どうも、芸人ライターのてんぐ・横山ミルです。
皆さんは、いま人気急上昇中の囲碁将棋(文田大介、根建太一)をご存知ですか? 芸歴19年目の囲碁将棋は話題の「大宮セブン」(埼玉・大宮ラクーンよしもと劇場の看板ユニット)でもあり、5月に初開催されたベテラン芸人の賞レース「THE SECOND~漫才トーナメント~」(フジテレビ系)でファイナリストにもなりました。そんな彼らが出演する新番組が、BSよしもとで始まります。ということで、NSC(吉本総合芸能学院)東京9期で同期の私が、さっそくその見どころを聞いてみたところ、意外な反応で……!?
囲碁将棋のBSよしもとの新番組は2本。ひとつは6月11日(日)に放送された特番「テレビでやってみろよ!~楽屋から愛をこめて~」です(7月8日7:00~再放送)。タイトルのとおり、テレビでは到底、放送できないような、劇場のステージや楽屋での企画やノリを実験的に放送してしまおう、というもの。大宮ラクーンよしもと劇場の制作で、「芸人がただ動物になりきる時間」「完全芸人主観のコント映像」といった奇想天外なネタが詰まっています。
もうひとつ、7月9日(日)には、囲碁将棋が後輩のダイタク(NSC東京14期)と楽屋ノリを撮影してそのまま放送する「こんなん見るやついねぇって!~言うな~」(毎週日曜21:00~21:30)が始まります。こちらも番組企画案には、「こっそり楽屋沸かし王」(楽屋の芸人たちをいちばん笑わせられる人を決めよう!)、「麻雀トーク」(麻雀をしているときのトークってなんか面白い! それを見せよう!)といったディープな内容が並んでいます。
深夜に帰宅したら娘が起きてきて…
――まずは、みんなに聞かれていると思うけど、ぜひ聞きたいことがあって。THE SECONDについてです。準決勝で、優勝したギャロップと同点の末、「満点」をつけた観客審査員の数で惜敗してしまったけど。
文田 M-1とは違う感情というか。まわりに「負けて悔しいでしょ?」って言われるけど、それよりもネタが上手くいったかいってないかのほうが気になるというか。勝ち負けはあまり気にならなかったかな。
根建 負けたっていう結果が出たときは悔しかったけど、日が経つにつれて、この大会に出てよかったなっていう気持ちのほうが強くなったね。
文田 ほんとそうだよね。張りが出たというか。
――まわりの反響はどうだった?
文田 意外と、そんなにだったよ。芸人は、そんなもんじゃない。
根建 文田と共通の大学時代の友だちとのライングループがあるんだけど、そこで盛り上がっていたくらいかな(笑)。
――家族のみんなの反響はどうだった?
文田 家族は、めちゃ喜んでくれたよ。当日、打ち上げがあって朝4時くらいに家に帰ったら、娘が起きてきてくれて……。
――素敵な娘さんだね。
文田 バーッと来て、「パパ、(準々決勝で対戦した)超新塾のほうがおもしろかった」って言われた。「(準決勝で)負けて残念だけど」って。
根建 どうしても、それだけは当日中に言いたかったんや(笑)。
――なんて正直な意見(笑)。
「見てほしくない番組」がコンセプト!?
――囲碁将棋といえば、劇場で切磋琢磨して実力をつけてきたわけだけど、BSよしもとでその劇場のノリを活かした番組をやると聞きました。どんな番組なの?
根建 「テレビでやってみろよ!」っていうタイトルなんだけど。本当にタイトル通りで、「テレビでこんなことやるわけない」っていうのをやってるのよ。
文田 「劇場のノリをそのままテレビでやろう」っていうの、よくあるじゃない。でも、そういうのじゃなくて……。
――そうじゃないの?
文田 劇場でもやってないことやっているからね(笑)。
――えー! どういうこと?
文田 大宮の劇場支配人の森(卓也)くんが、劇場でやっても「やばいよ」っていうのをやり出して(笑)。
根建 取材してくれて申し訳ないけど、(番組は)すぐ終わると思う。
――そう言われると、逆に見たいけどね。どんな企画があるのか少し教えてほしい!
