ゆりやんレトリィバァの2年ぶりの大規模単独ライブ「Re:Re:Re:Re:」が、8月の大阪公演に続いて9月20日(月・祝)、東京・よみうりホールで開催されます。今年3月の『R-1グランプリ2021』で優勝を果たし、ますます活躍の場を広げているゆりやん。東京公演に向けた意気込みから、あの“唯一無二”の独特なネタづくりの秘密まで、たっぷり語ってもらいました!
配信用にカメラワークにもこだわる
——大規模な単独ライブは2年ぶりだそうですね。
はい。吉本の劇場での単独はずっとやっていたんですが……今年に入って5回。
——そんなに!
1月2回、2月2回、5月1回。でもぜんぶ無観客だったので、久しぶりにお客さんの前でできるのは非常に楽しみですし、ありがたいですね。ゲストの方をお呼びするのも、今年初なんです。
——ゲストにジャルジャルさんを呼んた理由は?
ハーバード大学の先輩で。
——そうだったんですね(笑)。
あっ、関西大学でした。校風が似てたので間違えちゃいました。ジャルジャルさんには、いつもお世話になってて。面白いし、大好きなのでお願いしました。大阪公演(8月13日開催)には、同じく尊敬してやまないレイザーラモンRGさんに出ていただきました。
——ゲストは、ふつうにネタを披露するんでしょうか。
これが、ネタでもトークでもないんです。とにかく何かが起きるんでしょうけど、当日になってみないと私にもわからないんです。
——配信もありますね。
そうなんです! ちゃんと「ここを見てほしい!」というところに寄ってもらうとか、カメラワークにもこだわっているので、配信でも楽しんでいただけると思います。ただちょっと、年齢制限がありまして……。
——そうなんですか?
年齢制限”R-1”なので、0歳の方はちょっと難しいかもしれません。2時間ありますので、首がすわってないと大変かなと思いまして。だから0歳の方は、ご家族の付き添いのもとで見ていただけたらと思います。
R-1決勝ネタ「ちゃうねん!」はふだんの会話から
——ゆりやんさんは、ふだん、どうやってネタを作っているんですか?
あんまり「作るぞ!」と思って作ってないんですよ。R-1グランプリで披露した、会社員の人が「ちゃうねん!」と言うネタは、私が毎日、マネージャーの牧くんに言ってたことで。
私、いつも番組の事前アンケートとか送るのが遅いんですけど、たまに牧くんからの仕事の連絡がちょっと遅かったりすると、自分のことは棚に上げて「なんでこれ送ってくれないの?」って言うんです。本人は素直に謝ってくれるんですけど、そんなとき、「何だよこいつ、自分はアンケート送ってこないくせに、僕のときだけブーブー言いやがって」……ちゃうねん!って、勝手に牧くんの言い分を決めつけて“心の声”を再現するのが好きで。
もちろん牧くんは「そんなこと思ってないですよ〜!」って否定するんですけど(笑)。で、ネタを考えてたときに「あれやってみよ」とやってみたら、思いのほか楽しくて。
——ふだんの自分そのままのネタがハマったわけですね。
変に「誰々をやろう」とするより、自分をやったほうが熱が入ったんですよ。ふだん言ってること、やってることがネタになることがけっこうあるんですよね。
——ゆりやんさんは、単独ライブ、寄席、テレビと、どこでも区別なく、いつでも自然体に見えます。
たしかに「ここだからこうする」というのはあまり考えてないですね。テレビで新ギャグとか新しいくだりをやってみちゃったりして、先輩方に「こんなとこで試すな!」とか言われることもあります。みなさんは、ライブで手応えを得たものをテレビに持っていくことが多いと思うんですけど、私はテレビで反応がよかったら、劇場に持っていったり、私生活で言ったりします。
R-1優勝で自分が解放された
——R-1グランプリ優勝以降、なにか変化はありましたか?
何年か前からちょっとずつ、R-1とは関係なく、まわりが「ゆりやんやからな」と言ってくれるようになってきました。それは、めっちゃうれしくてありがたいですね。R-1で優勝させてもらってからは、まわりの方がどうというより、自分が解放された感じがします。これまでは何をやってても「絶対、R-1は取りたい」とか、アメリカに行ってた時期も「R-1のために日本に帰りたいな」とか思ってたんですけど、それがなくなったので、気持ちがラクになりました。
——R-1への挑戦を終えて、ネタづくりの基準などに変化はありましたか?
