吉本新喜劇の浅香あき恵が9月8日(金)、大阪・なんばグランド花月で『あき恵ちゃん祭りvol.2―最後のルッキズム!』を開催します。浅香は“ブサイクキャラ”の先頭を突っ走り続けて芸歴47年を迎えました。今回は、その浅香を追いかけ続けるも、背中さえも見えていない後輩座員の吉岡友見がインタビュー。これまでの芸能生活を振り返り、ポジティブマインドの秘訣やイベントへの意気込みを聞きました!
ネガティブから始まったポジティブ
――芸歴47年。ここまでの道のりは長かったですか?
「47年も経つんや」と感じるので早かったのかな……。成長はあんまりしていないんですが、激動の時代だったのでいろんな考え方は変化したのかな、と思います。
「吉本新喜劇やめよッカナ!?キャンペーン」(1989年に行われた新喜劇の再生プロジェクト)のときに世代交代をするという会社の意向で新喜劇から離れ、漫才師に転向しました。けど、漫才をしていても「漫才師を演じている」と思ってしまって……。当時はネガティブな感情でいっぱいだったけれど、「私はやっぱり役者なんだ、新喜劇が好きなんだ」と再確認できたんです。新喜劇をいったん辞めずにそのまま新喜劇ブームに乗っていたら結婚も出産もしなかったかもしれないので、いま思えば必要な時間でした。
――最悪だなと思うことも「必要なこと」と転換できるポジティブさがすごいと思います。
「やめよッカナ!?」のときは、「なんで私ばっかりこんな目に合うんだろう」というネガティブ感情ばかりでした。けど、あるとき自分の半生を振り返る雑誌のインタビューで、「公に出るものだからネガティブな言葉を出さないように」と意識して喋っていたら、自分の言葉に自分が気づかされたんです。いまの状況は過去のあの経験があったからなんだ、って。
ポジティブに考えないと自分が損する。物事がいい方向、悪い方向どちらに進むかは“いまの自分”が決めれるんやって。もとはネガティブ始まりなんです。だから落ちこむときはドンと落ち込むけど、「あかんあかん! こんな時間もったいない!」と自ら意識しています。信号が青やったら「ラッキー! ついてる!」と、小さいことでも口に出しています。
ブサイクいじりを受け入れたのは「笑い声」
――47年のなかで、意識や考え方で変化した部分があったんですね。では逆に変わらない部分は?
ドキドキ具合です。初日や収録日の緊張はずっと変わりません。
――意外です! ぜんぜん緊張見えないです!
緊張は本当にずっと変わらない。手紙読むシーンで手紙を持つ手が震えているのを自分で見て、ますます緊張したり。何年やってんねんって思います(笑)
――先輩も緊張するんや、人間なんやって安心しました(笑)。もともとはネガティブだとおっしゃいましたが、いまやあき恵姉さんの代名詞「ブサイクいじり」を最初にされたときは傷ついたりしなかったんですか?
めちゃくちゃ落ち込みましたよ! 最初に言われたときは「はあ!?」ってなりました。
――それを受け入れる、切り替わった瞬間ってあるんですか?
それはもう、「お客さんの笑い声」です。めっちゃ笑うやん!?ってなりました。うっちゃん(内場勝則)やシゲちゃん(辻本茂雄)がイジリ倒してきて、お客さんがバカウケ。私が何かしているわけじゃないんやけど、私に対するイジリで客席が沸くから、「お前すごいな」って言われて。結果、それがないと寂しくなり、自ら求めるようになりました(笑)。
二枚目をやっていたときは「生のほうが綺麗」なんて言われたことなかったけど、ブサイクいじりをされるようになってから、「実際はめちゃくちゃ綺麗ですね」って言われることが山ほど増えました! ラッキーです!
みんなの心を鷲掴みにしたポスター
――今回のイベントのタイトル『最後のルッキズム!』のインパクトがすごいですね。
私が日ごろのイジリに爆発して、このイジリはどこから始まったのか……修正しよう、と奮闘する物語です。まさしく「ルッキズム」が題材になっています。“私ならでは”の新喜劇です。
――ポスタービジュアルもすごいです。
娘がデザインしてくれました。写真100枚くらい撮ったのに自分があんまり気に入らない写真が採用されました。もっと可愛く撮れたのあったのに! けど、まわりのみんながすごくいいって言ってくれて。すっちーに「ポスターだけで面白い」と言われました。
グッズも娘が作ってくれているんですが、私の顔のデザインも「ぜんぜん可愛くないやん」と思うのに、まわりの人に「めちゃくちゃ可愛い」「めちゃくちゃ似てる」って言われて。私は自分のこと過大評価しすぎなんかな?って思いました(笑)。
――ゲストも出演されるそうですね。
演歌歌手の市川由紀乃さんが出演してくださいます。以前、新歌舞伎座でお芝居をご一緒したときに急激に仲良くなって。新喜劇も大好きでいてくださって。ぜひに、とお願いしました。お歌ももちろん歌っていただきます! 由紀乃さんファンの方にも楽しんでいただけるはずです。
そして、私もとある歌に挑戦します! この歌は知ってる、と簡単に決めたんですが、ふたを開けたらめちゃくちゃ難しくて。絶賛練習中です。チャレンジです。
何歳になっても舞台は夢の世界
――常にチャレンジを続けていらっしゃいますが、まだまだ続く新喜劇女優人生、目標はありますか?
もう後半戦だと思いますが……。歳とっても恋愛する役がしたい。舞台は夢の世界やから。年齢的にあり得ない役がきても、お客さんに「ありえないやん」「おかしいやん」って思われないように。声も見た目も干からびないように努力しないとって思っています。体重計は毎日乗らないとダメですね! あはは!
こんなに年齢差がある人たちと一緒に過ごす職場にいるからこそ、若い子とたくさん話して若さをキープしたいです。常にいろんな情報が入ってくるようにテンションを上げておこうと意識しています。
――若い後輩に何かメッセージはありますか?
お芝居はとても深いもの。ドラマや映画やいろんなものから採り入れたり、いろんなものに触れたら自分で答えが出せるから。人に言われるんじゃなくて、自分で答えを見つけることを意識してほしいなって思います。
――今回のイベントに続いて、芸歴50周年もイベントをしますか?
今回でヘトヘトになったらやらないかも……(笑)。私はお尻が重い人間なんで。けどいつも、まわりのみんながお尻を叩いてくれますね。とにかく今回のイベントを皆さんに楽しんでいただけるように、そんな作品ができたら至極の幸せです。皆さんぜひご来場ください! お待ちしています。
筆者はいつもお世話になっているので、インタビューというよりお茶会のような雰囲気でお話をしてくださいました。「意識的にポジティブに」という心の置き方は、どん底を知っているからこその強さだと私は思います。これからも輝き続けるあき恵姉さんの歴史が見れるかもしれない今回のイベント。私も楽しみです!
公演概要
『あき恵ちゃん祭りvol.2―最後のルッキズム!』
日程:9月8日(金) 開場19:00 開演19:30
場所:なんばグランド花月
チケット:前売5,500円
FANYチケットはこちらから。