文田 たとえば、「芸人が動物になりきるだけの時間」っていう企画があって。タモンズの安部(浩章)ちゃん、デニスの松下(宣夫)、ナイチンゲールダンスの中野なかるてぃんが動物になって、漫談するとかでもなくて、本当に動物としてそこにいるだけとか。
根建 それを定点カメラでずっと撮っているんだけど、それを見ているオレたちが「あれ?エサを食べていますね」とか言うの。でもさ、その動物が何かわかんないんだよ。
――そこは教えてくれないの?
根建 そうだよ。しゃべらないから「これ犬っぽいな」とか憶測になっちゃって(笑)。しかも、クオリティが高い人と低い人がいるから、クオリティが低ければ動物が何かもわからないんだよ。
――攻めた企画だね(笑)。
根建 こういう企画だと、オレたちのコメント勝負なところがあるじゃん? でもさ、オレたちもコメントでその人たちを上手く扱えてないしね(笑)。
――もうカオスだね。
文田 これは本当に言いたいのが、番組のサブタイトルが「楽屋より愛をこめて」ってあるんだけど、楽屋がこうだと思われたくない(笑)。
――確かにね(笑)。でもちょっと聞いただけで、僕はもう見たいけどね。
根建 確かに見たことない映像は見られると思うよ。
文田 このインタビューは横山が記事を書いてくれて、番組のプロモーションをしてくれるわけでしょ? でも、プロモーションでこの番組にたどり着く人には不評だと思う。
――なんでよ!?
文田 やっぱり、勝手にここにたどり着くようなお笑い好きの“猛者ども”は「こういうのもチャレンジしていてアリだよね」って思ってくれると思うんだけど……。だから、いい記事を書いてくれればくれるほど、この番組が炎上する可能性が増してくると思うから、いい記事を書くのはやめてね。
――そんなこと言われたの初めてなんだけど……。
根建 だから「必見です!」とかは絶対やめてね。
――そんな注文あるんだね(笑)。ほかにもレギュラー化される番組があると聞いたけど?
文田 囲碁将棋・ダイタクの「こんなん見るやついねぇって!~言うな~」ていう番組で。
根建 タイトル違うだけで、中身はさっきとほぼ一緒だよ(笑)。
文田 でも、こっちのほうが楽屋に近いかも。エピソードトークを話してもらってオチを予想するとかね。「こんなん見るやついねぇ」っていうのがコンセプトだから、囲碁将棋もダイタクも知らない人は“見たくない”ような作りにちゃんとしている。
――そこはちゃんと守るんだ(笑)。
文田 番組のサムネイルみたいなやつも、こんなのぜったい見ねぇよっていうのにしていて。
根建 オレらとダイタクの“秘密基地”的な感じなのよ。だから、それを覗きにきてよっていう番組だね。
――尖った番組ということだね。
文田 そう。だから、いい記事を書かれたら見にくる人も多くなるよね? ということは炎上する可能性があるから、いい記事を書くのはやめてね。
――またそれ(笑)。
根建 世間にバレないように何カ月、番組を続けられるのか? というのをやる予定だよ。
――それで大丈夫なの?
文田 でもさ、凝った番組とかたくさんあるけど、本気でこの番組を見てほしくないって気持ちでやっている番組はないと思うのよ。だから、ある意味パイオニアだよね。
――そらそうだけど(笑)。
禁断の「ルミネ・ゼロ笑い事件」とは!?
――劇場ノリといえば、囲碁将棋は劇場を大切にしていると思うけど、今後、劇場のトリをやりたいみたいな思いはあるの?
根建 トリは無理だね。トリなんかやった日には劇場が潰れちゃうね。出番は2番手くらいでいいよ。
文田 大宮とか有楽町(よしもと有楽町シアター)とか幕張(よしもと幕張イオンモール劇場)の劇場みたいに、お客さんが200人入らないくらいの劇場だけを回りたいっていう気持ちがすごくあって。NGK(なんばグランド花月)とかルミネ(ルミネtheよしもと)とか、たくさんお客さんが入るところはちょっと緊張しちゃうというか。去年、「ルミネ・ゼロ笑い事件」があったもんね。
――なに、その事件!?