もちろん、R-1のネタは尺を調整したり、構成を変えたりしましたけど、「やりたいこと、自分が楽しいことを大事にする」というベースは変わらないです。「これ、楽しくはないけどウケそうやから」ということは一切やらずに、スベってもいいからやりたいことをやるのがモットーなので。
——さきほど「場所によって区別しない」と話していたのも、やりたいことや楽しいことを最優先にしているからなのでしょうか。
そうですね。スベるのが怖くない……って言ったら、まわりから「わしらがなんとかしとんねん」と言われると思うんですけど(笑)。もちろん、みなさんに助けていただいてるから成立している場もたくさんあるんです。でも、まわりにどなたもおられなくて自分だけのネタのときでも、スベっても別にいいんです。自分が楽しいと思うことをお伝えしてたら、ウケてなくても伝わる方には伝わる。そして、やり続けたら伝わる方はどんどん増えていくと思うんです。
——その考えは昔からですか? それとも芸歴を重ねてそう思うようになったんでしょうか?
最初は怖かったですし、スベりたくないし、「どうやったらウケるんやろ」ばかり考えてました。間が空くのも怖かったです。ただ、レイザーラモンRGさんとか、なかやまきんに君さんとかを見てると、自分がスベったと言わない限りスベってないんだなと思えるんです。あの貫き方はカッコいいし、素敵やなと思う。自分もそうなりたいなと思ってから、あまり怖くなくなったかもしれません。
目の前のお客さんと一体になれるのが最高
——ふだん、ネタの稽古はどのようにしているんですか?
ピンなので、ちゃんとした稽古というより、ちょちょちょっとやってみて「こんな感じやな」って。ふだんは作家さんとか、マネージャーさんに見てもらいます。牧くんは必ず笑ってくれるんですけど、「こいつ、笑っとけば機嫌よくなるやろうから笑っとこ」……ちゃうねん!ってパワハラみたいなことを言ったりしてます(笑)。
——ゆりやんさんのネタは独創的ですが、自身ではどうなったら完成としているんですか?
ふつうの芸人さんって、そこまでまわりの芸人さんにネタを見てもらうことはないと思うんですけど、私はもう、先輩でも同期でも後輩でも、楽屋とかでお願いしてめっちゃ見てもらうんです。「今度、単独でこんなんしようと思うんですけど」って見せて、笑ってもらったら安心する。本番でもしお客さんが笑ってなくても、袖でウケてたらうれしい。
——なるほど。誰かが笑ったら安心して“完成”になるわけですね。
もちろん全員大爆笑が、いちばんうれしいですけど。
——寄席でもゆりやんさんの独特なネタに、家族連れが笑っているのを見かけます。「やり続けたら伝わる人が増える」というのは、こういうことなんでしょうね。
だといいですね。寄席でネタが終わって袖に戻ったら、「漫談でもないし、コントでもないし……あれは何?」って言われることはよくあります(笑)。
——以前、寄席でゆりやんさんが「私のネタはこれで終わります。でも、皆さんの人生はまだまだ始まったばかり!」と言うのを聞いて、ちょっと感動したことがあります。
うれしいです。なんばグランド花月だったかな、そのフレーズを言ったんですよ。「皆さんの人生はまだまだ始まったばかり!」って言ったら、すかさず前のほうに座ってたおじいさんが「もう終わります!」って言ってきて、面白すぎて。
——(笑)
ゆりやん やっぱり目の前にお客さんがいると、そうやって一体になれるのが最高です。今回の単独ライブもそんな空気にしたいなと思います!
公演概要
ゆりやんレトリィバァ単独ライブ『Re:Re:Re:Re:』(東京公演)
日時:9月20日(月・祝) 開場16:30 開演17:30(19:30終了予定)
会場:よみうりホール(東京都千代田区有楽町)
出演:ゆりやんレトリィバァ
ゲスト:ジャルジャル
チケット:前売3,500円 当日4,000円 配信2,000円
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