芸歴10年以内の若手芸人たちが競い合う「第44回ABCお笑いグランプリ」が7月9日(日)に開かれ、ダブルヒガシ(大東翔生、東良介)が優勝しました。ファイナルステージでは2組が同点で並ぶという一幕もあり、優勝が決まった瞬間、ダブルヒガシの2人は抱き合って「よっしゃー!」と何度も絶叫。ガッツポーズを連発して喜びを爆発させました。
「若手のなかで1番になれたのがうれしい」
ダブルヒガシの2人はNSC(吉本総合芸能学院)の大阪36期生で、昨年、この大会を制したカベポスター(永見大吾、浜田順平)らと同期。一昨年も決勝に進んだものの、ファーストステージで敗退し涙を飲んでいました。今年は3月に開催された「第12回ytv漫才新人賞」でも優勝し、2つめの栄冠を手にしました。
優勝の感想を聞かれた東は「ABCをずっと獲りたかった、漫才、コント、ピンもあるなかで、若手のなかで1番になれたのがホンマにうれしい」と笑顔を見せます。大東は芸歴10年目のラストイヤーだったことを踏まえ、「間に合った、ホンマによかった」と安堵の表情です。
ファイナルステージに残る自信はあったという大東は、もともと「優勝する自信は五分だった」のが、2本目のネタを仕上げていくうちに6割、7割になっていったと言います。一方の東も、ほかに誰がファイナルに上がってくるかという“運”の要素がもちろんありながら、ファーストステージで勝てれば、7割くらいいけると思っていたと明かしました。
575組のエントリーから12組が決勝進出
「ABCお笑いグランプリ」は、これまでダウンタウンやナインティナイン、フットボールアワーといった人気芸人たちが優勝してきた歴史あるコンテスト。漫才だけでなく、コント、ピン芸なんでもありというルールで競います。
今年は全国から575組がエントリー。そのなかから決勝進出を果たした12組がA、B、Cの3ブロックに分かれてネタを披露し、各ブロックを勝ち抜いた3組でファイナルステージ進出を争いました。
Aブロックは、天才ピアニスト、素敵じゃないか、こたけ正義感、サスペンダーズ、Bブロックは、ダウ90000、令和ロマン、ハイツ友の会、友田オレ、そしてCブロックは、ストレッチーズ、ヨネダ2000、ダブルヒガシ、オフローズという面々。
審査員は、岩崎う大(かもめんたる)、陣内智則、田中卓志(アンガールズ)、兵動大樹(矢野・兵動)、山内健司(かまいたち)、ユースケ(ダイアン)、リンゴ(ハイヒール)という7人で、山里亮太(南海キャンディーズ)と女優の本田望結がMCを務めました。
レベルの高い戦いを制したダブルヒガシ
Aブロックは、コントが2組、ピン芸、漫才が1組ずつとバラエティに富んだ組み合わせ。審査の結果、審査員4人が1位に選んだ素敵じゃないかがファイナルステージに進みました。兵動は素敵じゃないかのネタについて「すごかった、新しい形だった」と評し、ダイアン・ユースケも「ツッコミが5つくらい先まで処理していて、おもしろさが加速していった」と話しました。
Bブロックからファイナルに進出したのは令和ロマン。陣内は2人のネタについて「この場をいちばん制圧してたかな、貫禄すらあった」と評価。アンガールズ・田中は、「お客さんと一緒に笑いを作っている感じだった」とコメントしました。
Cブロックは漫才3組、コント1組の組み合わせで、最後のファイナル進出者はダブルヒガシに決定。審査員6人が1位をつけましたが、コメントを求められた兵動ら審査員は「本当に僅差」「このブロックがいちばん難しかった」と話すなど、極めてレベルの高い戦いとなりました。
ファイナルステージは令和ロマン、ダブルヒガシ、素敵じゃないかの順にネタを披露し、ラストにふさわしいハイレベルなネタで会場を爆笑させました。そして結果発表では、ダブルヒガシと令和ロマンが671点で並ぶというまさかの展開に……!?
ルールでは同点だった場合、ファーストステージの点数が高いほうが優勝です。ファーストステージの点数を改めて確認するとダブルヒガシが63点、令和ロマンが53点だったため、第44回のチャンピオンはダブルヒガシに決定しました! 大東は「1本目、サボらんでよかった〜!」、東は「人生最高!」と喜びを爆発させました。
「ギリギリまでビビッていた」ネタで勝負
優勝後の会見でダブルヒガシの2人が、この日のネタについて振り返りました。1本目は比較的早い段階で決まっていたそうですが、2本目は3本くらいのなかで悩んだうえで、いちばんいいやつを持っていこうと決まったネタ。大東によると、1本目はキャッチセールスを扱った内容が倫理的にどうなのかと、「ギリギリまで東はビビってた」と明かします。
漫才を作るうえで大事にしていることを聞かれると、大東は「こればっかりは、答えのない旅でして」とカッコいい回答。すかさず東が「恥ずかしい!」とツッコみました。
大東によると、2人のネタはダブルボケや1人ボケもあって、固まったパターンはなく、「楽しんでネタ合わせをすることを意識している」と話します。東は「ぜんぶ(大東に)任せてるんで、持ってきたものはOK。そのチケットで旅に出る」と大東の言葉にボケをカブせました。
ファイナルステージの結果発表で令和ロマンと同点で並んだときには、2人ともルールがわかっていなかったそうです。東が「負けたら、勝ったらどうしようってことしか考えてなかった」と振り返り、大東は「審査員長が決める? 審査員長はリンゴ姉さん? 令和ロマンのとき、(リンゴが)弾けるもぎたて笑顔やった! これはやばい! どうなんねん!」と思っていたとか。同点だった令和ロマンについては、「あいつらには言うことがない、エリートなんでね。あのままの感じでやってたら、いつか獲る」とその実力を認めていました。
優勝賞金100万円の使いみちについて、東は「オカンに電動自転車とか、オヤジに育毛剤とか、家族に還元したり、お世話になってる方々何かできたら」と回答。一方、大東は引っ越しが近いので家電の買い替えを考えているとのこと。さらに、「妹が3人目の子どもを産んだので、なにかプレゼントを買いたい」と笑顔をみせました。
幼馴染コンビのダブルヒガシの2人が、かつて遊んだ思い出の公園に遊具や銅像を贈るプランも浮上しましたが、大東が「銅像いらん!」とツッコんで笑いを誘いました。