世界トップレベルの技能を持つレゴ職人の称号「マスター・モデル・ビルダー」を決定するファイナルコンテストが8月25日(水)に、東京・お台場のレゴランド・ディスカバリー・センター東京で行われました。この権威ある大会に吉本興業のレゴ芸人、ボーイフレンド・黒沼誠が予選を勝ち抜いて参加。果たして、その結果は……見事、優勝! 世界25人目のレゴマスターという芸人史上初の快挙を成し遂げた黒沼に、喜びの声を聞きました。
「芸人でもレゴを作れるところを!」
子どもたちの憧れの職業でもある「マスター・モデル・ビルダー」は、世界に24カ所あるレゴランド・ディスカバリー・センター内に1人ずつ在籍する、いわば世界のレゴ界の頂点に立つレゴ職人です。今回のコンテストは、レゴランド東京の3代目「マスター・モデル・ビルダー」を決定するもので、予選から約600人の応募者が参加しました。
「マスター・モデル・ビルダー」は、レゴランド内のレゴ作品の制作やメンテナンスを担当したり、レゴの楽しさを伝える役割を担うことになります。
1次・2次審査を経て、この日の最終決戦に勝ち残ったファイナリストは6人。“猛者”たちとの戦いを前に、黒沼もさすがに緊張を隠せない様子です。
「今日は優勝しようと思ってウキウキしてやってきたのですが、(まわりの参加者の)1次審査の作品を見て、正直、心が折れています……」と周囲のレベルの高さに動揺しながらも、「お笑い芸人でもレゴを作れるんだというところを見せたい。必死にしがみついて頑張っていきたい」と気合を入れて、試合会場に向かいました。
第1ラウンドは「手ごたえアリ」
さっそくファイナル審査が始まります。第1ラウンドは、子どもたちとのコミュニケーション能力をはかるテスト。キッズレゴ職人をパートナーに15分間で「夏の思い出」をテーマにしたレゴ作品を制作しました。
黒沼は、公式プロフィール欄の特技に「子どもに好かれる」と書いてあるほどの子ども好き。これまでも、たびたび子ども向けにレゴのワークショップを開催していて、この日もすぐにパートナーの子どもと打ち解けます。お互いにアイデアを出し合いながら、15分間で「木に止まるセミ」と「虫取り網」の2つのレゴ作品を完成させました。
短い時間で完成度の高い作品を作り上げ、すっかり緊張が解けた様子の黒沼。第1ラウンドは、自分なりに手ごたえを感じたようです。
「本当に、ただただ楽しくできた。(パートナーの子どもが)『もっと緑を増やそうよ』とかガンガン言ってくれて。僕なんかよりも想像力が豊かですごい助けられました」
OWVもレゴ制作に挑戦
この日のコンテストには、スペシャルサポーターとして吉本興業の次世代ボーイズグループ・OWV(オウブ)も登場。レゴランド・ディスカバリー・センター東京の公式Twitterの生配信で、施設の魅力を紹介しました。
OWVの4人は、子どもたちと一緒にレゴの車や恐竜の制作に挑戦。「パーツを探すのが難しい!」と中川勝就が言えば、浦野秀太も「楽しいなあ、久しぶりにやると!」とはしゃぎながら、4人で楽しくレゴ作りを体験しました。
イベントを終えて、佐野文哉は「レゴはおもちゃだと思っていたけれど、アートなんだなという感じ方に変わりました」と語ります。また、本田康祐は「子どもたちが“遊び”ではなく、“学ぶ”という形でレゴをやったり、レゴマスターを決める大会があったり、本当にいろんな楽しみ方がレゴにあることを感じました」と施設を紹介した1日を振り返りました。
最終作品は「漫才劇場」
いよいよ最終ラウンドが始まります。このラウンドの審査基準は、お客さんに笑顔や元気を与える夢あふれるレゴ作品を作れるかどうか。「夢のレゴランド・ディスカバリー・センター」というお題で、制限時間40分間のレゴ制作がスタートしました。
黒沼はスタートと同時に、黙々とパーツを積み上げていきます。ほかの参加者も同様に、まったく手を休めることなく、緊張感のある時間が流れます。
黒沼の作品のテーマは「テーマパークと漫才劇場の融合」。サンパチマイクやステージなど、“芸人魂”をレゴで表現しながら、自身が思う夢のテーマパークを完成させました。
最後まで、手を休めることなく力を出し尽くした黒沼。厳正なる審査の結果、優勝は史上初の同点W受賞、つまり2人の優勝者が誕生したことが発表されます。そして栄えあるレゴランド東京の3代目「マスター・モデル・ビルダー」に選ばれたのは――黒沼と佐藤慧介さんの2人でした。
優勝に驚きを隠せない黒沼は、「マスター・モデル・ビルダー」になった喜びをこう語りました。
「やっぱりレゴが大好きで、技術的なことはまだぜんぜん足りないけれど、これをきっかけにメチャクチャ勉強していきたい。やっぱり僕は子どもが大好きで、お子さんにレゴが広がったらいいなと思っているので、子どもとのコミュニケーション能力をもっと高めて、お笑いもレゴも盛り上げていきたいと思います。僕なんかを『マスター・モデル・ビルダー』に選んでいただいてすみません。頑張りますので、よろしくお願いいたします!」
芸人との両立は…
芸人史上初のレゴマスターとなった黒沼に、改めてインタビューしました!