文田 ルミネの出番で“下ネタ”みたいなネタやったのよ。そしたら、まったくウケなくて。芸人がウケなかったというとき、実は少し笑ってたりとかはあるでしょ? でも、本当に何もない状態で。まさにお通夜状態。お客さんも早く帰ってくれないかなぁっていう雰囲気で。
――そんなことがあったんだ。
根建 本当の「無」だよ、「無」。
文田 オレたちもたくさん劇場に出さしてもらっているから、共演しているほかの芸人さんに申し訳ないし、スタッフさんにも申し訳ないし、もちろんお客さんにも申し訳ないって気持ちになってさ。
ルミネの(吉本の)社員さんって、ぜんぶネタを見ているわけじゃないから、芸人がウケたとかスベったと知らない可能性あるでしょ。だから、帰るときに社員さんところに行って、「今日、本当に死ぬほどスベったんで、ルミネ出禁にして下さい」って言いにいったのよ。
根建 オレも同意見。
――それは大事件だね!
文田 「もう本当に出さないで下さい!」って言いにいって。
根建 あれはしばらく出場停止じゃないとおかしいくらいだよ。
「損しない2023年」を掲げる!
――でも、THE SECONDのネタもそうだけど、やっぱり劇場あってのネタだよね。囲碁将棋はM-1が終わっても(出場資格は結成15年以内)、まだM-1に出てもいいくらい新ネタを作り続けていたよね?
文田 そうだね。でも結局、THE SECONDでやったネタは10年前のネタだったりしたけどね。新ネタは1本だけだったよ。本当はぜんぶ新ネタで勝負したかったんだけど。
――なんか心境が変わったの?
文田 うん。テレビに出て損しないようなネタにしようって思って。すぐ下ネタとかやりがちだから。
――それは2014年の『THE MANZAI』(M-1休止中の2011~2014年に開催された漫才の賞レース)の決勝で下ネタの漫才をして痛い思いをしたのを踏まえて、ということ?
文田 そうそう、とにかく「損しない2023年」を掲げていて。だから、どう優勝するかと同じくらい、負けたときにどういう負け方をするのが大事かを考えていたかな。変なネタやって、SNSとかで「面白くなかった」「これだったら、ほかの人が決勝に上がってほしかった」とかすぐに炎上するから。
根建 THE MANZAIのとき、そうだったから。
文田 マイナスプロモーションにならないように、というのがすごくあったね。
――なるほど。では改めて、最後に来年のTHE SECONDについて聞かせて下さい!
文田 THE SECONDは「出る」って言うようにしていて。
――どうして?
文田 出るって言っておいたほうが単独(ライブ)とかのチケットが売れるかなぁって。
根建 イヤらしいな!
――じゃあ、根建はどうですか?
根建 文田と同意見ですね。
――コンビで一緒なのね(笑)。
根建 まあ、来年はぜったい優勝目指します!
番組概要
■『テレビでやってみろよ!〜楽屋より愛をこめて〜』
放送チャンネル:BSよしもと
放送日時:7月8日(土)7:00~再放送
※ 大宮ラクーンよしもと劇場の公式YouTubeチャンネルでも配信予定
出演者:ナレーション・進行 囲碁将棋
GAG/ななまがり/タモンズ 安部/石井輝明/ダイタク/ネルソンズ 岸&青山/いぬ/デニス 松下/キンボシ 有宗/コットン/ナイチンゲールダンス 中野なかるてぃん
番組公式ページはこちらから。
■囲碁将棋・ダイタクの『こんなん見るやついねぇって!~言うな~』
放送チャンネル:BSよしもと
放送日時:7月9日(日)スタート 毎週日曜21:00〜21:30
出演者:囲碁将棋、ダイタク ほか、劇場出演芸人
【BSよしもとの視聴方法】
BSよしもとはBS 265chです。全番組無料放送でテレビはもちろん、スマートフォン、パソコンでもご視聴いただけます。
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