでて、初瀬もそれに笑っちゃって、というところから生まれました。「キングオブコント2016」の決勝でやったナスのコントは、僕が歩いてるときに犬のウンチを見かけてうわっとなったことがあって、その日は1日、仕事中にもそのウンチが頭に浮かんじゃう……っていう実体験から作ったものだったり。とにかく面白いと思ったことを初瀬にどんどん伝えるんで、あまりに自由すぎて「いやいや、コント作ろうぜ」ってなるときはありますけど。

初瀬 「なんの話してんねん」って。

森下 「宇宙が~」とか「透明人間になって~」とか言ったりしてると、さすがに注意されます(笑)。

初瀬 若いころは経験もないから、森下の発想なり単語なりから、どうやったら笑いを起こせるかがわかってなくて、却下してた案とかもあるんですよ。それが、芸歴を重ねていろんなコントをやってきて、「これ、このやり方やったらウケるんちゃう?」という考え方ができるようになってきた。「発想」はそのままで「やり方」を身につけてきて、ネタに関しては、いまベストな状況じゃないかなと思います。

出典: FANY マガジン

ようやく漫才の出力の仕方がわかってきた

――ななまがりの2人は毎回、『キングオブコント』は準決勝、『M-1グランプリ』は準々決勝まで確実に勝ち進んでいます。とくに昨年のM-1の予選では有力候補として話題にもなりました。賞レースについては、どう考えていますか?

森下 これは人前で言うべきことかわかりませんが、キングオブコントに関しては、やれることはやってる気がするんですよ。だから、いままでどおりやれば、いつかは決勝に行けると思っています。

初瀬 毎年、最善を尽くしてる感じはありますね。2016年以降、決勝には行けてないですけど、自信は失ってなくて。

森下 毎年、準決勝での手応えもあるんで。

初瀬 いろんな兼ね合いで行けてないだけだなって。

森下 それに対して不満とかもまったくなくて。……これは言いすぎかな、いつか優勝するだろう、くらいに思ってるので。

初瀬 2人とも前向きですね。

出典: FANY マガジン

森下 だからといって、少しでも怠って、足を止めたらダメなのはわかってるので、コントにはいつもどおりの熱量で取り組んで。そのうえで、ちょっと漫才ができる余裕ができてきた感覚があります。だからM-1にも挑戦してますし、一度は決勝行ってみたいなって思ってます。

初瀬 芸人として単純にひとつの夢ではあるんで。

森下 単独ライブはコント中心ですけど、それ以外の新ネタライブはコントと漫才半々くらいでかけたりもしていますし。

初瀬 最近、ようやく漫才の出力の仕方がわかってきた感覚があって。

森下 あ、それはたしかにあるな。

芸人からの「面白い」が大きな支え

――最近はななまがりさんを中心にしたライブも増えていますね。

森下 ありがたいことに。

初瀬 昨年、千葉・よしもと幕張イオンモール劇場で「ななまがり三部作」という僕らメインのライブが週3で開催されまして。そのときはさすがに多すぎる、とは思いましたけど(笑)。

森下 そこで見てくれて僕らのことを面白いなと思ってくれた人全員に『曲者王』を観てほしいですね。この単独はやっぱり特別なんで。

――先日は「このななまがりがすごい」というライブもありましたね。

初瀬 あれは最高のライブでしたね。

森下 ありがたかったですねえ。かもめんたる・(岩崎)う大さん、さらば青春の光・森田(哲矢)さん、かが屋・賀屋(壮也)くん、ザ・ギース・高佐(一慈)さん、岡野(陽一)、しずる・池田(一真)さんというすごいメンバーが、ただただ僕らのコントを褒めてくれるライブで。

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――ななまがりさんは、芸人仲間からの支持が圧倒的に高い、仲間から面白いと一目置かれるコンビという印象があります。先ほどのキングオブコントに対する自信も、まわりの芸人さんの声が大きいのかなと想像するのですが。

森下 それはたしかにありますね。

初瀬 うん、めちゃくちゃ大きいっすね。

森下 芸人が誰も面白いって言ってくれてなかったら……。

初瀬 自信なくしてるかもしれないです。

森下 それどころか、辞めてるかもしれんよな。芸人って、みんなそうかもしれないですけど。

初瀬 もちろん、お客さまに笑っていただけるのが一番ですけど、芸人に褒めてもらえるのって、本当に嬉しいもので。

賞レースで頼りになる「初瀬‘s EYE」

――昨年から今年にかけて、森下さんに注目が集まる機会が多かったと思います。『R-1ぐらんぷり2020』の決勝に進出したり、バラエティ番組『勇者ああああ』(テレビ東京)で架空ものまねタレント・ムーシー藤田がフィーチャーされたり……。それについて、初瀬さんはどう感じていますか?

