「ほんとに化け物」「ぶち抜けてる」…芸人ライバー3人が語る『SHOWROOM』成功の秘訣

誰でも簡単にライブ配信を楽しめる仮想ライブ空間『SHOWROOM』。そこでは、吉本芸人のみが参加する「よしもと芸人限定」なるイベントが月3~4回開催され、盛り上がりを見せていることをご存知でしょうか。今回は、そこで初期のころからアクティブに活動する3人の芸人ライバー、ブロードキャスト!!・吉村憲二、北代祐太(きたぽよ)、エンドウコウキに集まってもらい、その魅力やそれぞれの活動、そして気になるノウハウなどについて、笑いを交えて熱く語り合ってもらいました!

出典: FANY マガジン

3人が思うSHOWROOMとは?

――まず、SHOWROOMをよく知らない人のために説明してもらえますか?

きたぽよ ざっくり言うと、携帯1つで世界中どこからでも配信できるライブシステムです。自分1人のライブ空間をパッと持つことができて、それを世界に発信できるんです。
「ROOM」と呼ばれる自分の部屋を持ち、そこで自分でライブを配信するんですけど、SHOWROOMのすごいところは、テレビドラマやCM出演権をかけたイベントがあって、リアルでのチャンスにつながるという点ですね。

――見ている人は、ポイントなどを贈るいわゆる「投げ銭」機能で配信する人を応援できるんですよね?

きたぽよ そうです。なにかを成し遂げたい人と、それを応援したい人がいて、そのマッチング空間という意味合いもあるんです。応援される側、する側の双方に熱量があれば、大きなチャンスをゲットできる。実際、僕はそれでテレビドラマなどの出演権も獲得して、ドラマに出ました。

出典: FANY マガジン

エンドウ 言ってみれば、SHOWROOMは誰でもタレント活動できる空間。事務所に入ってなくても、魅力ある人ならちゃんとファン(お客さん)がついてくる。あと、コロナ禍みたいな状況に強いツールだなって思います。いままでだったら、ライブとかやらなきゃお客さんがつかなかったけど、部屋から出なくてもライブができるっていうのは大きな強みだなと。

吉村 それはあるよね。本当に、部屋にいながら携帯1つで全世界とつながることができる。SHOWROOMは、「ライバー」(配信アプリで配信を行う人のこと)って言葉がここまで浸透する前からありましたから。草分け的な存在ですよね。
ただ、配信に必要な能力は、芸人としてのものとはまた違うのかな、と。向いている人、向いていない人が分かれる感じで、サービス精神がある人のほうが向いてると思う。

「無理せず楽しいのがいちばん!」

――なるほど。今回集まってもらった3人は、2年前のイベントでベスト3に入った、初期のころから活躍するライバーということです。

エンドウ 僕に関しては、当時、3位になったというぐらいなんですけど(笑)。おふたりはぶち抜けて人気あって、芸人枠のみならず、SHOWROOM全体の男性のなかでもトップクラスに入ったり。それで、ぜんぜん追い付けなくなっちゃいました。
個人的におふた方を見ていると、素でやってる感じがあって。テンション高いというか、ネアカな感じですよね。自分はそれがないので、そこがデカい差だと思いますよ。

出典: FANY マガジン

吉村 きたぽよのほうが、俺よりもっとネアカだよね。俺はちょっとそこ、作ってる部分もあるんだけど。2年前のきたぽよの伸びはすごかった。無心にがむしゃらに、人のいいところはぜんぶマネして、それで、きたぽよが人気を得ていったのはすごいよね。

きたぽよ 始めたきっかけは、「吉本坂46」オーディションの敗者復活戦がSHOWROOM配信だったので。兄さん(吉村)は、(SHOWROOMを始めたときに)すでに「ブロードキャスト!!の吉村さん」という肩書があって、ライブやネタでも活躍していて。でも僕が始めたときは、ファンがいるわけでもなく、必死こいてチケットを売っている状態でした。
で、SHOWROOMでどうがんばるかを考えたとき、SHOWROOMにはあまりテンション高くワァ―っとやってる人がいなかった。それにプラスして、コメントを送られたときのリアクションが、とにかく笑顔で見ているだけで楽しい雰囲気のほうが応援したくなるだろうと思って、その2つは心がけました。
僕には、その感じがタイプ的に合ってたんです。でも、タイプ的にそれが合わなかったら、もう無理せず自分の好きなことをやったほうがいい。自分が楽しいのがいちばん。無理せんほうがいいと思います。

SHOWROOM芸人を集めてリアルなライブも

――SHOWROOMで活動してきたなかで、印象に残っているイベントは?