――おめでとうございます! 見事、「マスター・モデル・ビルダー」になりましたね。
いやー、奇跡が起きましたね。本当にビックリしました。でも、優勝者が2人と言われたときに、もしかしたらあるかなと思いました。
――第1ラウンドでは手ごたえを感じていたようですが、第2ラウンドはどうだったんですか?
第2ラウンドは、手ごたえもなにもなかったです。とりあえず頭の中で浮かんだやつを作ろうと思いました。
――とはいえ、テーマが与えられてから手を動かすのが早かったですよね。
早かったかもしれないですね。「夢のレゴランド」がテーマだったので、すぐにアトラクションを作ろうと思いました。その後は芸人だからステージを作ろうとか、サンパチマイクを立てようとかが徐々に(思いつきました)。
――漫才の要素を入れたんですね。
芸人が作るというところからブレずに、ガッツリ入れました。
――これから「マスター・モデル・ビルダー」になるということですが、芸人との両立は大丈夫でしょうか?
ダメだと思います(笑)。でも、マネージャーと相談しながらやりたいと思います。せっかくなれたからにはレゴにも力を注ぎたいので、イベントもやっていきたいですし、技術面もまだぜんぜん未熟なので勉強していきたい。(レゴの仕事を)どんどんやっていきたいと思います。
――まだ始めて2年ということですが、レゴを始めたきっかけは?
始めは甥っ子がやっていて、それを見て一緒にやっていたんです。そしたら、気が付いたら甥っ子はレゴに興味がなくなって、僕だけ一生懸命やっていました(笑)。それを見た奥さんが、「レゴをもっとやったほうがいい」と勧めてくれて、のめり込んでいきましたね。
――日ごろ、レゴ作品の制作にはどれくらいの時間をかけているんですか?
最初は、Instagramでオリジナル作品を定期的に作っていて、それを更新するためにやっていたんです。でも最近では、こういう大会に出て作品を作るようになって、ちょっと大きい作品に取り掛かろうとしているところです。それは1週間かけたりしてますね。この大会でも大きい作品づくりが体験できてよかったです。
――改めてレゴの魅力、楽しさを教えてください。
やっぱり集中できることですね。本当にずーっと没頭できるし、自分の頭の中の想像をブロックで再現できるんで、気持ちがいいですね。お笑いもそうですけど、笑いを取ったときのお客さんの笑い声が快感。レゴは自分が頭の中で想像したものができたときの快感。ちょっと似ているところがありますね。レゴを作っている最中は何も考えずに、本当にメシとか忘れてます。作りたくてしょうがなくて。
――それだけ熱中できて、まさに「マスター・モデル・ビルダー」は天職ですね。
そうかもしれないですね。本当に奥さんのおかげです。奥さんが「あんた、レゴやったほうがいい」って言ってくれたんで。
――本業の芸人としても、勢いがついたんじゃないですか?
勝負はM-1の準々決勝ですね。僕らはまだ準々決勝までしか行ったことないんで、最低でも準決勝に行けるように。準決勝まで進めれば、敗者復活もあるので。漫才のほうでもマスターになれるように頑張りたいと思います!