初瀬 ただただ嬉しいしかないですね。森下が出ることによってコンビの宣伝にもなるわけですから。森下って、わかりにくい、とっつきにくいキャラをしてると思うんですよ。R-1とかでは、その説明書をみんなに渡していってるのかな、と思っていました。

森下 僕ら、ライブの合間にもずーっとネタ作りをしているので、休みがなくて。だから僕のピンの仕事のときに、初瀬はここぞとばかりに彼女と遊んでるんでしょうね。すごく仲良い彼女がいて、にゃんにゃんっていうんですけど。

初瀬 正直、芸人としてはどうかなと思いますけど、森下ピンの仕事が入ってるとめっちゃ嬉しいんです。確実ににゃんにゃんと会えるから(笑)。

出典: FANY マガジン

――R-1では、森下さんがどのネタをかけるかについて、初瀬さんがアドバイスしたと聞きました。

森下 そうなんです。僕ら、「初瀬’s EYE」って呼んでるんですけど、初瀬のネタ選びって頼りになるんですよ。それこそ、いまをときめくすゑひろがりずに「M-1グランプリ2019」の準決勝のネタを「これやれよ」って言うたのは初瀬ですからね。これ、僕らいつも自分らの手柄みたいに話してますけど。

――初瀬さんの“選球眼”は確実なんですね。

森下 ただ、本当に確実なんだとしたら、毎年、『キングオブコント』の決勝に行けてるはずなんで……。

初瀬 自分のこととなると、判断が鈍るんかもしれないです。それが大きな欠点ですね。

「いちばん面白いコントをぶつけるだけ」

――いまは『曲者王』に向けたネタづくりの真っ最中ですか?

森下 そうですね。僕としては今回もだいぶ数打ってますけど、初瀬的にどれくらいがいけそうなのかは、まだ知らないです。だから何割くらいネタができているのか、まったくわからない状態。

初瀬 僕もわかってない(笑)。実際にライブが近づかないとわからないかもしれないです。突然、「これいいな!」ってなるのもあったりするんで。

――おふたりのコントには架空の小道具も登場するので、準備が大変なのでは?

森下 そこは全然。むしろ、ないものを作るほうがラクかもしれないです。たとえば、「レジが必要」となったら、実在するものを用意するほうが大変なんですよ。それが「架空金計算機 フヌス」だったら、形も大きさも自由じゃないですか。そこは苦ではないし、むしろ楽しいです。

出典: FANY マガジン

――なるほど(笑)。ライブ全体の構成については、どんなふうに考えていますか?

初瀬 僕らはもうとにかく、いまできるベストのコントを並べるというやり方で。

森下 以前は僕らも、ライブ全体をひとまとまりで考えて、伏線を張ったりしたこともあったんです。でも、本人がいない場で言うのもなんですけど、以前、うるとらブギーズさんの単独を観たとき、どのネタもめっちゃ面白くて爆笑とってたんですよ。ただ、それまでの伏線を全回収する最後のコントだけ、あまりにも“らしく”なさすぎて、めちゃくちゃスベってたんです。それを見て、僕らもやめとこうって(笑)。

初瀬 うるブギさんも僕らも、そういうタイプじゃないっていう。

森下 だから僕らは面白いと思ったもんを、ただただ見せていく。

初瀬 現時点のベストのコントを、とにかくぶつけます。

森下 感動は一切ないんで、ただただ笑いにきてください。あ、ただ、オープニング映像とかはとてもいい感じでできてるので、それはぜひ楽しみにしてほしいですね。

初瀬 クオリティ高い映像ができてると思います。

森下 オープニングを観て「おしゃれだなー」ってなったあと、めちゃくちゃばかばかしいコントが続くと思うので。そのギャップを楽しんでいただけたら。

公演概要

『曲者王』
日時:3月23日(火) 開演18:45 終演20:00
場所:ルミネtheよしもと
出演:ななまがり
チケット:前売2,700円 当日3,000円 配信1,700円

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