エンドウ 吉村さん主導で、東京でも何度かイベントやりましたよね。けっこう集まってくれましたもんね。

吉村 そうそう。東京吉本でSHOWROOMに力を入れてる芸人を集めて1回、リアルなライブ(2019年2月に開催した『東京よしもとSHOWROOMerライブ』)をやったんです。ライブ中にSHOWROOMのほうも連動させて。あんな最高なライブはなかったですね。

エンドウ あのライブは、とにかく吉村さんのマンパワーがすごかった。吉村さんが、ただひたすらにすごすぎたライブでした。

きたぽよ 兄さんパワー、すごかった! みんな、すごい楽しそうでしたね。

吉村 ライブで舞台に出ているのは数人で、1人だけ補欠みたいな扱いで別室からSHOWROOMで生配信をスタートさせて。ポイントが集まったら、その補欠も舞台に上がれるという形にして、間でちょいちょい中継もつなぎつつ、ライブ×SHOWROOMを連動させました。
イメージは『24時間テレビ』(日本テレビ系)のマラソンの中継みたいな感じで(笑)。なかなかポイントが達成できないから、会場にいる人たちみんなに携帯出してもらって(笑)、その人たちも加勢して一気に達成できた。その補欠は最後、ガッツポーズで舞台に登場して……。

きたぽよ 最後、ヒーローみたいになってましたよね。

エンドウ ちょっと泣いてましたもんね。

吉村 あれは、すごい盛り上がりでした。

この人のROOMはここがすごい!

――ここで、お互いのROOMの魅力を語り合っていただきたいのですが、吉村さんのROOMはどこがすごいですか?

エンドウ やり方がとにかくすごい! コメント1個も逃さない的な感じで。リアクションは必ずするし、そのスパンがめっちゃ早い。むちゃくちゃ饒舌で、テンション高くて。これは自分はできないなって感じ。そこは吉村さんだけでなく、北代さんにも共通してると思います。

きたぽよ いや、ほんとに化け物ですよ。スタミナすごい。お笑い体力もそうだけど、人間としての体力も尋常じゃない(笑)。兄さんがすごいのは、自分でネタ作って、コンビとして漫才もして、それでいてSHOWROOMの配信もしてるところ。
SHOWROOMのイベントのなかには、朝昼晩ずっと、1日中やらないと話にならないといわれるようなものもあって。えげつないぐらい配信をしないと特典を獲りにいけないようなイベントもあるんですけど、吉村さんはそういうのも、テンションを保ちつつ、ほかの仕事もこなしつつ、しっかりやっていく。
あと、すごいのが“巻き込み力”。お客さんを巻き込む力がすごい。一声かけたら、コメントがぶわーっと来たり。芸人としてライブで培ってきた力なんだろうなと思います。

出典: ガチイベ感謝【バス村】ブロード!!吉村せんきゅそルーム

エンドウ 体力で思い出しましたけど。吉村さんのすごいところって、1つのイベントを達成してから、同時並行で進んでいるほかのイベントで、すでに半分ぐらい期間が過ぎてるから出遅れてるはずなのに、そっからめちゃくちゃ追い上げて1位を獲ったりする。

きたぽよ 完全に“イベント荒らし”ですよ。

――(笑)。では、きたぽよさんのすごいところは?

吉村 ……ないですね。(考えるので)2日ください、絞り出すので。

きたぽよ おい!

吉村 とにかく、がむしゃらにひたすらやって、底抜けの明るさと笑顔が良さですよね。本人に直接、よく言ってるんですけど、いい意味で、スベっても大丈夫っていう体当たり精神。そのあたりに“親戚の兄ちゃん感”、つまり親しみやすさがあるんじゃないかと。
それがにじみ出ているので、吉本の男性のなかでいちばん伸びましたからね。資質が、まず向いていたってこと。人のいいところをマネして、貪欲にやっていくところも素晴らしいと思うし。

出典: マンマンチャン(人˙꒳˙ )ぽよ劇場TheLIVEきたぽよ

――では、エンドウさんはどうでしょう?

吉村 エンドウくんはね……ないです(笑)。

エンドウ フフフ。ないんですねぇ。

吉村 エンドウくんはね、僕と好対照。僕はテンション高い感じだけど、エンドウくんは落ち着いてる。人がいいと思うし、そこで、お客さんが寄ってくる。もちろんビジュアルもよくて、歌ができる。そこは大きい。
SHOWROOMって、なにか特技がある人のほうが向いてるんです。歌をメインにやってるわけではないけど、歌“も”できるのは大きいのかなと。

きたぽよ 吉村さんや僕みたいな配信は、深夜にワーワーやってると、眠たいときに見るのはちょっと……と言われる。
でもエンドウさんはしっとりした声で、聞いてて落ち着けるのは特徴なんだろうなと思います。あと、ビジュアル系芸人さんってことで、特色がある。お決まりの言葉があって、(配信者にポイント加算がされる)“50カウント”があると「くぅわ!」みたいな。ビジュアル系のノリみたいな。しっとりしゃべってたのにいきなりその声が入って、「え、なになに?」って抑揚の付け方がすごいんですよね。

