新喜劇と起業の意外な共通点…“座長16年間”川畑泰史が近大生に語った「起業のススメ」が深すぎた!

吉本新喜劇の川畑泰史が7月6日(木)、近畿大学(大阪府東大阪市)で起業を目指す学生を対象に講演会を開催しました。「吉本新喜劇的起業のススメ~川畑泰史のコケてもいい話~」と題された講演会で、新喜劇で16年間、座長を務めた川畑が学生たちにどんな話をしたのか――。同じ新喜劇の座員で芸人ライター、そして近大出身の吉岡友見が大先輩のカッコいい姿をレポートします!

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

「起業したことなんてないのに」ドキドキの川畑

この日の会場は近大東大阪キャンパス西門前にある「KINCUBA Basecamp」。近大発ベンチャー企業を生み出す拠点として昨年10月に設立されました。当然、筆者が学生時代はこんな施設はなかったです……。

今回の講演会は募集を始めてすぐに定員に達したそうで、学生たちの期待の高さがうかがえます。なんばグランド花月(NGK)で舞台を終えて会場に到着した川畑は、「舞台の合間にもリハーサルをした」と準備万端のようです。それでも、「自分自身が起業もしたことないのに大丈夫かな」と苦笑い。同行していた新喜劇担当の吉本興業社員たちもドキドキしていました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

勇気をくれたのは池乃めだか

「講演のタイトルは桂文珍師匠の『落語的学問のすすめ』と松本人志さんの『人志松本のすべらない話』からパクりました」と川畑が話し始めると、さっそく笑いが起こります。川畑は、起業と新喜劇で共通して大切なのは「0を1にすること、とにかく“実行する”こと」だと言います。

失敗を恐れて実行しないと成功もしない。成功したいなら失敗してもいいと、自らの経験をもとに学生たちに語りかけました。

「新喜劇で“実行すること”“失敗すること”を怖がっていたときに勇気をくれたのは、大先輩の池乃めだかさん。めだか兄さんは絶対にウケるネタをたくさん持っているのに、たまにスベる。イコール、まだ挑戦されているということ。こんな先輩でも挑戦しているのに僕が怖がっている場合ではない」

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

また、末成映薫の「ごめんやしておくれやしてごめんやっしゃー」はセリフを噛んだときに誕生し、井上竜夫扮する竜じいの喋っている途中で寝てしまうネタは、セリフが出てこず頭が真っ白になったときに「寝んな!」とツッコまれてできた……など、怪我の功名ならぬ“失敗からできた”ギャグが新喜劇にはたくさんあるというウラ話に、学生たちも興味津々でした。

目標をしっかり立てて逆算する

また、「内に隠していれば劣等感、外にさらけ出せば個性」と、諸見里大介の滑舌悪いネタ、川畑の顔がパンパンとイジられるネタ、烏川耕一のひょっとこネタ、島田一の介のハゲネタなどの映像を流すと学生たちも大笑い。新喜劇の“イジり”を通し、マイナスなものが武器にもなり得ると説きます。

いろいろな例えを交えて失敗の大切さを話す川畑は、次の一歩を踏み出す方法として「目標をしっかり持ち、目標を立てたら逆算する。そうすると『いま何をしなければならないか』がわかる」と解説。これに学生たちは大きく頷いていました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

新喜劇と起業の共通点とは

そして新喜劇の制作過程を例に、起業と仕事の大切なポイントを次のように説きます。

「最初のアイデアは固定観念からどう逸脱し、人の心をどこまで動かすことができるのかが大事。でき上がったものの最終判断は共演者や同業者といった『プロ』ではなく『お客さん』。そして常に実践と修正を繰り返していくのが大事。これはどんな仕事でも同じはず」

新喜劇を作っていくなかで大切にしていた「うまくいったら他人のおかげ、うまくいかなかったら自分の責任」と自身のポリシーを語り、「人生は味方を作るゲーム。心の分度器を360度に広げて受け入れれば、全員が味方になる」と座長を務めた川畑なりの人間味あふれるリーダー論も語られました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

プラスの発想の転換

失敗を恐れたり、人と比べたり……それは誰しもが持ってしまう感情だけれど、すべては「気持ち」と「目線」の問題で、目の前の現象を自分で勝手に不幸と判断しているだけかもしれない。コップの水が「半分しかない」と思うか、「半分もある。ありがたい」と思うか。失敗が起きたときも、「おもしろエピソードができたと思えばいい」とプラスの発想の転換を学生にすすめ、最後にこんな熱いエールを送って講演は終了しました。

「失敗を恐れずに行動していってください。未来はみんなにかかっています」

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

学生さんたちは熱心にメモを取りながら聴き入っていて、新喜劇の映像が流れると笑い、とても楽しんでいる様子が私にも伝わりました。

終了後の川畑兄さんは「みんなが受け入れてくれるのがわかって嬉しかった。受け入れてくれてるってこっちが勝手に思ってただけかもやけど(笑)」とさっそくプラスの発想の転換。「僕も起業しようかな……」とニコニコでした。

あっという間の90分。目線を合わせてわかりやすく、おもしろく学生さんに語りかける川畑兄さんはめちゃくちゃカッコよかったです。そして、起業ともつながる新喜劇のスゴさ、奥深さを座員として改めて実感した講演会でした!

関連記事

関連ライブ