――3人は仲が良さそうですね。芸歴も、キャラクターも、活動している場所もバラバラで、SHOWROOMがつなげてくれた縁なんでしょうか。

エンドウ SHOWROOMがなかったら知り合いになってないですね。面白いのが、SHOWROOMでお互いの部屋を行ったり来たりしてたから、初めて会ったとき、もうすでに知り合いみたいな感じだったんですよね。

吉村 そうそう。仲良くなってて、いざ会ったら「お前、背高いやん!」とか、そういう驚きはありました。きたぽよに初めて会ったとき、まさに言いましたもん。きたぽよって、けっこう「ちっさ顔」(背が低そうな雰囲気の顔)しているのに、実はめっちゃ高身長でスラッとしてて、「めっちゃスタイルええやん!」と。

ライバーを「教える側」もやりたい

――では今後SHOWROOMでどんなことをやってみたいですか?

エンドウ 僕は最近、SHOWROOMをやったりやらなかったりだったので、リハビリじゃないですけど、少し時間をかけて取り戻していきたいです。まずは、きたぽよさんと吉村さんに追い付けるようにがんばりたい。リーグ制(自身のリーグランクに応じたイベントに参加できる制度)がまた戻るきっかけになったので、がんばって上位を目指していきたいなと思います。

出典: ◆アバ配付&イベ中◆エンドウコウキの部屋

きたぽよ 僕は、SHOWROOMをがんばってる吉本芸人のみんなで、表に出て行きたい。大阪、東京どちらも。SHOWROOM芸人が集まったライブはやりましたが、それは内々というか、まだ感謝祭的な意味合いが強いので。というよりは、芝居できる人で集まって、舞台とか、映画とか。世界にリーチするようなことができればと思います。
これだけライブ配信でがんばってきたので、ファンの方はついてきてくださると思うので。SHOWROOMの枠組みを飛び出して、世界にリーチできるような映画なり、歌なり、コントなりをやれたらと。

吉村 僕はちょっと前に思っていたのが、教える側になれたらと。劇場でネタやテレビに出るだけじゃない、また別の表現方法として生配信を行う「ライバー」。ライバーという言葉がこれだけ浸透してきたし、これから需要はますます増えていくはずなので、自分なりのノウハウを本でもいいですし、NSC(吉本総合芸能学院)の講義でもいいですし、そういう形で広めていければと。

きたぽよ NSCのライバーコース! 面白いですね。

吉村 あとは、きたぽよも言ってますが、僕も外に向けてやっていきたい。なかなか実現しないんですけどね。

――最後に、あなたにとってSHOWROOMとは?

エンドウ ……うーーんと、一言でいうなら、“サンクチュアリ(聖域)”ですね。どの時間に配信しても、誰かしらコメントくれたりするので。そういう意味では心のよりどころです。

きたぽよ 僕は、SHOWROOMは“町”やと思ってて。町長である配信者が熱量を持って夢に向かえば、それを応援してくださる方が集まって、素敵な町になる。ただ、町長が指針を出して引っ張っていかないと、町にいろんな問題が起こる。たとえば、町が荒れたり大きくならなかったり。
町長がしっかりと「こんな町にしたい」という軸を持っていると、その理念に共感した人が集まり、パワーを持った大きい町になる。そのうえで、世界に羽ばたける大きなチャンスを掴みにいける場所だと思ってます。

吉村 僕は……、2人とまったく違うんですけど、言ってみれば“町”ですね。

出典: FANY マガジン

きたぽよ いや、一緒! 一字一句、ぜんぶ一緒!(笑)

吉村 マジメに言うなら、僕にとっては“新しいステージ”ですかね。もともとSHOWROOMを始めたのは、元芸人で、いまは構成作家をしている山口トンボに「向いていると思う」と勧められたからなんです。
僕のことをよく知ってる人間の助言だったので、始めてみたら、本当に自分に向いていた。芸人として仕事をするうえで、漫才師、テレビのリポーターなどいろんなものをやって変わりゆくなかで、自分がライバーという新しいステージを見つけたんだろうなと。
たぶん、自分がなにかを見つけたかったタイミングと、ちょうど合ったんだと思います。相方(房野史典)が「歴史」でちょっと売れて、1個なにかを見つけたのかなというのもあって。そのとき、自分には何があるのかなと思って。それが僕にとってはSHOWROOMでした。だから、がむしゃらにやれたんじゃないかなと思いますし、これからもやろうと思ってます。

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